ドイツのPCパーツ小売店Mindfactoryで、AMDのCPUが圧倒的なシェアを記録した。1月の販売データによると、AMD製CPUは全体の92.16%を占め、Intel製CPUの販売数を大きく引き離した。特にRyzen 7 9800X3Dの人気は突出しており、Zen 5世代のCPU販売数の87%をこのモデルが占めるほどだった。
この流れの背景には、Intelの最新Arrow Lake-SデスクトップCPUの低調なゲーム性能があるとされる。これにより、多くのゲーマーがAMDのRyzenシリーズへと移行し、販売比率はIntelの1に対しAMDが11.7という驚異的な差を生み出した。IntelのCore Ultra 200シリーズの販売はわずか0.72%にとどまり、AMDの優位がより鮮明になっている。
一方で、AMDは3D V-Cache技術をすべてのCPUに標準搭載する計画はないと発表。これはゲーム用途に特化しすぎるためだが、依然としてゲーマーからの支持は厚い。Mindfactoryでの販売データは、ゲーム性能に優れたCPUが市場でどれほど求められているかを如実に示している。
Ryzen 7 9800X3Dが圧倒的な人気を誇る理由とは
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AMDのRyzen 7 9800X3DがMindfactoryで圧倒的なシェアを記録した背景には、技術的な強みと市場の状況がある。このCPUは、AMD独自の3D V-Cache技術を搭載しており、大容量キャッシュによってゲーム性能を大幅に向上させている。特に、レイテンシを抑えつつ処理速度を向上させる設計が、ゲーマーにとって大きな魅力となった。
また、Intelの最新Arrow Lake-Sシリーズが期待外れだったことも、Ryzen 7 9800X3Dの販売を後押しした。最新のIntel Core Ultra 200シリーズは、従来のRaptor Lake-Sと比較してもゲーム性能が向上しておらず、消費者の期待を裏切る結果となった。
一方、Ryzen 7 9800X3Dは市場での評価が高く、特に高リフレッシュレート環境では顕著なフレームレート向上が見られる。この点が、ゲーマーの間で「最も優れた選択肢」として認識されている理由だろう。
価格面でもRyzen 7 9800X3Dは、ハイエンドCPUとしては比較的手が届きやすい。Amazonでは587ドルで販売されており、性能と価格のバランスが取れたモデルといえる。結果として、MindfactoryではZen 5世代のCPU販売数の87%をこのモデルが占め、全体の販売シェアでも47%を獲得するほどの圧倒的な人気となった。
Intelの失策がAMDの快進撃を後押しする結果に
AMDの急成長の背景には、Intelの失策が大きく影響している。最新のArrow Lake-Sシリーズは、従来のRaptor Lake-Sと比べてもゲーム性能の向上が見られず、ユーザーからの期待を大きく裏切った。特に、ハイエンド市場で重要視されるフレームレートの向上がほとんど見られず、AMDのRyzen 7 9800X3Dとの差が広がる結果となった。
さらに、IntelのCore Ultra 200シリーズはMindfactoryでわずか185ユニットしか売れておらず、全販売数の0.72%にとどまった。この数字は、Intelの最新CPUが市場でほとんど注目されていないことを示している。一方で、AMDは積極的にゲーム向けの最適化を進め、3D V-Cacheを活用した高性能な製品を提供し続けている。この差が、販売実績の違いとして明確に表れている。
Intelの市場戦略の失敗も見逃せない。消費者の関心が高いゲーム用途でのパフォーマンスを軽視し、AIや省電力といった別の要素に焦点を当てたことが、ゲームユーザーの離反を招いた可能性がある。今後の市場動向次第ではあるが、AMDの強みを考慮すると、この傾向が短期間で逆転することは難しいだろう。
3D V-Cacheの未来 ゲーム向け技術はどこへ向かうのか
AMDの3D V-Cache技術は、現時点ではゲーム向けに最適化された技術として注目されているが、AMDはこの技術を全てのCPUに搭載する予定はないと発表している。その理由の一つとして、ゲーム以外の用途では大きなメリットが得られにくいことが挙げられる。
実際、一般的な計算処理やクリエイティブ用途では、3D V-Cacheの恩恵は限定的であり、製造コストの高さも普及を妨げる要因となっている。しかし、ゲーマーの間ではこの技術の評価が非常に高い。特に、CPUがボトルネックになりやすい高リフレッシュレート環境においては、3D V-Cache搭載モデルが大きな優位性を発揮する。
実際、Ryzen 7 9800X3Dの人気がMindfactoryの販売データに表れており、ゲーマーがいかにこの技術を求めているかが分かる。将来的に、AMDが3D V-Cacheをどのように展開するかは不透明だが、ゲーム向けに特化したチップの開発は続くと考えられる。
今後も3D V-Cacheの進化が続けば、Intelがこの分野で巻き返すのは容易ではないだろう。ゲーム性能を最優先するユーザーにとって、AMDの動向は引き続き注目に値する。
Source:NotebookCheck