Appleが長年にわたり採用してきた「スペースグレイ」カラーが、ついにその役目を終えつつある。最新のM4 MacBook Airでは、この象徴的なカラーが排除され、新たにスカイブルーが採用された。これにより、スペースグレイを採用するMacはM3 MacBook Airが最後となった。
スペースグレイは2013年のiPhone 5sで初登場し、その後MacBookやiPad、HomePodなど多くの製品に広がった。しかし、近年では「スペースブラック」「ミッドナイト」などの新色に置き換えられ、存在感が薄れつつあった。そして現在、このカラーが残るのはM3 iPad AirとA17 Pro搭載のiPad miniの2製品のみとなっている。
Appleは一貫したカラーデザインを持たないことで知られ、スペースグレイも製品ごとに微妙な色の違いがあった。特に光の加減によってシルバーやブラックに見えることもあり、ユーザーからは統一感のなさが指摘されてきた。今後、Appleはよりダークな色調、もしくは明るいトーンのカラーに移行していく可能性が高い。
Apple製品から消えるスペースグレイ その歴史と変遷

Appleが初めてスペースグレイを導入したのは2013年のiPhone 5sだった。それ以前のiPhone 5で採用されていた「スレート」カラーに代わる新たなダークトーンの仕上げとして登場し、当時のApple製品におけるブラック系の新たな選択肢となった。その後、2015年には12インチMacBookにスペースグレイが加わり、シルバー以外のアルミニウム製Macとしては初のカラーバリエーションとなった。
さらに2016年にはMacBook Proにも採用され、多くのユーザーにとってAppleの象徴的なカラーとなっていった。iMac Proではスペースグレイが専用色として設定され、特にプロ向けモデルの高級感を演出する重要なカラーとなった。しかし、MacBook Air、Mac mini、iPad、HomePod、AirPods Maxなどにも広がったことで、特別感は徐々に薄れていった。
近年、Appleは「スペースブラック」や「ミッドナイト」といった新たなカラーバリエーションを積極的に展開し、スペースグレイは次第に姿を消していった。M4 MacBook Airではスカイブルーが導入され、Macのラインナップから完全にスペースグレイが消滅。現在、このカラーが残るのはM3 iPad AirとA17 Pro搭載のiPad miniのみであり、Appleのカラーデザインの方針が大きく変化していることが見て取れる。
Appleのカラーデザインにおける一貫性の欠如
Appleのカラーデザインは、シンプルながらも時代とともに大きく変化してきた。スペースグレイもその例外ではなく、一見すると統一された色に見えるが、製品ごとに微妙に異なっていた。2018年にはMichael Steeberが詳細な分析を行い、スペースグレイのバリエーションが数種類存在することが指摘されている。光の当たり方や材質の違いによって、シルバーに近く見えたり、スペースブラックとの区別がつかないこともあった。
Appleは歴代の製品でブラック系のカラーバリエーションを変遷させてきた。iPhoneでは「スレート」から「スペースグレイ」、そして「ジェットブラック」や「ミッドナイト」に移行し、MacBook Proではスペースグレイが廃止された後、「スペースブラック」が採用された。このような変更は、統一感を持たせるというよりも、時代の流れに合わせて新しいカラーブランディングを試みているようにも見える。
一方で、ユーザーの中には一貫性の欠如を指摘する声もある。例えば、スペースグレイのMacBookと同じカラーのアクセサリーを揃えようとしても、世代によって微妙に色味が違うことがあった。統一感を求めるAppleユーザーにとって、これは違和感を覚えるポイントだったかもしれない。今後、Appleがどのようなカラーデザイン戦略を取るのか、特にプロ向け製品での方向性が注目される。
スペースグレイ消滅後、Appleのカラーデザインはどうなるのか
Appleの最近のカラーデザインの傾向を見ると、ダークトーンの色はスペースグレイからスペースブラック、ミッドナイトへと移行しつつある。一方で、M4 MacBook Airではスカイブルーが導入されるなど、明るい色へのシフトも見られる。この動きは、Appleがカラーバリエーションに対して新たなアプローチを模索している証拠とも考えられる。
過去の傾向からすると、Appleは一定の期間ごとにカラーデザインの大きな変更を行ってきた。例えば、iMacは長年シルバーのみだったが、M1 iMacではカラフルな展開に転換した。同様に、iPadやMacBookも、かつてはシルバーとスペースグレイの2色が主流だったが、現在はブルーやミッドナイト、スペースブラックなど多彩なカラーバリエーションが増えている。
スペースグレイが消えた後のAppleのカラーデザインがどう進化するかは不透明だが、より大胆な色使いが増える可能性もある。特に、MacBookシリーズでは、かつての12インチMacBookのようにゴールドやローズゴールドの復活を望む声もある。Appleのデザイン哲学が今後どの方向へ向かうのか、ユーザーの関心は尽きない。
Source:9to5Mac