Appleのアップグレード価格は高額で知られるが、MacBook Airに関してはその影響が比較的少ない。999ドルの最安構成でも実用に耐え、最高構成にしてもMacBook Proほどの価格にはならない点が特徴だ。
新型MacBook Airでは、GPUのアップグレードオプションが限られ、標準16GBのRAMは最大32GBまでしか拡張できない。ストレージも2TBが上限となっており、MacBook Proとの差別化が意識されている。
Appleは戦略的に「手頃な価格帯」のモデルを用意しつつ、高額なアップグレードオプションで利益を確保している。結果として、MacBook Airはアップグレードなしでも十分な性能を発揮し、コストパフォーマンスの高さを維持している。
MacBook Airのアップグレード価格は本当に「高額」なのか

Appleの製品はカスタマイズ時の追加料金が高額になりがちだが、MacBook Airに関しては比較的抑えられている。たとえば、13インチモデルの最上位構成にFinal Cut ProとLogic Proを追加しても2,698.98ドルに収まり、15インチモデルでも2,898.98ドルとなる。これは、MacBook Proのフルカスタマイズ時の総額と比べると大きな差がある。
MacBook AirのRAMは標準16GBから最大32GBまでアップグレードでき、ストレージも最大2TBに対応する。これに対し、16インチMacBook Proは最大128GBのRAMと8TBのSSDを搭載可能で、それぞれの追加料金は1,000ドル、2,200ドルに達する。MacBook Airのアップグレード費用は、Apple基準では比較的良心的な部類に入るといえる。
価格を抑えつつも、MacBook Airは基本構成の時点で十分な性能を備えている点が特徴だ。特にMシリーズチップの性能向上により、標準構成でも多くの用途に対応できる。このため、アップグレードを前提としなくても実用的な点は、他のApple製品と比べてコストパフォーマンスの面で優れていると考えられる。
Appleの価格戦略とMacBook Airの「制限」
Appleは価格戦略として、低価格モデルを設定しつつ、アップグレードオプションで利益を確保する手法を取る。たとえば、MacBook Airの最安モデルは999ドルに設定されているが、標準のRAMやストレージ容量を考慮すると、実際にはより高価なモデルが選ばれることが多い。
MacBook Airのカスタマイズオプションは、MacBook Proとの差別化を意識している。RAMは32GBまで、SSDは2TBまでと上限が決まっており、より多くのメモリやストレージを求める場合はMacBook Proを選ぶしかない。一方で、GPUのアップグレードは可能だが、標準構成でも十分な性能を持つため、大きな違いが生まれにくい。
また、MacBook Airでは電源アダプターの選択肢が用意されているが、価格差は存在しない。これに対し、Mac Studioのようなハイエンド機種では、最大構成時の価格が大幅に上がる傾向がある。このように、Appleは製品ごとに異なる価格戦略を採用し、ユーザーがどの製品を選ぶかを巧妙に誘導しているといえる。
MacBook Airの「適度な手頃さ」が持つ意味
MacBook Airは、Apple製品の中ではコストパフォーマンスのバランスが取れたモデルといえる。最安構成でも実用的であり、アップグレードしてもMacBook Proほどの高額にはならないため、多くのユーザーにとって手の届きやすい選択肢となっている。
Appleは過去に、第10世代iPadのストレージを64GBに固定し、長年アップグレードしなかったことがある。これは、より高容量のモデルを購入させるための戦略とも考えられる。しかし、MacBook AirではストレージやRAMの選択肢が適度に用意されており、最低限のスペックでも十分に使える点が評価される。
また、MacBook Airのアップグレードオプションが制限されていることは、逆にシンプルな選択肢を提供するメリットにもなる。ユーザーが必要なスペックを簡単に決められる点は、MacBook Proの多様なカスタマイズオプションとは異なる魅力といえる。この「適度な手頃さ」が、MacBook Airを多くのユーザーにとって魅力的な製品にしている要因のひとつである。
Source:AppleInsider