インテルが開発中とされるXeon W「Granite Rapids-W」プロセッサの詳細がリークされた。この新プロセッサは、メインストリームおよびエキスパート向けワークステーション向けに設計されており、最新の高性能コアを搭載する。メインストリーム向けのXeon W-2600シリーズは、クアッドチャネルDDR5メモリコントローラーと最大80本のPCIe 5.0レーンを備える。
一方、エキスパート向けのXeon W-3600シリーズは、8チャネルDDR5メモリサブシステムと最大128本のPCIe 5.0レーンをサポートする。両シリーズともにIntel W890チップセットを基盤としており、CPUとの接続に8本のPCIe 4.0レーンを使用し、プラットフォーム全体で24本のPCIe 4.0レーンを提供する。
これらの仕様により、インテルはAMDのRyzen Threadripperシリーズに対抗する高性能ワークステーション向けプロセッサを提供する可能性がある。ただし、正式な発表はまだ行われておらず、詳細は今後の情報に注目が必要だ。
Intel W890チップセットの役割と拡張性のポイント
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Intel W890チップセットは、Xeon W-2600およびXeon W-3600シリーズの基盤として機能し、ワークステーション向けの柔軟な拡張性を提供する。特に、PCIeレーンの構成はシステム全体の接続性を向上させ、複数の高速ストレージやGPUの利用を容易にする。CPUとの接続には8本のPCIe 4.0レーンを使用し、プラットフォーム全体では24本のPCIe 4.0レーンを提供。
これにより、ストレージデバイスやネットワークカードを接続する余地が十分に確保される。また、ワークステーション用途では、安定性と長期的な信頼性が重要視される。Intel W890は、最新のXeonプロセッサと組み合わせることで、業務用途やクリエイティブ用途で求められる高いデータ処理能力を発揮できる設計となっている。
メモリサポートも、Xeon W-2600ではクアッドチャネル、Xeon W-3600では8チャネルと用途に応じて最適化されている。これにより、ワークフローの違いに応じた最適な構成を選択できる点も魅力の一つだ。さらに、W890はPCIe 5.0をサポートするXeon W-3600と組み合わせることで、GPUやストレージのパフォーマンスを最大限に引き出せる。
一方で、Xeon W-2600の最大80レーン構成でも、多くのプロフェッショナル用途には十分な帯域幅を確保できるため、バランスの取れた構成となるだろう。こうした仕様から、W890チップセットは将来のワークステーション市場において重要な役割を果たす可能性が高い。
Xeon W-3600の高性能コアとAMD Threadripperとの比較
Xeon W-3600シリーズは、エキスパート向けワークステーションのために設計されており、インテルの最新の高性能コアを搭載している。しかし、その具体的なコア数はまだ公表されていない。一方で、インテルはすでに最大128コアのシリコンを開発しているため、今後のモデルではより多くのコアを搭載する可能性がある。
特に、ワークステーション向けCPUでは、単純なコア数の増加だけでなく、クロック周波数や消費電力のバランスも重要なポイントとなる。この点で、AMDのRyzen Threadripperシリーズとの比較が気になるところだ。最新のThreadripper 7000シリーズは、最大96コアを搭載し、ワークステーション市場において圧倒的なパフォーマンスを誇る。
一方、Xeon W-3600がどこまでのコア数とクロック周波数を実現するかは、今後の正式発表を待つ必要がある。ただし、インテルのXeonプロセッサは、AVX-512のような高度な命令セットをサポートする点で、特定の業務用途では強みを持っている。
また、Xeon W-3600は8チャネルDDR5メモリをサポートし、最大128本のPCIe 5.0レーンを提供するため、大容量メモリと高速ストレージを活用したいユーザーにとって有利な選択肢となる可能性がある。
これに対し、AMDのThreadripper PROシリーズは、同じく8チャネルメモリをサポートするが、PCIeレーン数やメモリのレイテンシーなど細かな仕様の違いが、最終的なパフォーマンスに影響を与えるだろう。インテルがどのような最適化を施してくるのか、正式発表が待たれる。
市場投入時期とワークステーション市場への影響
インテルはすでにXeon W「Granite Rapids-W」プロセッサについて公式に言及しているため、市場投入が近い可能性がある。ただし、昨年第3四半期にはSapphire Rapids-W Refresh CPUが発表されたばかりであり、新たなXeon Wシリーズがいつ正式に登場するかは不透明だ。
一般的に、新アーキテクチャを採用したプロセッサの市場投入には数か月の猶予があるため、実際の出荷時期には注目が集まる。ワークステーション市場では、処理能力の向上に対する期待が高まっており、特にAIや3Dレンダリング、データ解析などの分野では、高性能CPUの需要が拡大している。
こうした背景を踏まえると、Xeon W-3600シリーズが登場すれば、これらの分野においてインテルのプレゼンスがさらに強化される可能性がある。一方、Xeon W-2600シリーズは、ミドルレンジのワークステーション市場をターゲットにしており、コストパフォーマンスを重視するユーザー層に向けた製品となるだろう。
また、AMDのThreadripperシリーズとの競争が激化する中、インテルがどのような価格設定や最適化を行うかも重要なポイントとなる。PCIe 5.0の活用や最新メモリ技術の採用によって、ワークステーションの性能向上が期待される一方で、消費電力や発熱管理といった課題にも対応する必要がある。今後の正式発表を通じて、インテルがどのような戦略を取るのかが注目される。
Source:Tom’s Hardware