Eurocomが発表した「Raptor X17」は、24TBのRAID 0 SSDストレージと128GBのDDR5 RAMを搭載可能なモバイルワークステーションだ。Intel Core i9-14900HXを採用し、24コア・32スレッドの圧倒的な処理能力を誇る。
GPUにはNvidia RTX 4090Mを採用するものの、最新のRTX 5090Mは非搭載。ディスプレイは17.3インチで、QHD 240HzまたはUHD 144Hzから選択できる。価格は12,000ドル(約180万円)からと超高額ながら、AIツールのトレーニングや高度なシミュレーションを行うプロフェッショナル向けの1台となっている。
24TBストレージと128GB RAMが実現する圧倒的なパフォーマンス

Eurocom Raptor X17は、3つのM.2スロットを搭載し、最大24TBのNVMe SSDストレージをRAID 0構成で利用可能だ。これにより、データ転送速度を飛躍的に向上させ、超高速のファイルアクセスが実現する。加えて、最大128GBのDDR5 RAM(最大5600MHz)を搭載できるため、負荷の高いタスクでもスムーズな処理が可能だ。
CPUにはIntel Core i9-14900HXを採用し、24コア・32スレッドという強力なスペックを誇る。このプロセッサーはIntel HM770チップセットを基盤とし、PCIe 4.0および5.0に対応することで、最新のNVMe SSDやGPUとの組み合わせでもボトルネックが発生しにくい設計となっている。
これらのスペックにより、AIのトレーニング、大規模シミュレーション、サイバーセキュリティ解析といった極めて計算負荷の高い作業をノートPCで行うことが可能となる。通常、このクラスの処理能力はデスクトップ環境でしか実現できないが、Raptor X17はその常識を覆す1台となっている。
RTX 5090Mは非搭載だが、依然として高いグラフィック性能
Raptor X17のGPUは、Nvidia RTX 4090Mを搭載している。9,728基のCUDAコアと304基のTensor AIコアを備え、AI処理や高解像度グラフィックのレンダリングをスムーズに行うことができる。これにより、3Dモデリングや動画編集、ゲーム開発といった用途でも安定した性能を発揮する。
一方で、最新のRTX 5090Mが搭載されていない点は、最先端のハードウェアを求めるユーザーにとってはやや物足りないと感じられるかもしれない。RTX 5090Mは正式発表前の段階だが、リーク情報によれば、さらに高性能なコア数とVRAMが期待されており、長期的な投資としては最新GPUを待つ選択肢もある。
しかし、現在市場に出回るノートPC向けGPUの中では、RTX 4090Mが最高クラスのパフォーマンスを誇る。特に、AIによるリアルタイムアップスケーリングやレイトレーシングを多用するアプリケーションでは、その実力を存分に発揮することができるだろう。
12,000ドルの高価格だが、それに見合う価値はあるのか
Raptor X17の価格は12,000ドル(約180万円)からと、一般的なノートPCと比べると圧倒的に高額だ。この価格帯ではAppleのMacBook Pro M4 Maxや、DellのPrecisionシリーズの上位モデルなどが競合として挙げられる。しかし、Raptor X17はカスタマイズ性とハードウェア性能の面で他を圧倒している。
例えば、MacBook Pro M4 Maxは動画編集やクリエイティブ用途に強いが、Raptor X17のように24TBのRAIDストレージや128GBのDDR5 RAMを搭載することはできない。また、DellのPrecisionシリーズもプロ向けワークステーションだが、ここまでのカスタマイズ性を備えたモデルは少ない。
この価格が妥当かどうかは、使用用途による部分が大きい。日常的な業務やエンターテインメント目的であれば過剰なスペックだが、AI開発やサイバーセキュリティ解析のような高負荷な作業を行うならば、このマシンの持つ圧倒的な性能と拡張性は、価格以上の価値を提供する可能性がある。
Source:TechRadar