音楽ストリーミングアプリ「Musi」は、アップルがYouTubeの主張を鵜呑みにし、不当な理由でApp Storeから削除したとして提訴した。Musiは、削除がアプリとそのユーザーに「取り返しのつかない損害」を与えているとし、App Storeへの復帰を求めている。また、失われた利益とその他の損害賠償も求めており、法廷での決着が注目される。
YouTube側の主張に基づく削除が正当でないとするMusiの訴えは、音楽アプリ業界に波紋を広げている。
Musi、アップルの開発者契約違反を主張
Musiは、アップルが開発者契約に違反したとして訴えを提起している。具体的には、アップルが第三者の苦情に基づき、十分な証拠を確認することなくアプリを削除したことが問題視されている。Musiは、この措置が「誠実に取引を行う義務」を無視しているとし、アップルの対応を強く非難している。
Musiは、App Store上での存在が収益の大部分を占めているため、アプリの削除が事業全体に深刻な打撃を与えたと主張している。特に、削除後の売上減少やユーザー離れが深刻であり、これらの影響は「取り返しのつかない損害」として法廷で争われる見込みである。また、Musiはアップルに対して、今後の第三者からの苦情に対しても慎重な対応を求めている。
この訴訟は、アップルが開発者に対して不当に厳しい規制を課しているとの批判を新たに呼び起こしており、業界内外から注目を集めている。
YouTubeの「不正確な主張」に基づく削除を指摘
Musiが特に問題視しているのは、YouTubeがアップルに対して不正確な苦情を申し立てた結果、アプリが削除されたことである。Musiの訴えによれば、YouTubeは著作権侵害を理由にアプリ削除を要求したが、Musi側はこれを全面的に否定している。Musiの開発チームは、「合理的な調査が行われれば、YouTubeの主張が誤りであることは明らかだったはずだ」と強調している。
また、YouTubeが他の同様の音楽アプリに対しては同様の対応を取っていない点も疑問視されている。これにより、YouTubeが特定の競合を排除するために、意図的にMusiをターゲットにしたのではないかという見方が広がっている。こうした背景から、MusiはYouTubeの行為が不公正であり、その結果としてアップルの対応も不適切だったと主張している。
この問題は、音楽ストリーミングアプリ業界全体に波紋を広げており、Musi以外のアプリも同様のリスクに直面する可能性がある。
アプリ復帰に向けた法的措置と影響
Musiは、App Storeからの復帰を求めるため、法的措置を取った。具体的には、永久的な差し止め命令を求めており、これはアップルがMusiをApp Storeに再び掲載し、今後は証拠のない第三者からの苦情に対してアプリを削除しないよう強制するものである。Musiは、現在の状態が続けば、事業全体が「壊滅的な損害」を受けるとし、法的な早急な対応を求めている。
さらに、Musiは削除によって失われた収益や評判に対する賠償も求めている。これは、削除後のダウンロード数の急減と、それに伴うユーザーの離脱が事業に直接的な打撃を与えたためである。特に、App Store以外での配信がないため、削除の影響は甚大である。
この訴訟は、アップルと開発者の関係に新たな緊張をもたらし、アプリ市場における大手プラットフォームの影響力に対する規制の必要性が議論されるきっかけとなっている。
ユーザーの反応と今後の見通し
Musiの削除は、多くのユーザーに大きな影響を与えた。特に、長年の利用者が新しいiPhoneを購入した際にアプリが利用できなくなり、「心が折れた」といった感想を寄せている。また、MusiがApp Storeに復帰するのか、それとも他のアプリに乗り換えるべきかという声も多く上がっている。こうしたユーザーの声は、Musiの早期復帰を求める大きな要因となっている。
さらに、Redditなどのオンラインコミュニティでは、Musiの復帰を待ち望む声が多数寄せられているが、同時にMusiに酷似した偽アプリが出回っていることも報告されている。これにより、正規のアプリが削除された結果、ユーザーが詐欺アプリに騙されるリスクが高まっている。
今後、Musiが法的な勝利を収めてApp Storeに復帰できるかどうかは、業界全体が注目する焦点となっている。