iPhone 16 Plusは、899ドルという価格でPro Maxに300ドルの差をつけながらも、多くの機能でその差を感じさせない。特に新たに追加されたアクションボタンとカメラ操作機能は、ユーザーにこれまで以上のカスタマイズ性を提供している。しかし、60Hzのリフレッシュレートや20Wの有線充電速度に改善が見られなかった点は惜しまれる。

iPhone 16 Plus、Pro Maxに比べた価格の魅力と実力

iPhone 16 Plusは899ドルという価格で、Pro Maxよりも300ドル安い。しかし、価格差にもかかわらず、iPhone 16 Plusは大画面体験をしっかりと提供している。Pro Maxほどのプレミアムな機能はないものの、ほとんどのユーザーにとっては十分な性能を備えており、コストパフォーマンスが高い。

新型のA18 BionicチップはProモデルにも採用されており、処理能力や省電力性能において同等のパフォーマンスを発揮する。日常的な利用では、アプリの起動速度やゲームの動作に違いを感じることはほとんどない。さらに、iPhone 16 Plusの大画面と強力なバッテリーは、長時間の使用にも耐えうる。

Proモデルと比べた際の大きな違いは、カメラやディスプレイ機能の一部に限られる。標準の60HzディスプレイはProの120Hzに及ばないが、多くのユーザーはその違いに気づかないかもしれない。カメラも若干性能は劣るが、日常的な写真や動画撮影には十分な品質を提供している。

新機能「アクションボタン」とカメラ操作の進化

iPhone 16 Plusで注目すべき新機能の一つが「アクションボタン」である。このボタンは従来の物理的なミュートスイッチに代わり、ユーザーが様々な機能をカスタマイズできるようになった。例えば、カメラの起動やボイスメモの開始、ライトの点灯など、日常的に使う機能を一瞬で呼び出せる。

このカスタマイズ可能なアクションボタンは、iPhoneをさらにユーザー個別のニーズに合わせることが可能にする。多くの人が、これまで手間がかかっていた操作を簡略化できるため、時間の節約にもつながるだろう。特に、よく使う機能を設定することで、iPhoneの操作性が格段に向上する。

また、新たに追加されたカメラコントロールは、さらに精密な操作を可能にする。軽く押すことでズームや露出の調整ができ、カメラの細かい設定を即座に変更できる。これにより、iPhone 16 Plusのカメラ機能は従来以上に使いやすくなっている。

カメラ性能:48MPフュージョンカメラとウルトラワイドレンズの活躍

iPhone 16 Plusは、48MPのフュージョンカメラと12MPのウルトラワイドレンズを搭載し、多様な撮影シーンに対応している。特に、フュージョンカメラはデジタル2倍ズームを駆使し、高解像度での撮影を可能にしており、細部にわたる鮮明な画像が撮れる。また、ウルトラワイドレンズは、風景や広範囲の被写体を撮影する際に効果を発揮する。

暗所での撮影能力も向上しており、従来のiPhoneよりも多くの光を取り込み、夜景や薄暗い環境でもクリアな写真を撮影できる。iPhone 15 Proと同様のマクロ撮影機能も搭載しており、接写時でも高い解像度を維持できる点が強みだ。料理の写真や小物のディテールを撮影する際などに重宝する。

カメラコントロールの新機能により、露出やズームの調整が直感的に行えるため、写真撮影の幅が広がった。これにより、iPhone 16 Plusはプロフェッショナルなカメラとまではいかないが、日常のシーンで十分に満足できる性能を提供している。

残念な点:リフレッシュレートと充電速度の改善の遅れ

iPhone 16 Plusの最大の弱点は、依然として60Hzのリフレッシュレートにとどまっている点である。多くのAndroidスマートフォンが90Hzや120Hzのリフレッシュレートを標準装備している中、60Hzは明らかに時代遅れに感じられる。特にゲーマーや映像コンテンツを頻繁に楽しむユーザーにとっては、この制限は少なからず不満を引き起こすだろう。

また、充電速度も20Wのままで、現代の基準ではやや遅い。MagSafeを使った場合でも最大25Wまでしか対応しておらず、競合他社が50Wやそれ以上の高速充電を実現しているのに対し、Appleの対応は遅れているといえる。実際、完全充電までに約1時間47分かかり、他の高価格帯スマートフォンと比べると遅さが際立つ。

この点に関しては、特に時間を重視するユーザーにとって致命的な欠点とは言えないが、改善の余地が大いにある部分である。リフレッシュレートや充電速度の向上は、次期モデルに期待するしかない。