Apple Macintoshの希少なプロトタイプが再びオークションに出品されることが明らかになった。今回出品されるのは、5.25インチのディスクドライブを搭載した「Twiggy Macintosh」と呼ばれるモデルだ。このドライブはもともとApple Lisaに採用されたもので、Macintoshには最終的に採用されなかった。
Steve Jobsの命令でほとんどのプロトタイプは破棄されたが、いくつかは現存しており、今回のオークションで再び注目を集めている。
Twiggy Macintoshとは何か?その開発背景
「Twiggy Macintosh」とは、1980年代初頭に開発されたApple Macintoshのプロトタイプの一つである。このモデルは、5.25インチのフロッピーディスクドライブを搭載している点が特徴的だ。このドライブは、同時期に開発されたApple Lisaにも使用されていたものであり、そのコードネーム「Twiggy」に由来している。
しかし、この5.25インチのドライブは信頼性に欠けるという問題を抱えていた。ディスクの読み込みや書き込みに失敗することが多く、Macintoshにとって不可欠なディスクドライブとしては不十分であった。そのため、Appleは最終的にソニー製の3.5インチドライブを採用することを決定した。これにより、最終的な市販モデルは3.5インチドライブを標準装備することになり、Twiggyドライブを搭載したプロトタイプは少数にとどまった。
当時のAppleの共同創業者であるSteve Jobsは、Twiggy搭載のMacintoshプロトタイプが市場に出回ることを防ぐため、それらをすべて破棄するよう命じたと言われている。しかし、その命令にもかかわらず、いくつかのプロトタイプが現存しており、今回のオークションに出品されるモデルもその一つである。
希少性を高めるモデル番号「M0001」
今回のオークションで注目を集めているTwiggy Macintoshのプロトタイプは、特に希少なモデルである。その理由の一つが、モデル番号「M0001」が付されていることだ。この番号は、Apple Macintoshの最も初期のプロトタイプにのみ付与されたものであり、コレクターにとっては非常に価値が高い。
この「M0001」番号が付されたプロトタイプは、開発当時の重要なソフトウェアであるMacWriteの開発に使われたとされている。MacWriteは、当時のパーソナルコンピュータにおいて画期的なワープロソフトであり、Macintoshが商業的に成功する一因となった。このプロトタイプは、ソフトウェア開発用として使用されていたことから、その動作状態も比較的良好であることが確認されている。
2014年には、このプロトタイプは動作可能な状態にまで修復され、今回のオークションに出品される。わずか数台しか存在しないとされている「M0001」のTwiggy Macintoshは、非常に希少であり、コレクターにとっての魅力をさらに高めている。
これまでのオークションでの売却履歴
このTwiggy Macintoshは、過去にもオークションに出品された実績がある。特に2019年にBonhamsのオークションにて販売された際には、150,075ドルという記録的な高値で落札された。当時、この金額はMacintosh関連のオークションにおける最高額であり、業界内外で大きな話題となった。
このプロトタイプが特に高値で取引された理由は、その希少性に加えて、完動品として修復された状態で出品されたことが影響している。Macintoshのプロトタイプは多くが破棄されており、現存するものは限られている。その中でも、完全に動作する状態にあるものはさらに少ないため、コレクターにとって非常に貴重な存在である。
今回のオークションでも、前回同様に高額での取引が期待されている。特にAppleの歴史やパーソナルコンピュータの黎明期に興味を持つコレクターにとって、このプロトタイプは垂涎の的となっている。
予想落札価格と今後の動向
今回のオークションで出品されるTwiggy Macintoshのプロトタイプは、Bonhamsによると、80,000ドルから120,000ドルの間で落札されると予想されている。しかし、過去の取引やApple製品のオークションにおける最近の動向を考えると、これを上回る金額で落札される可能性も十分にある。
2024年初頭には、同じくAppleの初期製品である「Apple Lisa 1」がChristie’sのオークションで882,000ドルという驚異的な価格で落札された。この結果からもわかるように、Apple初期の製品に対するコレクターの需要は依然として非常に高い。特にSteve JobsやAppleの歴史に関連するアイテムは、今後もその価値を増すことが予想される。
今回のオークションは10月13日から23日にかけて開催される予定であり、Twiggy Macintoshの落札結果がApple製品の市場にどのような影響を与えるかが注目されている。