サムスン電子が、スマートフォン向けに必要なOLEDパネルを確保するために、中国のディスプレイメーカー「ティアンマ」から一部調達する方針を明らかにした。これは、サムスンディスプレイが他社にもパネル供給を行う中、サムスン電子の需要に対し供給が追い付かない現状を補完する狙いがある。
今年のサムスン電子の需要量は1億6,320万枚とされるが、サムスンディスプレイの供給能力は97%にあたる1億5,900万枚に留まる見込みで、420万枚分の不足が発生。この不足分のうち100万枚をティアンマが供給し、特にGalaxy MやGalaxy Fシリーズなど価格を抑えたモデルに使用されるとされる。
高性能を求めるプレミアム機種とは異なり、エントリーモデルの用途に応じたコストパフォーマンス重視の判断とみられる。
サムスンが直面するOLEDパネル供給の課題とティアンマとの提携背景
サムスン電子は、自社のスマートフォン需要を満たすためのOLEDパネル供給において、深刻な課題を抱えている。韓国メディア「The Elec」の報道によると、サムスンディスプレイは現在、アップルなど他ブランド向けにもOLEDパネルを提供しているが、これが原因でサムスン電子の需要に対する供給能力が不足する状況に陥っている。
実際、サムスン電子が必要とする1億6,320万枚のOLEDパネルのうち、サムスンディスプレイが供給可能なのは97%にあたる1億5,900万枚のみと推定されている。この供給不足は、特にエントリーモデル市場でのシェアを広げたいサムスンにとって大きな痛手であり、その戦略的な課題解決のためにティアンマとの提携が浮上したのである。
ティアンマから供給されるパネルは100万枚にのぼり、サムスンが抱える供給不足問題の一部を補完する役割を果たす見込みだ。
ティアンマ製パネルの採用がもたらすGalaxyシリーズへの影響とその可能性
サムスン電子が中国のティアンマから調達する100万枚のOLEDパネルは、主にGalaxy MシリーズやGalaxy Fシリーズといった手頃な価格帯のモデルに搭載される予定である。この選択には、ティアンマ製パネルのコストパフォーマンスの高さが影響していると考えられるが、同時に品質への懸念も存在する。
サムスンディスプレイのOLEDパネルと比較して性能が劣る可能性が指摘されており、エントリーレベルの端末に限られた用途が適していると判断されたようだ。性能面の違いがどのように消費者に影響するかは未知数だが、Galaxyシリーズの多様な製品ラインナップと市場ニーズに応えるため、コスト抑制と供給安定のための現実的な措置とみられる。今後、ティアンマ製パネルの採用がサムスン電子の競争力向上に寄与するか注目される。
特許問題によるBOE社との距離とティアンマの重要性
サムスン電子がOLEDパネルの供給元としてBOE社ではなくティアンマを選んだ背景には、特許を巡る両社間の法的問題がある。BOEは、中国を代表するディスプレイメーカーであり、通常であれば供給元としての選択肢になりうるが、特許関連の訴訟がサムスン電子との協力関係に影を落としている。
その一方で、ティアンマはこのような法的トラブルから距離を置いており、サムスンにとって重要な調達先として浮上した。供給網の多様化が競争力を左右する中、BOEではなくティアンマを選ぶ判断は、リスク回避と調達の安定性を確保する戦略的な意図といえるだろう。
今後、サムスンがどのような企業と提携し、ディスプレイ市場での地位をどう維持していくかが注目される。