香港の技術系メディアPCMは、RTX 5090DおよびRTX 5080のテスト中に16ピン電源ケーブルが溶解し、1,200Wの電源ユニットが故障したと報告した。当初、これらの新型GPUに起因する問題と考えられたが、詳細な調査により、実際の原因は以前使用していたRTX 4090 Founders Editionの旧型12VHPWRコネクターにある可能性が高いことが判明した。
RTX 50シリーズのGPUコネクターには損傷が見られなかったため、ユーザーは過度な心配をする必要はないだろう。この報告は、RTX 50シリーズの電源コネクターに対する不安を一時的に引き起こしたが、調査の結果、問題は旧世代のコネクターに起因するものであり、新型GPUのコネクターには問題がないことが示唆された。
NvidiaもRTX 50シリーズの電源コネクターの信頼性を強調しており、ユーザーは安心して新型GPUを使用できると考えられる。
RTX 4090 FEの旧型12VHPWRコネクターが引き起こした誤解
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RTX 5090DとRTX 5080のテスト中に発生したケーブル溶解の問題は、当初RTX 50シリーズの設計上の欠陥と考えられた。しかし、調査の結果、実際に損傷を引き起こしたのはRTX 4090 Founders Edition(FE)の旧型12VHPWRコネクターだったことが判明した。
RTX 4090 FEの初期モデルに採用されていた12VHPWRコネクターは、接続不良が原因で発熱・溶解のリスクが指摘されており、Nvidiaは後に新規格12V-2×6へと改良を施している。RTX 50シリーズのテストが行われた際、レビュアーはRTX 4090 FEを以前に使用していた可能性が高く、その際にケーブルが劣化していたと考えられる。
溶解の原因をRTX 50シリーズのGPUに結びつける前に、使用環境や接続機器を精査する必要があるという教訓が得られる出来事だった。実際、RTX 50シリーズのコネクターには損傷が見られず、GPU本体の異常も確認されていない。この件を受けて、NvidiaはRTX 50シリーズの電源コネクターが溶解する可能性は低いと説明している。
加えて、AIB(アドインボードパートナー)メーカー各社も安全対策を講じ、Zotacの「セーフティライト機能」やMSIの黄色インジケーター付きケーブルなど、ユーザーが適切に接続できるような改善策を採用している。RTX 50シリーズに関しては、過去の12VHPWRコネクターのトラブルを引きずる必要はないだろう。
RTX 50シリーズの消費電力と安全性の課題
RTX 50シリーズは、Nvidiaの最新アーキテクチャ「ブラックウェル」を採用し、前世代よりも高い性能を実現している。一方で、消費電力の増加が懸念されており、高負荷時の安定性に対する関心も高まっている。特にRTX 4090 FEの電源コネクターが過去に問題視された経緯があるため、新型GPUの電源設計にも注目が集まるのは当然だろう。
RTX 4090の電源トラブルは主に、12VHPWRコネクターの設計と接続不良が原因だった。これを受けてNvidiaは12V-2×6規格に移行したが、すべてのユーザーが新しいコネクターを使用しているわけではない。古い12VHPWRコネクターのまま運用している環境では、同様のリスクが残る可能性がある。
RTX 50シリーズでは改良型コネクターが導入されるため、電源周りの信頼性は向上するとみられるが、適切な接続や互換性に関する情報は十分に確認する必要がある。一方で、AIBメーカーによる独自の安全対策も進んでおり、ケーブルの正しい接続を検出する機能や、コネクターの発熱を抑制する設計が採用されている。
こうした対策が進めば、電源トラブルのリスクはさらに軽減されるだろう。とはいえ、消費電力の増加は冷却対策にも影響を与えるため、RTX 50シリーズを導入する際はケース内のエアフローや電源ユニットの性能にも注意を払う必要がある。
RTX 50シリーズの安定性と今後の動向
RTX 50シリーズの登場により、ハイエンドGPUの消費電力と安定性に関する議論が再燃している。RTX 4090 FEのトラブルが誤解を生んだとはいえ、次世代GPUの運用には慎重な姿勢が求められる。特に、PCIe 5.0対応のマザーボードを使用する場合、高負荷時の動作安定性にも注目が集まっている。
一部のレビュアーからは、NvidiaのFounders Edition(FE)モデルにおけるマルチPCB設計が、PCIe 5.0モードで不安定になる可能性があると報告されている。これは、基板間の信号伝達が干渉を受ける可能性があるためであり、特定の環境ではパフォーマンス低下やクラッシュの原因になると考えられている。
ただし、現時点では広範な検証データが不足しているため、さらなる調査が求められる状況だ。また、RTX 50シリーズのAIBモデルには、電源設計の改良が施されたものも多い。特に、高性能電源ユニットと組み合わせた場合の安定性が向上する可能性があるため、推奨される環境での使用が望ましい。
現在の半導体供給状況を考えると、すぐに大規模なユーザーテストが行われるとは限らないが、今後の情報に注目することで、より正確な評価が得られるだろう。
RTX 50シリーズの本格的な普及が進む中で、ユーザーが安心して使用できる環境が整っていくことが期待される。RTX 4090 FEの旧型コネクターが原因となった今回の誤解は、次世代GPUの評価に影響を与えかねないが、冷静に事実を整理し、正確な情報に基づいた判断が求められる。
Source:Tom’s Hardware