Microsoftは、Windows 11向けの最新プレビューアップデート「KB5052093」を公開した。このアップデートでは、タスクバーのジャンプリストから直接ファイルを共有できる新機能が追加され、エクスプローラーの改善も施されている。また、1台のウェブカメラを複数のアプリで同時に利用できる「マルチアプリカメラ」機能が導入された。
さらに、ナレーターのスキャンモード強化やWindowsスポットライトの操作性向上など、多岐にわたる改良が含まれる。加えて、タスクマネージャーやオーディオ関連の問題を含む多くのバグ修正が実施された。なお、一部のユーザー環境では「Roblox」や「Citrix」に関する問題が報告されているため、アップデート適用前にリリースノートを確認することを推奨する。
タスクバーのジャンプリストから直接ファイル共有 便利な新機能が追加

Windows 11の最新プレビューアップデート「KB5052093」では、タスクバーのジャンプリストから直接ファイルを共有できる新機能が追加された。ジャンプリストとは、アプリを右クリックした際に表示されるメニューのことで、これまでは最近開いたファイルやよく使う機能に素早くアクセスするために利用されていた。
今回のアップデートにより、ジャンプリスト内のファイルを選択してすぐに共有できるようになった。この機能の利点は、ファイルエクスプローラーを開くことなく、ワンクリックでファイルを共有できる点にある。特に、日常的に多くのファイルを扱うユーザーにとっては、作業効率の向上が期待できる。
これまでファイルの共有には右クリックメニューやエクスプローラー内の共有ボタンを使用する必要があったが、ジャンプリストにこの機能が追加されたことで、よりスムーズな操作が可能になった。
一方で、この新機能の導入によってユーザーインターフェースがどのように変わるのか、また、従来の共有方法と比較してどの程度の利便性向上が見込めるのかは、今後のフィードバックによって明らかになるだろう。
特に、ファイル共有のプロセスが簡素化されたことにより、セキュリティ面での懸念が生じる可能性もある。企業や組織内での利用において、誤って機密情報を共有してしまうリスクをどのように抑えるかが、今後の課題となるかもしれない。
マルチアプリカメラ機能が追加 1台のカメラを複数のアプリで同時利用可能に
今回のアップデートでは、「マルチアプリカメラ」と呼ばれる新機能が導入された。この機能により、1台のウェブカメラを複数のアプリで同時に利用できるようになった。これまでのWindows 11では、あるアプリがカメラを使用中の場合、別のアプリで同じカメラを起動することはできなかった。しかし、今回のアップデートによって、この制限が解除された。
Microsoftによると、この機能は特に聴覚障害のあるユーザーを考慮して開発されたものだという。たとえば、手話通訳者がビデオ通話を行う際、通訳アプリと会議アプリの両方で同じカメラ映像を利用できるようになる。これにより、手話通訳者と視聴者の双方にとって、より円滑なコミュニケーションが可能になる。
この機能は、オンライン会議やライブ配信を頻繁に行うユーザーにとってもメリットが大きい。たとえば、ゲーム実況者が配信ソフトとビデオ通話アプリを同時に使用する場合、従来であれば2台のカメラを用意する必要があった。しかし、今回のアップデートにより、1台のカメラで複数のアプリに映像を提供できるようになり、配信環境の簡素化やコスト削減につながる可能性がある。
ただし、この機能がすべてのウェブカメラやアプリで問題なく動作するかどうかは、今後の検証が必要だ。特定のアプリやドライバとの互換性の問題が発生する可能性もあるため、利用する際には最新のアップデート情報を確認することが推奨される。
多数のバグ修正と改善点 エクスプローラーやタスクマネージャーの使い勝手が向上
KB5052093では、新機能の追加に加えて、数多くのバグ修正や改善が実施された。その中でも特に注目すべきなのが、エクスプローラーとタスクマネージャーの改良である。エクスプローラーでは、クラウドファイルのコンテキストメニューを開く際の遅延が改善され、検索結果のサムネイル表示がより一貫性のあるものとなった。
また、「バックアップを開始」のリマインダーをスヌーズまたはオフにするオプションも追加され、より柔軟な設定が可能になった。タスクマネージャーでは、HDDがSSDとして誤認識される問題が修正された。これは、ストレージの管理を行う際に混乱を招く要因となっていたため、多くのユーザーにとっては歓迎すべき修正だろう。
さらに、オーディオ関連のバグ修正も行われており、PCがスリープから復帰した際に音量が100%に戻ってしまう問題などが解決された。これにより、スリープ復帰後の音量調整の手間が省かれ、より快適な使用が可能になる。
そのほか、ナレーターのスキャンモードには新しいショートカットが追加され、ウェブページやドキュメントのナビゲーションがスムーズになった。特に視覚障害者にとっては、ページ内のリストやテキストブロックを素早く移動できる新機能は大きな改善と言えるだろう。
また、Windowsスポットライトのアイコンがより見つけやすくなり、ロック画面の画像情報を取得する操作が簡単になった点も、細かいながら便利な変更点である。これらの修正や改善により、Windows 11の使い勝手は着実に向上している。
しかし、Microsoftは「Roblox」や「Citrix」に関する一部の問題がまだ残っていることを認識しており、今後のアップデートでさらなる修正が行われる可能性がある。ユーザーは、システムの安定性を考慮しながら、最新のリリースノートを確認しつつアップデートを適用することが推奨される。
Source:BetaNews