近年、AI技術の急速な進化に伴い、多くの企業が製品に「AI」を盛り込むことで注目を集めようとしている。特にCPUの分野では、新世代のプロセッサが「AI機能」を強調して市場に投入されているが、その実態は虚飾に過ぎないことが多い。AI処理の多くは、実際にはGPUやクラウドの力に頼っており、CPUにおけるAIの役割は極めて限定的である。

AI搭載を謳う製品の実態

AI技術が市場に広く浸透する中、多くの企業が製品に「AI搭載」を強調するマーケティング手法を取り入れている。特に、ノートパソコンやデスクトップ向けのCPUでは、AI機能を売り文句にすることが増えている。しかし、実際にはこれらのAI機能は消費者にとって実質的な利便性をほとんど提供していない場合が多い。企業は主に「AI」という言葉を製品に付加することで、消費者に最新技術を体験しているという錯覚を与えようとしているのだ。

特に、CPUに内蔵された「ニューラルプロセッシングユニット(NPU)」は、AIの活用を促進すると謳われているが、これがユーザーにとってどれほど役立つかは不透明である。多くの場合、これらのAI機能は実際の使用場面ではほとんど意味をなさず、消費者にとって高価な機能を購入させるための一種の「付加価値」として扱われているに過ぎない。結果として、AI搭載を強調するマーケティングは、消費者の期待を裏切るものになっているといえる。

CPUとAIの関係はどれほど重要か?

CPUとAIの関係については、多くの消費者が誤解している。CPUがAI処理において重要な役割を果たすかのように宣伝されているが、実際にはその役割は非常に限られている。AI処理に必要な性能は、CPUではなく、主にGPUや専用のAIアクセラレーターによって担われるのが現実である。

たとえば、AMDやIntelが発表する最新のCPUには、AIを加速するための新しいNPUが組み込まれている。しかし、これらのNPUが実際にユーザーの日常的な操作にどれほど影響を与えているかは、非常に疑わしい。CPU自体の性能は、並列処理においては限界があり、AIタスクを効率的に処理するためには、より専門的なハードウェアが必要になる。結果として、AI搭載を謳うCPUの効果は、消費者にとって実感しにくいのが現状である。

GPUがAI処理において圧倒的優位

AI処理において、最も重要なのは並列処理の能力である。GPUは、その構造からして、CPUよりも遥かに効率的にAIタスクを処理することができる。これが、AI研究や高性能コンピューティングの分野でGPUが圧倒的な存在感を示している理由である。たとえば、NVIDIAのRTX 4080などのグラフィックスカードは、AIタスクにおいてCPUの数千倍の性能を発揮する。

この差は、特にAIベンチマークで顕著に表れる。CPUがAI処理においてどれほど劣っているかは、数値で一目瞭然である。実際、GPUはAIにおける計算力を大幅に強化し、画像生成や音声認識、自然言語処理などの複雑なタスクを高速で処理することが可能だ。このため、AIを効率的に活用したい場合、CPUよりもまずGPUの性能を重視すべきである。

クラウド依存が進むAIツールの現状

多くのAIツールは、実際にはクラウド上で動作するように設計されている。大規模な言語モデル(LLM)や画像生成AIなどの最新技術は、個々のPCやデバイスでは処理しきれないほどの計算資源を必要とする。このため、消費者が日常的に利用しているAIツールの多くは、クラウドに依存しているのが実態である。

例えば、ChatGPTやGoogle GeminiといったLLMは、膨大なデータと計算能力を要するため、ローカル環境での実行はほぼ不可能だ。さらに、PhotoshopのAI機能や他の高度なAIツールも同様に、クラウドを介して処理を行う。このように、AIツールの利便性は向上しているものの、その基盤はクラウドに支えられており、ローカルのハードウェア性能に頼ることはほとんどないと言える。