Appleは新型Mac Studioを発表し、M3 Ultraチップ搭載モデルが「Mac史上最もパワフル」なマシンであるとアピールした。M3 Ultraは、AppleのUltraFusion技術を用いて2つのM3 Maxチップを統合した設計となっており、最大32コアCPU、80コアGPU、512GBのユニファイドメモリをサポートする。

M3 Ultraの性能はどこまで進化したのか

Appleが「Mac史上最もパワフル」と強調するM3 Ultraチップは、M2 Ultraからどの程度の進化を遂げたのか。Appleは、M3 Ultraが2つのM3 Maxチップを統合した構造であることを明かしているが、具体的な性能向上の数値は公開していない。しかし、過去の世代を振り返ると、M2 UltraはM1 Ultraより約17%高速だったことが確認されている。この傾向を踏まえると、M3 UltraはM2 Ultraと比較して同等、もしくはやや上回る性能が期待される。

M3 Ultraの特徴として、最大で32コアCPU、80コアGPU、512GBのユニファイドメモリをサポートする点が挙げられる。特に、AppleのUltraFusion技術により、M3 Maxを2基接続することでCPUとGPUのスケーラビリティを向上させている。メモリ帯域幅は最大819GB/秒とされており、前世代のM2 Ultraと比較してデータ処理能力の向上が見込まれる。

ただし、AppleはM3 UltraとM4 Maxの直接比較は行っていない。M4 MaxはM3 Ultraより新しいアーキテクチャを採用しており、特定の用途ではM4 Maxの方が優れた結果を示す可能性がある。ベンチマークが出揃うまでは、M3 Ultraが「最速」であるかどうかは明確ではないが、プロ向けの高負荷な作業では依然としてトップクラスのパフォーマンスを誇るだろう。

AppleはなぜM4 UltraではなくM3 Ultraを選んだのか

新型Mac StudioのハイエンドモデルにはM3 Ultraが搭載されたが、M4 Ultraが採用されなかった理由は明らかにされていない。AppleはM4 MaxをMacBook Pro向けに投入しており、より上位のM4 Ultraが存在すると考えるのが自然だ。しかし、今回の発表ではM4 Ultraに関する情報は一切なかった。

一つの可能性として、M4 Ultraがまだ開発段階であり、次期Mac Pro向けに温存されていることが考えられる。BloombergのMark Gurman氏は、Mac Proには32コアCPUと80コアGPUを搭載したチップが採用される可能性があると報じており、これは今回発表されたM3 Ultraの最上位構成と一致する。このことから、M4 UltraはMac Pro向けの特別な設計となる可能性がある。

また、Appleは従来のチップ展開を踏まえ、Ultraモデルの開発を1世代遅らせる戦略を取ることがある。M1 Ultraが登場したのはM1 Maxの発表から数カ月後であり、M2 Ultraも同様だった。今回もM4 Ultraの発表を意図的に遅らせ、M3 Ultraを市場で十分に展開してから次の段階に進むという選択をした可能性がある。M4 Ultraが実際に登場するかどうかは不明だが、今後のAppleの動向が注目される。

Mac Studioのポート構成はそのままにThunderbolt 5へ進化

新型Mac Studioでは、ポート構成自体に変更はないものの、Thunderboltポートが最新のThunderbolt 5へアップグレードされた。これにより、最大120Gbpsのデータ転送が可能となり、外部ストレージやディスプレイとの接続性能が向上している。従来のThunderbolt 4は最大40Gbpsだったため、理論上は約3倍の帯域幅を持つことになる。

Thunderbolt 5は、高解像度ディスプレイや高速ストレージとの組み合わせで真価を発揮する。特に、8Kディスプレイのサポートや、複数の4Kディスプレイを同時に接続する際の安定性向上が期待できる。また、映像編集や3Dレンダリングを行うプロフェッショナルにとっては、大容量データを扱う際の作業効率が向上するだろう。

一方で、Mac Studioのポート配置は前モデルと同様のままであり、物理的な拡張性には変化がない。USB-CやHDMIポートの追加はなく、フロントにUSB-CとSDカードスロット、背面にUSB-C、HDMI、Ethernet、オーディオジャックが配置されている。Thunderbolt 5の搭載による恩恵は大きいが、ポートの種類や数に変化がなかった点は、既存ユーザーにとってやや物足りなく感じる部分かもしれない。

Source:Macworld