Appleは2月19日に新製品を発表すると告知した。最も注目されるのは、新型「iPhone SE 4」の登場である。現行モデルは2022年のアップデート以降、iPhone 6由来のデザインを維持してきたが、今回の新モデルでは「iPhone 14」をベースとする可能性が高い。

特に、EU規制による旧モデル販売終了の影響で、手頃な価格帯のiPhoneが不足していたことも、新型投入の背景にあると考えられる。新モデルはUSB-Cポートを採用し、6.2インチOLEDディスプレイを搭載するとの予測も出ている。

さらに、Appleの最新チップ「A18」や独自開発の5Gモデムが採用される可能性も指摘されており、AI機能「Apple Intelligence」の搭載にも期待が集まっている。

iPhone SE 4がもたらす変化 旧モデルとの決定的な違いとは

新型「iPhone SE 4」は、従来モデルとは一線を画す仕様となる可能性が高い。最大の違いは、デザインの大幅な刷新だ。これまでのSEシリーズは、古いiPhoneの筐体を活用することでコストを抑え、手頃な価格を維持してきた。しかし、今回の新モデルは「iPhone 14」をベースとする見込みであり、これまでのコンパクトなSEシリーズとは異なる印象を与えるだろう。

さらに、充電ポートがLightningからUSB-Cに変更される点も大きな変化だ。EUの規制によってAppleは全製品のUSB-C移行を余儀なくされており、iPhone SE 4も例外ではない。これにより、MacやiPadと充電環境を統一できる利点が生まれる。

また、ディスプレイの進化にも注目が集まる。従来の液晶(LCD)ではなく、有機EL(OLED)ディスプレイが採用される可能性があり、画面の視認性や発色が大幅に向上すると予測される。現行のSEは4.7インチとコンパクトだが、新モデルでは6.2インチの大型ディスプレイになると報じられており、操作感が大きく変わる可能性がある。

さらに、プロセッサのアップグレードも予想される。最新のA18チップが搭載される場合、処理性能の向上に加え、Appleが開発を進めるAI機能「Apple Intelligence」にも対応する可能性がある。これにより、音声アシスタントの進化やカメラのAI補正機能が強化されるかもしれない。

こうした変更点は、従来のiPhone SEシリーズの特徴だった「手頃なサイズ感」と「エントリーモデルらしい価格設定」にどのような影響を与えるのかが気になるポイントだ。デザインの刷新や高性能化が進む一方で、価格が上昇する可能性もあり、従来のSEユーザーにとって受け入れやすいモデルとなるのか、発表後の市場の反応が注目される。

EU規制がiPhone SE 4の投入を加速 低価格モデルの空白を埋める狙い

iPhone SE 4の登場が、Appleの通常の発売サイクルから外れている点にも注目すべきだ。Appleは通常、iPhoneの新モデルを9月に発表し、その年のフラッグシップモデルを中心に展開する。しかし、今回は2月の発表となり、これはEUの規制による影響が大きいと考えられる。

EUでは旧型のLightningポートを搭載したiPhone SEの販売が昨年末で終了し、Appleの公式ストアでは購入できない状況となった。これにより、手頃な価格帯のiPhoneが市場から消え、一部の小売店に残る在庫を除けば、新規購入が難しくなった。Appleはこのギャップを埋める必要があり、その解決策としてiPhone SE 4を前倒しで投入する判断を下した可能性がある。

また、競合メーカーの動きも影響していると考えられる。SamsungやGoogleは、すでにミドルレンジ市場向けに新型モデルの投入を計画しており、特にSamsungは「Galaxy A」シリーズ、Googleは「Pixel 7a」などのラインナップでシェアを拡大している。Appleとしては、この流れに遅れを取るわけにはいかず、販売戦略を修正する必要があったのだろう。

とはいえ、SEシリーズの本来のコンセプトである「コストパフォーマンスの良さ」が維持されるのかどうかは不透明だ。最新技術を採用すればコストが上がり、従来の手頃な価格が実現できない可能性がある。今回、600ユーロ(約9万円)程度になると報じられているが、これは従来のSEシリーズよりも高めの設定だ。Appleがどのようなバランスを取るのか、正式な発表を待ちたいところだ。

Apple独自の5Gモデムが初搭載へ モバイル通信技術の新たな一歩

iPhone SE 4では、Appleが独自に開発した5Gモデムが初めて搭載される可能性がある。これまでAppleは、Qualcommの5Gモデムを採用していたが、独自開発を進めており、ついにその成果がSEシリーズから投入される可能性が出てきた。

Appleが自社製の5Gモデムを開発する理由は明確だ。まず、チップのサプライチェーンを最適化し、Qualcommへの依存度を下げることでコスト削減を図れる。さらに、ハードウェアとソフトウェアを統合することで、通信性能を向上させ、電力効率の最適化が可能になる。特にバッテリー容量の限られるSEシリーズにとって、効率的な通信技術は重要な要素となる。

しかし、Appleの5Gモデム開発は順調ではなかったと報じられている。Qualcomm製のモデムと比較して、性能面や安定性での課題が指摘されており、果たしてSE 4に搭載されるのか、それとも次世代モデルに先送りされるのかはまだ確定していない。もし搭載されれば、Appleにとって大きな転換点となるが、性能や安定性の評価がカギを握るだろう。

また、5Gモデムの進化は、iPhoneの通信環境だけでなく、Appleが計画する将来的なXR(拡張現実)デバイスやAI関連機能にも影響を与える可能性がある。Apple Intelligenceを活用した機能の強化に加え、よりスムーズなクラウド接続が求められる時代において、5Gモデムの性能向上は避けて通れない課題だ。

iPhone SE 4の発表は、単なるエントリーモデルの刷新にとどまらず、Appleの通信技術の転換点としても重要な意味を持つ可能性がある。今後のAppleの5G戦略を占う上でも、このモデルの動向に注目が集まる。

Source:Mac & i (heise online)