Appleは新型Mac StudioとともにM3 Ultraを発表したが、M4 Ultraの姿はなかった。M1、M2、M3と続いてきたUltraモデルがM4世代では登場しない理由は何か。

Appleは、すべてのApple Silicon世代にUltraモデルを提供するわけではないと明言。M3 UltraはM2 Ultra比で1.5倍、M1 Ultra比で最大2.6倍の性能を誇るが、M4 MaxにはUltraFusionコネクタが搭載されておらず、M4 Ultraの開発には新たな設計が必要となる。そのため、AppleはMac Studioのアップグレードを優先し、M4 Ultraの投入を見送った可能性が高い。

M3 Ultraの構造と性能向上のポイント

M3 Ultraは、AppleのUltraFusionアーキテクチャを採用し、2つのM3 Maxチップを1万本以上の高速接続でリンクすることで、1つのユニットとして機能する。この技術により、M3 UltraはM2 Ultraと比較して約1.5倍、M1 Ultraと比較すると最大2.6倍の性能を発揮する。

特にGPU性能の向上が顕著で、新しいGPUにはダイナミックキャッシング、ハードウェアアクセラレーションによるメッシュシェーディング、レイトレーシングといった機能が追加された。これにより、3Dレンダリングや高負荷なグラフィック処理のパフォーマンスが向上し、プロ向けの制作環境やゲーム開発などにおいて恩恵が大きい。

また、M3 Ultraは従来のApple Siliconと同様に省電力設計を維持しながら、高い処理能力を実現している。従来のUltraモデルと同じくMac Studioなどのハイエンド製品に搭載され、クリエイティブワーク向けに最適化されている点も見逃せない。

M4 Ultraが登場しない理由と技術的な背景

今回、AppleはM4 Ultraを発表しなかった。これはM4 MaxにUltraFusionコネクタが搭載されていないことが大きな要因となっている。UltraFusionアーキテクチャは、2つのMaxチップを統合する技術だが、M4 Maxにはこの構造が採用されていないため、現時点ではM4 Ultraの設計自体が技術的に難しい状況となっている。

Appleは「Mac Studioのアップグレードを今行うことを選択した」とコメントしており、M4 Ultraの開発を急ぐ必要性がなかったと考えられる。Thunderbolt 5の下位互換性を考慮すると、M3 Ultraの投入で十分なアップグレードが果たせると判断した可能性がある。

Apple Siliconは世代ごとに大きな変化を遂げているが、すべての世代でUltraモデルが登場するわけではない。M4 Ultraの代わりにM3 Ultraを採用することで、パフォーマンス向上と新型Mac Studioのリリースを両立させた形となった。

次世代Ultraモデルの展望と今後の可能性

Appleは今後もUltraモデルを継続する可能性があるが、その登場時期は世代ごとに異なると考えられる。これまでM1、M2、M3とUltraモデルが登場してきたが、M4世代では見送られたことで、次のUltraモデルはM5世代以降になる可能性がある。

M5 Maxが登場すれば、Appleは再びUltraFusionを採用し、M5 Ultraを設計するかもしれない。ただし、その際にはM4世代のアーキテクチャがどのように進化するかも重要なポイントとなる。もしM4世代で大幅な変更が加えられる場合、M5 Ultraも従来の方式とは異なる設計となる可能性がある。

Appleは一貫してパフォーマンスと電力効率のバランスを重視しており、Ultraモデルが登場するかどうかは市場のニーズや技術的な進化によって決まる。M3 Ultraのような構造が今後も採用されるか、あるいは新たな方法でハイエンドモデルが進化するか、次世代Apple Siliconの動向に注目が集まる。

Source:AppleInsider