2024年のスマートフォン市場は、サムスンとアップルが激しい競争を繰り広げる展開となった。市場調査会社Canalysの分析によれば、iPhoneの年間出荷台数は2億2,590万台で、アップルが市場シェア18%を獲得し首位を維持した。しかし、サムスンも2億2,290万台を出荷し、同じく18%のシェアを確保。
両社の差はわずか300万台となり、前年の500万台差からさらに縮小した。一方、サムスンは前年比で約260万台の出荷減となり、市場シェアも20%から18%へと低下。最も出荷された端末はGalaxy A15シリーズで、ハイエンドモデルではGalaxy S24 Ultraも堅調な販売を記録した。
さらに、サムスンは2025年のフラッグシップモデルにSnapdragonプロセッサを全面採用する計画を発表。これにより、次年度の販売台数にどのような影響を与えるのかが注目される。
サムスンがアップルに迫る要因とは—出荷台数の差が縮小した背景
2024年のスマートフォン市場で、サムスンがアップルとの差を縮めた要因はいくつか挙げられる。まず、サムスンはエントリーモデルからフラッグシップまで幅広いラインナップを展開し、特にGalaxy Aシリーズが高い人気を誇った。なかでもGalaxy A15とGalaxy A15 5Gは、多くの市場で手頃な価格とバランスの取れた性能が評価され、出荷台数を大きく押し上げる結果となった。
また、サムスンは折りたたみスマートフォンの分野でも存在感を強めており、Galaxy Z Flip5やGalaxy Z Fold5の堅調な販売が寄与した。一方で、アップルは2024年に折りたたみスマートフォンを市場投入しておらず、この分野ではサムスンが独自の強みを発揮したといえる。
さらに、サムスンは一部の地域で価格戦略を強化し、特にインドや東南アジア市場では競争力のある価格設定を行ったことが出荷台数の増加につながった。アップルのiPhoneは依然として強いブランド力を持つものの、高価格帯に集中しているため、新興市場ではサムスンがより多くのユーザーにリーチできたことが、差を縮めた一因となった。
Snapdragonへの移行が2025年のサムスンに与える影響
サムスンは2024年モデルのフラッグシップスマートフォンにおいて、地域によってExynos SoCを採用した機種を展開した。しかし、一部のユーザーからはパフォーマンスや電力効率の面でSnapdragon搭載モデルとの違いが指摘され、特にゲーム用途ではExynosモデルが不利だとする意見も見られた。この点が影響し、特定地域ではサムスンのフラッグシップモデルの評価が分かれる結果となった。
こうした背景を踏まえ、サムスンは2025年のフラッグシップモデルでSnapdragon SoCを全面採用すると報じられている。特に、Snapdragon 8 Gen 3などの最新チップを搭載することで、パフォーマンスやバッテリー持続時間の改善が期待される。
Snapdragonへの統一は、特にハイエンドモデルを求めるユーザー層にとっては歓迎すべき変更となる可能性が高い。加えて、グローバル市場での製品仕様の一貫性が増し、マーケティングやソフトウェア最適化の面でも有利に働くと考えられる。この決定が2025年の出荷台数にどのような影響を与えるかが、今後の市場動向の注目ポイントとなる。
iPhone 15が2024年最も売れた理由—サムスンとの違いは何か
2024年のスマートフォン市場において、最も出荷された端末はiPhone 15であった。この結果は、アップルのブランド力の強さと、買い替え需要の高さが影響したと考えられる。特に、USB-Cポートの採用が大きな注目を集め、従来のLightningケーブルからの移行を求めるユーザーが多かったことが販売を後押しした。
また、iPhone 15は価格面でも戦略的な調整が行われており、前年モデルと比較して性能向上を維持しつつ、ベースモデルの価格を抑えたことも影響している。さらに、iOSのエコシステムの魅力が継続し、iPadやMacといった他のアップル製品との連携のしやすさが、多くのユーザーに支持される要因となった。
一方で、サムスンは最も出荷されたモデルがGalaxy A15となったが、これはエントリーモデルの需要が高い市場においてサムスンの競争力が発揮された結果である。iPhoneシリーズとGalaxyシリーズでは、ターゲット層が異なるため、直接的な比較は難しいが、アップルが高価格帯の市場で優位に立ち、サムスンが幅広い価格帯でシェアを確保しているという構図が改めて浮き彫りになった。
Source:SamMobile