インテルが開発を進める次世代ディスクリートGPU「Celestial」は、Xe3Pアーキテクチャを採用し、TSMCではなくIntel Foundryで製造される可能性が高い。この動きは、インテルの自社製造戦略において大きな転換点となるかもしれない。
Battlemageシリーズの後継として登場するCelestial dGPUは、さらなる高性能化が期待されており、ハードウェア情報提供者の@OneRaichuによれば、従来のXeアーキテクチャを大幅に強化した設計になるという。また、HWINFOの更新ログにも「Xe3」ディスクリートGPUのサポートが追加されており、開発が着実に進行していることを示唆している。
一方で、インテルはこれまでTSMCの製造プロセスを利用してきたが、Celestialシリーズではこれを取りやめ、完全に自社のファウンドリへ移行する可能性がある。この方針転換により、製造の最適化や競争力の強化が図られるとみられる。リリース時期については2025年末から2026年初頭が有力視されており、今後の公式発表に注目が集まる。
Celestial dGPUの性能向上に寄与するXe3Pアーキテクチャの特徴とは

インテルが開発中のCelestial dGPUは、Xe3Pアーキテクチャを採用することで、従来のGPUに比べて大幅な性能向上が見込まれている。このXe3Pは、現在市場に出ているXe2(Battlemage)の進化版であり、内部構造が最適化され、処理効率が向上していると考えられる。
特に、シェーダーエンジンの強化、キャッシュの最適化、レイトレーシング性能の向上など、最新のGPU市場で求められる要素が盛り込まれる可能性が高い。また、Celestial dGPUがどの市場をターゲットにするのかも注目されている。Battlemageシリーズはミドルレンジ市場向けの展開が中心だったが、Xe3Pを採用することでCelestialがハイエンド市場を狙う可能性がある。
競争相手となるのは、NVIDIAのGeForce RTXシリーズやAMDのRadeon RXシリーズとなるだろう。特に、AI処理能力の向上や、最新のグラフィックスAPIとの親和性がどこまで進化するかが重要なポイントとなる。
これまでのインテルGPUは、ソフトウェア面の最適化不足が課題とされてきた。しかし、Xe3Pアーキテクチャではドライバーの改善が進み、より安定したパフォーマンスを発揮する可能性が高い。開発中のCelestialシリーズが、競争の激しいGPU市場でどこまでの性能を発揮できるのか、今後の技術情報の公開が待たれる。
TSMCからIntel Foundryへの製造移行が意味するもの
Celestial dGPUの製造において、インテルはTSMCを採用せず、Intel Foundryを利用する可能性が高い。これまでインテルのディスクリートGPUはTSMCのプロセス技術を活用していたが、今後は自社の製造ラインへと切り替える動きが見られる。これは、同社がファウンドリ事業の強化を目指していることと密接に関係している。
TSMCは、業界トップクラスの半導体製造技術を誇るが、近年はNVIDIAやAMD、Appleなどの主要企業がその製造能力を求めて殺到しており、供給が逼迫している。この状況を踏まえ、インテルが自社の製造能力を活用することで、供給の安定性を確保する狙いがあると考えられる。また、自社製造を進めることで、最適化が進み、インテルのGPU設計との親和性が向上する可能性もある。
ただし、Intel FoundryがTSMCと同等の製造技術を提供できるかどうかは未知数である。現在のTSMCは最先端の3nmプロセスを採用しているが、インテルがCelestial dGPUでどのプロセスノードを採用するかは明らかになっていない。もしインテルの製造技術がTSMCに匹敵するレベルに達していれば、同社の競争力は大きく向上するが、そうでなければ製造の選択が課題となる可能性もある。
Celestial dGPUのリリース時期と今後の展望
現在、Celestial dGPUの正確なリリース時期は明らかにされていない。しかし、インテルのロードマップを考慮すると、2025年後半から2026年初頭に登場する可能性が高い。このタイミングは、インテルが計画している新世代CPU「Panther Lake」の発表と一致するため、同時期に発表される可能性もある。
Celestialシリーズの投入は、インテルがディスクリートGPU市場での競争力をさらに高める意図を示している。現在、インテルのGPUは主にエントリーレベルからミドルレンジ市場をターゲットにしているが、今後はハイエンド市場への進出も視野に入れている可能性がある。
もし、Celestial dGPUが競争力のある価格と性能を兼ね備えていれば、NVIDIAやAMDの独占状態に変化をもたらす可能性がある。また、GPUの用途としてAI処理の強化も視野に入っていると考えられる。近年、NVIDIAのRTXシリーズはAI処理能力の向上が著しく、特に生成AIや機械学習分野での活用が進んでいる。
インテルのXe3Pアーキテクチャがこの流れにどこまで対応できるのかも、重要なポイントとなるだろう。今後の詳細な技術発表により、Celestial dGPUがどのような仕様を持ち、市場でどのポジションを狙うのかが明らかになっていく。正式な発表が待たれる。
Source:Wccftech