Apple Payが、米国の大手小売店であるHome Depotとテキサス拠点のスーパーマーケットチェーンH-E-Bに再び導入されることが明らかになった。
H-E-Bは、380店舗で段階的にApple Payを含むモバイル決済のサポートを展開する計画を発表した。一方、Home Depotは競合他社に対抗する形で、静かにApple Payを再導入している。

Home DepotがApple Payを再導入

Home Depotは2024年10月、Apple Payの再導入を決定し、店舗においてモバイル決済を強化した。これにより、Apple Payの利用者は、以前は制限されていたHome Depotのレジで、iPhoneやApple Watchを使って簡単に支払いができるようになる。過去にはApple Payを導入した経緯があるものの、同社は2015年にそのサポートを終了していた。

今回の再導入は、同業他社との競争が激化する中での対応であり、主な競合であるLowesが2023年12月にApple Payを導入したことが背景にあると見られている。Home Depotは、モバイル決済を導入することで、利便性を求める顧客のニーズに応え、競争力を強化する狙いがある。これにより、支払いプロセスが迅速かつ効率的になり、顧客満足度の向上が期待される。

現在、一部店舗では既にApple Payが利用可能であり、段階的に全米の店舗へ拡大する予定である。これにより、キャッシュレス社会の進展とともに、従来のカードや現金に依存しない新しい購買体験が広がることが予想される。今後の展開次第では、さらなる決済方法の拡充も視野に入るだろう。

H-E-B、段階的にApple Payを展開

テキサス州を拠点とする大手スーパーマーケットチェーンH-E-Bは、380店舗においてApple Payを含むモバイル決済サービスの展開を段階的に進めることを発表した。サンアントニオ地域の主要店舗で2024年10月中に導入が始まり、その後11月にかけて他地域の店舗にも順次拡大する予定である。

H-E-Bの発表によると、Apple Payだけでなく、Samsung PayやGoogle Payといった他のモバイル決済プラットフォームもサポートする。この新しいシステムは、キャッシュレジスターやセルフチェックアウト、薬局、ブランドレストランなど、H-E-Bの多くのサービスポイントで利用できるようになる。ただし、ガソリンスタンドの支払いには対応しておらず、ドライブスルーの支払い窓口でのみ利用可能である。

H-E-Bがモバイル決済の導入を進める理由の一つとして、消費者の利便性向上と接触を減らすことで衛生面の強化が挙げられる。デジタル決済の普及が進む中、H-E-Bは他社に先んじてこの分野での革新を目指していると考えられる。今後、テキサス州内の消費者にとって、より便利でスムーズな買い物体験が提供されるだろう。

競合他社に対応する形でのモバイル決済の強化

Home DepotとH-E-BがApple Payを導入した背景には、競合他社の動きが影響している。特にHome Depotに関しては、主要な競争相手であるLowesが2023年にApple Payを導入しており、それに追随する形で再びモバイル決済を取り入れたと見られている。

競争が激化する小売業界において、消費者は支払いの利便性を重要視しており、モバイル決済の導入は店舗の差別化戦略の一環である。また、H-E-Bが段階的にApple Payを展開する中、同じく競合するスーパーマーケットチェーンも同様のサービスを拡充している。たとえば、Krogerは2023年にApple Payを導入し、顧客のデジタル決済ニーズに応えている。

一方で、Walmartのように独自の決済システムを構築し、Apple Payの導入に消極的な企業も存在する。こうした動きは、企業ごとのブランド戦略や顧客ターゲット層に基づくものであり、一概にどちらが優れているかは判断しにくい。しかし、消費者の選択肢が広がることで、全体としてモバイル決済の普及は今後も進展していくと考えられる。

Walmartは依然としてApple Payを導入せず

多くの大手小売チェーンがApple Payなどのモバイル決済を導入する中、Walmartは依然としてこのサービスに対応していない。Walmartは、独自のモバイル決済システム「Walmart Pay」を推進しており、Apple Payを含む他社のモバイル決済プラットフォームとの競争を選んだ形である。

Walmartは、Apple Payの導入を見送る代わりに、自社の顧客基盤を活用した独自の決済エコシステムを構築している。この戦略は、ウォルマートが顧客データを直接管理し、マーケティングや顧客ロイヤルティプログラムに活用できるという利点がある。しかし、Apple Payが広く普及する中、Walmartの対応に対する消費者の評価は分かれている。

Apple Payを利用したい消費者にとっては、Walmartでの買い物が不便になる可能性がある一方で、Walmart Payを使用することで得られる特典や利便性を享受する顧客も少なくない。今後、WalmartがApple Payを導入するかどうかは不透明だが、競争が激化する中、他社の動向や消費者のニーズに応じて対応が求められるだろう。