Appleは最新のM3 Ultraチップセットを発表し、現時点で最も強力なAppleシリコンとしての地位を確立した。M4 Maxが登場する中、最上位モデルがM4 UltraではなくM3 Ultraである点が注目を集めている。
M3 Ultraは、M3 Maxを2つ結合した構造で、最大32コアのCPUと80コアのGPUを搭載。メモリは最大512GB、メモリ帯域幅は819GB/sに達し、AI処理や高度なグラフィック作業にも対応可能だ。一方のM4 MaxはCPU16コア、GPU40コアと控えめなスペックで、性能差は明確となっている。
M3 Ultraの内部構造と性能向上のポイント

M3 Ultraは、Appleが展開する「M」シリーズの中でも最上位に位置するチップセットであり、性能の大幅な向上が実現されている。その基本構造は、M3 Maxを2つ結合させたもので、Apple独自の「UltraFusion」技術により、2つのダイをシームレスに連携させている。これにより、前世代のM2 Ultraと比較しても、計算処理やグラフィック性能の飛躍的な向上が実現された。
CPUは最大32コアに強化され、GPUは80コアに達する。ニューラルエンジンは32コアを維持しつつ、メモリ帯域幅は819GB/sにまで拡大された。また、最大512GBの統一メモリに対応し、これまでのAppleシリコンにはなかった圧倒的なメモリ容量を実現。これにより、大規模なデータ処理やAIモデルのローカル実行がスムーズに行えるようになった。
特筆すべきは、Thunderbolt 5のサポートによる接続性の向上だ。データ転送速度は最大120Gb/sに達し、外部ストレージや高解像度ディスプレイを多用するクリエイターにとって、作業効率の向上が期待される。さらに、複数のMac Studioを接続できる機能も搭載され、スケールアップの自由度が増している。
M3 UltraとM4 Maxの比較 M4世代の「Ultra」モデルが見送られた理由
AppleはM4 Maxを発表したものの、最上位モデルとしてM4 Ultraを投入しなかった点が注目されている。これまでの流れであれば、M4 Maxの次にM4 Ultraが登場するのが自然な展開だったが、今回はM3 Ultraが最強のAppleシリコンとしての役割を担っている。その背景には、Appleのチップ戦略の変化があると考えられる。
M4 Maxは最大16コアのCPUと40コアのGPUを搭載し、メモリ帯域幅は546GB/s。対するM3 Ultraは、それぞれ32コア、80コア、819GB/sと圧倒的なスペック差がある。加えて、M3 Ultraの最大512GBメモリ対応は、M4 Maxの128GBを大きく超えており、特にプロ向け用途ではM3 Ultraの優位性が明確だ。
Appleは過去にも、M1 Ultraを発表した後にM2 Ultraを投入するまで1年以上の間隔を空けており、「Ultra」シリーズを毎世代展開するとは限らない。今回はM3 Ultraの性能がM4 Maxを大きく上回っており、新たなUltraモデルの必要性が薄れた可能性がある。M4 Ultraが登場しないことで、今後のAppleシリコンの開発方針に変化が生じるのか、引き続き動向を見守る必要がある。
Mac StudioとMacBook Proの選択肢 M3 Ultraは誰に最適なのか
M3 Ultraの登場により、Appleシリコンを搭載したMacの選択肢がさらに広がった。現在、M3 Ultraを搭載するMac Studioと、M4 Maxを採用するMacBook Proが主なハイエンドモデルとして位置付けられている。では、どちらを選ぶべきなのか。
Mac Studioはデスクトップ型であり、M3 Ultraの持つ最大限の性能を引き出せる環境が整っている。大容量メモリを活用した高度な3Dレンダリングや映像編集、AIモデルの処理など、ヘビーなタスクを日常的にこなすプロフェッショナル向けだ。一方のM4 Max搭載MacBook Proは、持ち運びを重視しつつ高性能なマシンを求めるユーザー向け。M3 Ultraには及ばないものの、十分にパワフルな性能を備えている。
重要なのは、今後のAppleのチップ開発の方向性だ。M4 Ultraが登場しないことで、M3 Ultraがしばらくの間、Appleの最高性能チップセットとしての地位を維持する可能性がある。より長くハイエンド性能を求めるならば、M3 Ultra搭載のMac Studioを選ぶのが賢明な選択となるだろう。
Source:Lifehacker