NVIDIAの最新GPU、RTX 5080およびRTX 5090において、電源コネクターの溶解が報告されている。Redditユーザー「Ambitious_Ladder1320」は、Asus ROG Loki電源ユニットと接続した16ピンコネクターが溶けたと述べている。

また、RTX 5090でも同様の問題が指摘されており、特にModdiy製のサードパーティー製ケーブル使用時に溶解が確認された。オーバークロック専門家のDer8auer氏の検証では、電力の不均等な分配が原因と考えられ、特定のワイヤーに過剰な電流が流れていたことが判明した。これらの報告は、RTX 4090での問題が新世代GPUにも及んでいる可能性を示唆している。

RTX 5080の電源コネクター溶解問題が示す電力供給の課題

RTX 5080で初めて報告された電源コネクターの溶解問題は、単なる偶発的な事故ではなく、GPUの電力供給設計そのものに課題がある可能性を示唆している。RTX 4090の時点で既に指摘されていた12VHPWRコネクターの耐久性や発熱の問題が、次世代のRTX 5080やRTX 5090に引き継がれていると考えられる。

今回のケースでは、Asus ROG Loki電源ユニットを使用したユーザーが、GPU側のコネクターではなくPSU側で溶解を確認した。これは、単に接続の甘さによるものではなく、電流の分配やコネクターの設計に根本的な問題がある可能性を示している。

オーバークロック専門家のDer8auer氏が指摘するように、設計上は均等に分配されるべき電流が、一部のワイヤーに過剰に流れている点が気になるところだ。また、RTX 5090ではModdiy製のサードパーティーケーブルを使用していたケースで、GPUとPSUの両方の端子が溶解していたことも問題を複雑にしている。

異なるメーカーの電源ユニットやケーブルで同様の問題が発生していることから、GPU側だけでなく、電源ユニットやケーブルの仕様との相性も重要な要因となるだろう。特に、高出力なGPUほど負荷がかかるため、慎重な設計が求められる。

こうした問題が発生している背景には、最新のGPUが消費電力を大幅に引き上げていることがある。高性能化が進むにつれ、300W以上の電力を安定して供給するためのインターフェースやケーブルが新たな課題になっている。次世代の電力供給システムには、安全性と耐久性をさらに高めた設計が求められるだろう。

ユーザーが取るべき対策と今後の展望

RTX 5080やRTX 5090のコネクター溶解問題を受け、ユーザーは使用する電源ユニットやケーブルの選定に慎重になる必要がある。特に、12VHPWRケーブルは規格上の仕様を満たしていたとしても、現実の運用環境でどのような影響を受けるかは未知数だ。電源ユニットとの相性や、適切な接続が確実に行われているかどうかを確認することが重要となる。

また、今回の事例では、ユーザーが電源コネクターの警告ランプを見逃さず、異変に気付いたことで被害の拡大を防ぐことができた。警告ランプや異常な発熱があった場合には、すぐに電源を落とし、ケーブルの状態を確認することが推奨される。また、必要に応じて電源ユニットやケーブルを交換することも検討すべきだろう。

今後の展望としては、NVIDIAや電源ユニットメーカーが、この問題にどのように対応するかが注目される。RTX 4090の際には、ユーザーの報告が相次いだ後に、一部のメーカーが改善策を講じた経緯がある。RTX 5080やRTX 5090においても、メーカー側からの正式な声明や、改良版の電源コネクターが登場する可能性があるだろう。

また、YouTubeチャンネル「Gamers Nexus」のスティーブ・バーク氏が、RTX 5080のケーブルやPSUを購入し、詳細なテストを行う意向を示している。こうした専門家の検証結果が明らかになれば、原因の特定や適切な対策がより具体的に見えてくるはずだ。ユーザーとしても、メーカーの対応だけでなく、第三者のテスト結果を参考にしながら、安全な環境でGPUを運用していくことが求められる。

Source:TechSpot