Appleが提供するAI機能「Apple Intelligence」が、最新のソフトウェアアップデートにより最低7GBのストレージ容量を必要とする仕様変更が確認された。これまでは4GB程度で運用可能だったが、最新リリース後に要件が引き上げられたことで、iPhone、iPad、Macユーザーに対して更なる空き容量確保の必要性が生じている。

特に画像生成ツール「Genmoji」や「Image Playground」など、高度なAI機能が追加されるごとにデバイス内に保存されるデータは増加し、ストレージの圧迫が顕著となっている。また、Reddit上では一部ユーザーがApple Intelligenceのデータを削除する手順を共有しているが、すべてのAI機能を無効にする必要があるため利便性には課題が残る。

今後もAI技術の進化に伴い、さらなる容量増加が見込まれるため、Apple側の柔軟なストレージ管理機能の提供が求められている。

Apple Intelligenceのストレージ要件増加の背景と目的

Apple Intelligenceは、AI機能をローカルデバイスで処理することで高速な応答とプライバシー保護を実現している。そのため、クラウド依存を減らし、ユーザーのデータをデバイス内に留める設計が採用されている。しかし、この設計方針はストレージ容量の増加を伴う。

特に最新のアップデートにより、「Genmoji」や「Image Playground」などの生成系AI機能が導入された結果、画像生成や編集データが大量に保存されるようになり、従来の4GBでは不十分となった。これにより、最低7GBが必要となったのは合理的な措置といえる。9to5Macの報告では、現時点でほぼ全てのAppleデバイスがこの要件を満たす必要があるとされている。

しかし、容量要件が高まる一方で、古いモデルのデバイスや基本ストレージが少ないモデルにとっては、この変化がパフォーマンスや利便性に影響するリスクも否定できない。Appleのアプローチは一部で評価される一方、データ量を抑えるオプションの提供が望まれている。

AI機能ごとのストレージ負担とその用途

新たに追加された「Siri機能拡張」や「ChatGPT統合」などの機能は、単なるボイスコマンド以上に幅広い知識体系を活用する形で設計されているため、ストレージ消費は増加傾向にある。「自然言語検索」機能は、写真アプリ内でキーワード検索を可能にし、従来よりも高精度な画像フィルタリングを実現しているが、このデータ処理もデバイス内で完結するため、データ保存量が多い。

一方、「通知サマリー」や「スマートリプライ」などは通知整理や自動応答を補助するが、これらもデータの個別処理が必要なためストレージ負担が少なくない。特に「Clean Up機能」は写真の整理・圧縮処理を行うが、その過程で元データを一時保存するケースが多いため、一時的に容量を大幅に使用する場合がある。

これらの機能のうち、不要なものを個別に無効化できればストレージ管理が容易になると考えられる。しかし現時点では機能単位での選択的削除ができないため、全てを無効にしなければストレージ確保は難しい状況にある。

Appleが直面する課題と今後の展望

現状、Apple Intelligenceのデータを手動で削除する機能は提供されておらず、デバイスがストレージ不足に陥ると自動的にデータがオフロードされる仕様になっている。しかし、この仕様ではユーザーが自ら管理できる自由度が低く、特定のAI機能のみを利用し続けたいという要望に応えられない。

一部のRedditユーザーは独自の方法でApple Intelligenceを無効化し、ストレージを確保する手法を共有しているが、全機能を停止する方法であるため利便性に欠ける点が指摘されている。

このような状況下、Appleが今後アップデートで柔軟な管理機能を追加する可能性は十分に考えられる。例えば、不要なデータの削除機能や、特定機能ごとにストレージ占有率を確認し選択的に管理できる仕組みが導入されれば、ユーザーの体験は大幅に向上すると期待される。

一方で、AI機能の進化は今後も続くため、ストレージ要件がさらに増加する可能性も否定できない。Appleがストレージ圧迫と利便性向上のバランスをどのように取るかが今後の焦点となるだろう。