サムスンはMWC 2025で「フレキシブル・ブリーフケース」と名付けられた折りたたみ式ディスプレイ搭載デバイスを発表し、来場者の注目を集めた。18.1インチのQHD+ディスプレイを内蔵し、ノートパソコンのような二面構造を採用したこのコンセプトモデルは、プレゼンテーションやプログラミング用途での活用が想定される。
本体は金属製のブリーフケース風デザインを採用し、On-Cell Film技術により高輝度と低消費電力を両立。MWCでは開閉状態で展示されたものの、来場者が直接触れることは許されず、市場投入の可能性は不透明なままだった。
ディスプレイ部分の取り外しやタブレットとしての使用も示唆されており、多用途なデバイスとなる可能性がある。しかし、サムスンから詳細な仕様や発売時期についての正式発表はなく、今後の展開が注目される。
サムスンが提案する未来型ディスプレイ フレキシブル・ブリーフケースの実態

サムスンがMWC 2025で発表した「フレキシブル・ブリーフケース」は、従来のディスプレイ技術を大きく進化させる可能性を秘めたコンセプトデバイスだ。18.1インチのQHD+ディスプレイを搭載し、折りたたむことで持ち運び可能なブリーフケース型へと変形する。
特に注目すべきは、ノートパソコンのように二面構造を採用している点で、開いた際には前面と底面の両方に画面を表示できる。サムスンのディスプレイ部門は、On-Cell Film(OCF)技術を導入することで、鮮明な画質と低消費電力を両立。
これにより、明るい場所でも視認性を確保しつつ、バッテリー駆動時間を延ばすことに成功している。金属製の筐体には、充電ポートや電源ボタン、音量ボタンが組み込まれ、デザイン性と機能性が融合している。MWC 2025の展示では、開閉状態での展示のみで、来場者が直接触れることは許されなかった。この点からも、まだ製品化の段階には至っていないと考えられる。
ブリーフケース型の形状を活かし、プレゼンテーション用の携帯モニターや、外出先での作業用ディスプレイとしての活用が期待される。また、展示ブースには取り外し可能な大型スクリーンも配置されており、ディスプレイ部分が分離し、タブレットのように使用できる可能性も示唆された。
もしこの機能が実装されれば、自宅やオフィス、カフェなど多様な環境で活用できるデバイスとなるだろう。しかし、サムスンは現時点で発売時期や詳細なスペックについて公表しておらず、今後の情報開示に注目が集まる。
折りたたみ式ディスプレイの進化と「持ち歩くモニター」という新発想
フレキシブルディスプレイ技術は、過去数年間で大きく進化してきた。スマートフォンの折りたたみ式ディスプレイはすでに一般的になり、ロール式テレビの開発も進行中だ。その中でサムスンが提案した「フレキシブル・ブリーフケース」は、ディスプレイを「持ち歩く」という新しい概念を生み出す可能性がある。
このデバイスの特徴的な点は、従来の折りたたみスマートフォンやノートPCとは異なり、「ブリーフケース型の筐体」にディスプレイを収納するという点にある。これにより、専用のバッグを持たずとも、1台で大画面を持ち運べるという新たな利便性が生まれる。
特に、頻繁に外出するビジネスユーザーや、移動しながら作業をするクリエイターにとっては、折りたたみ式ディスプレイの利点を最大限に活かせるデバイスとなるかもしれない。また、縦長のディスプレイ構成は、文章作成やプログラミングといった作業に適している。
従来のノートパソコンやタブレットでは難しかったレイアウトでの作業が可能になれば、デスク環境がない場所でも快適に仕事ができるだろう。さらに、折りたたみディスプレイを活用すれば、外出先でプレゼンテーションを行う際にも役立つ。例えば、クライアントとの打ち合わせ時にブリーフケースを開くだけで、大画面で資料を表示できるという使い方も考えられる。
ただし、折りたたみディスプレイはまだ発展途上の技術であり、耐久性や重量、バッテリーの持ち時間など、実用化に向けた課題も多い。実際にMWC 2025では、サムスンが来場者に触れることを許可しなかった点からも、現時点ではまだ試作段階にあることが伺える。今後、このコンセプトがどのように進化し、実際の市場に投入されるのか、その展開が注目される。
サムスンのコンセプトデバイスは実用化されるのか
MWC 2025での発表により、「フレキシブル・ブリーフケース」は多くの関心を集めたが、現時点では製品化されるかどうかは不透明だ。過去にも、サムスンをはじめとするメーカーが発表したコンセプトデバイスの多くが、実際に市場投入されることなく開発が終了した例がある。
今回のデバイスも、展示のみで実際に触れることができなかった点を考慮すると、まだ試作段階にあると考えるのが妥当だろう。折りたたみ式ディスプレイは、スマートフォン市場ではすでに実用化が進んでいるが、ノートPCやモニターの領域ではまだ課題が多い。
特に、ヒンジ部分の耐久性や、長期間の使用におけるディスプレイの劣化問題は未解決のままだ。また、金属製のブリーフケース風のデザインは高級感があるものの、その分重量が増す可能性があり、日常的に持ち歩くには不便になるかもしれない。
さらに、サムスンが市場に投入する際の価格設定も重要な要素となる。過去の折りたたみスマートフォンの初期モデルが高価格だったことを考えると、「フレキシブル・ブリーフケース」も高価なデバイスになる可能性がある。実用性と価格のバランスが取れなければ、一般消費者が手を出しにくいニッチな製品にとどまる可能性も否定できない。
ただし、ディスプレイ部分が取り外せる可能性が示唆されたことから、今後の改良によってモジュール型のデバイスとして進化する可能性もある。たとえば、折りたたみ式モニターとしての機能を強化し、タブレットや外部ディスプレイと連携できる仕様になれば、ビジネス用途だけでなく、クリエイティブ分野でも幅広く活用できるだろう。
サムスンはこれまでも折りたたみ技術の分野で革新を続けてきたメーカーであり、今回の「フレキシブル・ブリーフケース」も、その延長線上にあるデバイスだ。今後の改良や追加機能の開発次第では、未来の携帯型ディスプレイ市場に新たな選択肢をもたらす可能性がある。正式な製品発表が行われるかどうか、今後の動向に注目したい。
Source:Yanko Designv