AppleがX(旧Twitter)での広告掲載を再開した。2023年11月に広告を停止して以降、Xのコンテンツモデレーションに関する懸念が続いていたが、Apple TV+のドラマ「セヴァランス」やSafariのプライバシー機能を宣伝する広告が確認された。
同様に、AmazonやDisneyなども広告出稿を再開し、Xへの広告主復帰の流れが加速している。The Wall Street Journalによれば、Amazonは広告投資を大幅に増額する予定だという。
一方で、Xは主要広告主の広告撤退を「違法なボイコット」として提訴。コンテンツモデレーションの問題が引き続き議論される中、EUはXの広告透明性違反を指摘し、調査を進めている。
AppleがXへの広告を再開した背景と現在の状況
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AppleがX(旧Twitter)での広告掲載を再開した背景には、広告主とXの関係の変化がある。Elon MuskがXを買収して以降、企業のブランド安全性に対する懸念が高まり、多くの大手企業が広告出稿を停止した。しかし、Appleは2025年に入り、Safariのプライバシー機能やApple TV+のドラマ「セヴァランス」のプロモーションをX上で展開し始めた。
この動きは、単なる広告戦略の変更ではなく、Xとの関係修復の兆しとも考えられる。Appleにとって、Xは依然として影響力のあるプラットフォームであり、特にデジタル広告において重要な役割を果たす。ブランドイメージを重視するAppleが再び広告を出稿する決定を下したことは、Xの広告市場にとって大きな意味を持つ。
さらに、AmazonやDisneyといった他の主要企業もXへの広告を再開しており、広告主の復帰が一つの流れになりつつある。これにより、Xの広告収益は回復の兆しを見せているが、今後の企業の動向によっては、その流れが継続するかどうかは不透明な部分もある。
Xのコンテンツモデレーション問題と広告主の反応
一方で、Xのコンテンツモデレーションに対する懸念は依然として残る。Muskの買収以降、Xは違法または有害な投稿の取り締まりが不十分であると批判されており、ヘイトスピーチや偽情報の拡散が問題視されている。特に、Musk自身の発言が物議を醸すことも多く、広告主が撤退する大きな要因となってきた。
Appleをはじめとする企業が広告を再開したものの、Xの方針自体に大きな変化は見られない。これは、広告主側がブランドイメージと広告リーチのバランスを模索する中で、Xというプラットフォームの影響力を完全に無視できない状況にあることを示している。
EUはすでにXの広告透明性の問題について調査を進めており、今後の規制強化が広告主の判断に影響を与える可能性がある。もしXが規制に対応しない場合、一時的な広告再開の流れが再び逆転することも考えられる。Appleをはじめとする企業が今後どのような判断を下すのかが注目される。
Source:The Verge