Appleは、2017年に販売が終了したiPod nanoおよびiPod shuffleを正式に「オブソリート」リストに加えた。これにより、これらの製品は今後Appleの修理サービスを受けることができなくなる。長らく音楽プレイヤー市場をリードしてきたiPodシリーズだが、ついにその時代が完全に幕を閉じる形となった。

iPodの歴史に終止符――nanoとshuffleが正式に「オブソリート」へ

Appleは2024年10月、iPod nanoとiPod shuffleを正式に「オブソリート」とし、修理サポートを終了した。これにより、iPodシリーズの物理的な修理対応は終了し、2000年代初頭から続いた音楽デバイスとしてのiPodの歴史に事実上の終止符が打たれた。nanoやshuffleは、それぞれ2005年と2006年に発売され、シンプルな操作性とコンパクトなデザインで多くの音楽ファンを魅了してきたが、スマートフォンやストリーミングサービスの普及とともに徐々にその役割を終えていった。

iPodシリーズの最後のモデルであるiPod touchも2022年に販売が終了し、これによりAppleは音楽プレイヤー専用機器の市場から完全に撤退したことになる。nanoとshuffleの修理サポート終了は、その終焉の象徴的な出来事といえるだろう。Appleはこれらの製品を長年にわたり支持してきたファンのために、しばらくの間は在庫分の修理対応を続けてきたが、今回の発表でその対応も完全に終了する。

今後、nanoやshuffleを愛用してきたユーザーは、これらのデバイスがいつまで正常に動作するかに依存することとなり、修理が必要となった場合は自力での対応を余儀なくされるだろう。

Appleのデバイス寿命管理ルールと今回の対象機種

Appleはデバイスの寿命管理に明確な基準を設けており、製品が発売終了から5年後に「ビンテージ」、7年後に「オブソリート」とされる。この「オブソリート」に分類されたデバイスは、Appleによる公式の修理サービスやサポートを受けることができなくなる。今回、iPod nanoとiPod shuffleがこの基準に達し、修理対応が打ち切られることとなった。

今回のリストには、nanoとshuffleのほか、2017年に販売されたiPhone 6や12インチMacBook、iPad(第6世代)も含まれている。これらのデバイスはまだ一部のユーザーに使用されている可能性があるが、修理が不可能になることで今後の利用に大きな制約が生じるだろう。Appleのこのような明確なルールは、一見厳しいように思えるが、技術の進化に伴う新しいデバイスへの移行を促進する側面もある。

しかし、特にiPodシリーズに関しては、その時代背景とともに多くのユーザーに愛された製品であるだけに、今回の「オブソリート」化は感慨深いものがある。デジタル音楽の普及に大きく貢献したこれらのデバイスが、ついにその役割を終えたことは、Appleにとっても一つの時代の終焉を象徴している。

時代を彩ったiPodシリーズ、その功績と衰退

iPodシリーズは、Appleにとって単なる製品以上の存在であり、デジタル音楽革命の象徴であった。2001年に初代iPodが発売され、手軽に持ち運べる音楽デバイスとして瞬く間に世界中でヒットした。iPodは、1000曲をポケットに持ち歩けるという斬新なコンセプトで、多くの音楽ファンの心をつかみ、Appleがグローバルブランドとしての地位を確立する一助となった。

iPod nanoやshuffleもその流れを汲み、軽量かつ小型のデザインで持ち運びやすさが魅力であった。特にshuffleは、ボタン操作だけで音楽をシャッフル再生するというユニークな機能が特徴で、ランニングやフィットネスの際に愛用された。nanoは、カラー表示や動画再生機能を搭載し、より多機能な音楽プレイヤーとして人気を集めた。

しかし、スマートフォンの台頭と音楽ストリーミングサービスの普及により、iPodシリーズはその役割を終えた。音楽プレイヤー専用機器の需要は減少し、iPhoneがその機能を完全に代替するようになったため、iPodの存在感は次第に薄れていった。2022年にはiPod touchの生産終了が発表され、iPodシリーズは完全に歴史の幕を下ろすこととなった。

次世代音楽デバイスへの移行を考えるべき時

iPodシリーズが「オブソリート」とされた今、次世代の音楽デバイスへの移行がユーザーにとって重要な課題となる。現在の市場では、Apple自身が展開するAirPodsやApple Watchが、音楽プレイヤーの新たな役割を担っている。これらのデバイスは、単なる音楽再生機能だけでなく、ヘルスケアや通知機能など、多様な機能を備えており、スマートフォンとの連携を強化することでユーザー体験を向上させている。

特に、Apple Watchは音楽のストリーミング再生やオフライン再生が可能であり、ランニングやトレーニング中にスマートフォンを持たずに音楽を楽しむことができる。これは、かつてのiPod shuffleが担っていた役割を引き継ぐものであり、フィットネス愛好者にとっては理想的な選択肢となっている。

さらに、Apple MusicやSpotifyなどのストリーミングサービスが一般化した現代において、音楽デバイスはもはや単独の製品ではなく、エコシステムの一部として機能している。iPod nanoやshuffleの時代は終わったが、ユーザーは次の世代の音楽体験へと進むべき時期に来ている。