OnePlusが正式発表した最新スマートウォッチ「OnePlus Watch 3」は、新センサーアーキテクチャや回転式クラウンを搭載し、最大120時間のバッテリー持続を誇る。特にヘビーユース時でも72時間の使用が可能とされ、その省電力設計が注目されている。

同社の研究開発責任者は、CPUとMCU(マイクロコントローラー)の役割分担による効率的な電力管理が長時間駆動を実現していると説明。Wear OS搭載の他社製品ではCPUがすべての処理を担うのに対し、OnePlus Watch 3ではMCUがフィットネスや健康データの処理を担い、CPUの消費電力を最小限に抑えている。

今後、MobvoiやSamsung、Googleといった競合他社が新製品を投入する見込みだが、OnePlus Watch 3がバッテリー性能のリーダーとしての地位を維持できるか、さらなる動向が注目される。

CPUとMCUの分業が生む省電力設計の仕組み

OnePlus Watch 3のバッテリー持続時間が際立つ理由の一つが、CPUとMCU(マイクロコントローラー)の明確な役割分担にある。一般的なスマートウォッチでは、センサー情報の処理からOSの管理まで、ほぼすべてのタスクをCPUが担当する。しかし、OnePlus Watch 3では、フィットネスや健康トラッキングのデータ処理をMCUが担い、CPUはOSの動作に集中する設計となっている。

この分業体制により、消費電力の大きいCPUの稼働時間を最小限に抑えつつ、センサー機能を効率的に運用できるようになった。特に、バックグラウンドで常に動作する心拍数測定や睡眠トラッキングといった機能は、MCUが処理することでエネルギー消費を抑えている。この手法は、バッテリーの持続時間を延ばすための合理的なアプローチといえる。

また、Wear OSを搭載する競合製品では、CPUがセンサー処理も担うことが多く、その結果、バッテリー消費が激しくなる傾向がある。一方で、OnePlus Watch 3はこの負担をMCUに分散し、バッテリー効率を最大化することに成功した。これにより、AOD(常時表示ディスプレイ)をオンにしつつも、ヘビーユース時に72時間もの稼働を実現している。

72時間駆動の実力は本物か 実用環境での検証

OnePlusはWatch 3のヘビーユース時に72時間のバッテリー持続を実現すると主張しているが、これは通常のスマートウォッチでは考えにくい長さだ。特に、AODを有効にし、GPSトラッキングを1日1時間程度使用してもこの水準に達するという点は注目に値する。これまでの多くのスマートウォッチでは、同じ条件での使用では1日半から2日程度でバッテリー切れとなることが一般的だった。

この長時間駆動を可能にしているのが、前述したCPUとMCUの役割分担に加え、OnePlus独自の電力管理アルゴリズムだ。OnePlusは、センサーがデータを記録する際のサンプリング頻度や、バックグラウンド処理の最適化によって、消費電力を徹底的に抑えている可能性がある。また、ディスプレイのリフレッシュレートや明るさの調整なども、バッテリー消費に影響を与えていると考えられる。

しかし、実際の使用環境では、通知の頻度やアプリのバックグラウンド動作など、個々の使い方によってバッテリーの持ち具合は変わる可能性がある。そのため、メーカーの公称値を基準としつつも、実際のユーザーがどのようなバッテリー寿命を体感するのかが今後の焦点となる。

2025年の競争環境でOnePlus Watch 3は生き残れるか

OnePlus Watch 3はバッテリー性能を武器に、スマートウォッチ市場での競争力を高めている。しかし、2025年にはMobvoi、Samsung、Googleなどの競合メーカーが新しいスマートウォッチを発表する見込みであり、OnePlus Watch 3の優位性がどこまで続くかは未知数だ。

特に、SamsungのGalaxy WatchシリーズやGoogleのPixel Watchは、Wear OSの最適化や新しいチップセットの導入によって、省電力性能を向上させる可能性がある。仮にこれらの製品がOnePlus Watch 3と同等、あるいはそれ以上のバッテリー持続時間を実現すれば、OnePlusの強みが相対的に薄れることも考えられる。

また、スマートウォッチ市場ではバッテリー寿命だけでなく、健康管理機能の充実やアプリの対応状況、OSの使いやすさなども評価のポイントとなる。そのため、OnePlusが今後も市場で存在感を示し続けるためには、バッテリー性能だけでなく、ソフトウェアの進化や新機能の追加も求められる。今後の競争の行方が注目される。

Source:Wareable