ゲーム愛好家Tech By Matt氏が、YouTubeで驚きの改造プロジェクトを公開した。かつての任天堂Wiiが、最新の技術を駆使してNintendo SwitchゲームもプレイできるミニPCに生まれ変わったのだ。改造に使用されたのは、ミニPC「Minisforum UM773 Lite」のRyzen 7 7735HS APU。

この新たな「Wii PC」は、オリジナルのWiiの外観を保ちながら、スーパーマリオ オデッセイなどのゲームをスムーズにエミュレートする。特に興味深いのは、ゲームキューブコントローラーのポートや電源ボタンがそのまま活用されている点である。

しかし、全てのパーツを収めるためにWiiのDVDドライブは取り除かれた。この改造には3Dプリントやハンダ付けといった複雑な工程が含まれ、PC用ゲームキューブコントローラーアダプターも分解・再構築されるなど、多くの労力が注がれている。

Wii改造PCの仕組みとその高性能なパーツ選定

Tech By Matt氏によるこの改造プロジェクトで、WiiをPC化するにあたって選ばれた部品の中心は「Minisforum UM773 Lite」に搭載されているRyzen 7 7735HS APUである。このチップは、特に内蔵のRadeon 680Mグラフィックスの力を借りて、スーパーマリオ オデッセイなどのNintendo Switch向けゲームを快適にエミュレートできる性能を発揮している。

このような高性能なチップを用いることで、スムーズなゲーム体験が実現されている。しかし、Wiiのサイズに収めるために、PCケースの加工や小型部品の組み合わせといった独自の工夫が必要であった。DVDドライブは取り除かれ、3Dプリンターで作成されたカスタムパーツも利用されるなど、改造には高度な技術が投入されている。

これにより、Wii本来のコンパクトさを保ちつつ、最新のゲームに対応できるパワフルなPCが誕生したのである。この改造の取り組みは、単にゲームを楽しむための工夫にとどまらず、技術の融合と過去のハードウェアへの愛着の表れと言えるだろう。

コントローラーポートの活用とレトロなデザインへのこだわり

Wii改造PCの見どころは、単にSwitchのゲームが動作することにとどまらず、Wiiのデザインや機能性をそのまま活かした点にある。Matt氏は元々のWiiの電源ボタンをそのままPCの電源ボタンとして使えるようにする工夫を凝らし、さらにゲームキューブコントローラーポートもそのまま稼働させる形で残している。

これは、古いゲーム機の面影を残したまま、現代のPCゲーム機能を持つという設計思想が反映されたものである。ゲームキューブコントローラーポートを利用するためには、PC用のUSBアダプターを分解し、Wii筐体に収め直す手間が必要だった。

また、ハンダ付けやケーブルの整理などの精密な作業も欠かせなかった。このようなこだわりの実現には、Wiiの懐かしさと現代ゲーム機能のバランスを取るための努力が随所に見られる。過去のハードウェアを現代に蘇らせる姿勢は、多くのゲーマーにとって魅力的な挑戦に映るだろう。

古いハードの改造ブームとモッディング文化の未来

WiiをPCに改造する試みは、単なる一つのDIYプロジェクトとしてではなく、近年流行するモッディング文化の象徴とも言えるだろう。かつての名機を単なるコレクションとしてではなく、新たな形で再利用しようとする動きは、ゲーマーやテック愛好者の間でますます広がりを見せている。

Tech By Matt氏のプロジェクトもその一例であり、彼のYouTubeチャンネルやメディア「TweakTown」で取り上げられたことにより、多くの注目を集めている。古いゲーム機を改造して最新の技術を搭載することで、レトロなゲーム体験を提供する一方で、現代的なグラフィックとパフォーマンスも楽しむことが可能になる。

このようなプロジェクトが進化を続けることで、今後も新たな改造アイデアや技術の開発が期待される。改造文化が進む中、個々のクリエイターによる独自の試みが、今後のゲーム体験や技術活用の可能性をさらに広げるだろう。