AMDの最新CPU「Ryzen 7 9800X3D」が11月7日に登場し、ゲーミングパフォーマンスで大きな進化を遂げた。Zen 5アーキテクチャと第2世代の3D V-Cacheを採用し、従来モデルの7800X3Dを超えるパフォーマンスを発揮する。

ベースクロックを500MHz、ブーストクロックを200MHz向上させ、ゲームだけでなく、クリエイティブな作業にも最適化されているのが特徴である。ベンチマーク結果からも、その実力は証明されている。Geekbench 6でシングルスレッドが20%、マルチスレッドが27%向上し、PhotoshopやPremiere Proでの性能も大幅に向上している。

さらに、Metro Exodusやサイバーパンク2077などのゲームタイトルでは、インテルのCore Ultra 9 285Kを上回るフレームレートを実現し、特にサイバーパンク2077では50%ものパフォーマンス向上が見られた。

Zen 5と第2世代3D V-Cacheがもたらす革新性

Ryzen 7 9800X3Dには、AMDが最新のZen 5アーキテクチャと第2世代の3D V-Cache技術を組み合わせたことで、パフォーマンスに革新がもたらされている。Zen 5は、前世代に比べてCPUの基本性能を底上げし、ゲームだけでなく、さまざまな生産性向上にも寄与している。

また、3D V-CacheがキャッシュメモリをCPUコアの下に配置することで、熱効率を向上させるとともに、キャッシュが高温に対して強くなり、パフォーマンスが安定して維持される仕組みを実現している。加えて、このキャッシュとクロックスピードの改善により、ベースクロックが500MHz、ブーストクロックが200MHzも増加し、従来の7800X3Dよりもさらに高い処理能力を発揮することが可能となった。

これにより、プレミアプロやフォトショップといったクリエイティブ用途のアプリケーションで大幅な性能向上を達成しており、特にフォトショップでは18%のパフォーマンスアップが確認されている。AMDの技術革新により、9800X3Dは単なるゲーミングCPUに留まらず、クリエイティブ作業にも最適化された万能CPUとして市場にアピールする構造が整ったのである。

ゲーム性能でインテルに圧勝する理由とは

Ryzen 7 9800X3Dは、ゲーミング性能においてインテルのCore Ultra 9 285Kを大きく上回っている。その差は、Metro Exodusやサイバーパンク2077といったグラフィック負荷の高いゲームにおいて顕著に表れており、特にサイバーパンク2077においては、フレームレートが50%も向上する結果が得られている。

これは、AMDが長年積み重ねてきた技術が高負荷なゲーム環境で優れた効果を発揮していることを示しており、さらに、新たに搭載されたX3Dターボモードがシングルスレッドの最適化を可能にし、システム全体のパワーバランスを最適化することで高いゲーム性能を引き出している。

The Vergeのレビューによると、実際にこのプロセッサは、グラフィックの描画速度やフレームレートの安定性において特に高い評価を得ており、インテルの競合CPUを超える成果を見せている。こうした性能差が顕著に出る理由として、AMDの3D V-Cache技術とZen 5アーキテクチャによる高速キャッシュアクセスがゲームパフォーマンスにおいて効果的に作用していると考えられる。ゲームプレイヤーにとって、9800X3Dは次世代の没入感を提供するCPUとして注目されるに違いない。

初のオーバークロック対応X3Dチップとしての可能性

9800X3Dは、X3Dシリーズの中で初めてオーバークロックに対応している点も特筆すべきである。これまでのX3Dチップでは、オーバークロックに制限がかかっていたが、9800X3Dではこの制限が解放され、さらなる性能を引き出せるようになっている。

これにより、ユーザーはさらに自由にプロセッサの限界を試すことができ、ゲーム性能や処理能力を個々のニーズに合わせて最大限に引き出すことが可能となった。一方で、オーバークロックの安定性や温度管理には注意が必要であり、特に9800X3Dのようにクロックの上昇幅が大きいプロセッサでは、冷却システムの強化が重要となる。

今回のテスト環境では、Corsair H150i Elite LCDといった高性能CPUクーラーが使用されており、これにより安定したオーバークロック環境が構築されていることが分かる。プロユーザーやエンスージアストにとって、この新たなオーバークロック対応は、大胆な性能向上を試みる絶好の機会となり、PCのポテンシャルを引き出す楽しみも広がっているといえよう。