Appleが2026年に初の折りたたみ式iPhoneを発売する可能性が報じられている。 同社は縦方向に折りたためるクラムシェル型デザインのプロトタイプを開発中で、画面の折り目を最小限に抑える技術的課題に取り組んでいるという。

また、折りたたみ式ディスプレイの主要サプライヤーの選定を進めており、2月末から4月初めまでに決定する見通しだ。 この新型iPhoneの登場により、スマートフォン市場に新たな変革がもたらされることが期待されている。

折りたたみiPhoneのデザインと仕様が示す方向性

Appleの折りたたみ式iPhoneは、一般的なスマートフォンとは異なり、より大画面の利用を前提とした設計が特徴的だ。今回の情報によれば、開いた状態での画面サイズは12インチ以上になる見込みで、これは既存のiPad mini(8.3インチ)を大きく超える。これにより、Appleは折りたたみデバイスを単なるスマートフォンの延長ではなく、タブレットとの中間的な存在として捉えている可能性がある。

また、閉じた状態では厚さ9.2mm、各半分は4.6mmと非常に薄型化される見通しだ。折りたたみスマートフォンにおいて厚みは重要な課題の一つであり、特にAppleはデザイン面での完成度を追求する傾向が強いため、薄型化を実現するための技術的な工夫が求められる。この点では、ヒンジ部分の最適化や、新素材の採用が鍵を握るだろう。

一方、ディスプレイにはSamsungが供給するUltra-Thin Glass(UTG)が採用される予定だ。折りたたみスマートフォンでは、画面中央に生じる折り目がユーザー体験に大きく影響を与えるため、Appleがこの課題にどう対応するかが注目される。さらに、チタン合金やカーボンファイバーといった新素材の導入が検討されており、軽量化と耐久性の両立も図られるだろう。これらの情報から、Appleの折りたたみiPhoneは、単なる新形態のスマートフォンではなく、ユーザーの使い方そのものを変える可能性を秘めたデバイスとして設計されていることがうかがえる。

ヒンジの進化が耐久性を左右するポイントに

折りたたみスマートフォンの最大の課題はヒンジの耐久性である。初期の折りたたみデバイスでは、ヒンジ部分の故障や異物の侵入による不具合が多発していたが、Appleはこの点に特に慎重に取り組んでいるようだ。今回のリークによれば、Appleはヒンジ設計を完全に社内で行い、Amphenol社やXinyiheng社と連携して製造を進める予定とされる。

また、ヒンジのコストは1台あたり約110ドルとされ、デバイス内で最も高価なパーツの一つとなる。さらに、追加のMIMパーツや補強構造を含めると、ヒンジ関連の総コストは約150ドルに達する見込みだ。これは、Appleがヒンジの耐久性に特に注力している証拠であり、単なる折りたたみ機構ではなく、何万回もの開閉にも耐えうる堅牢な構造を目指していることが分かる。

他社製品の事例を見ても、初期の折りたたみスマートフォンは、数万回の開閉テストをクリアしていても、実際の使用環境では問題が発生するケースが多かった。Appleがこの課題をどのように克服するかが、折りたたみiPhoneの成功を左右する重要なポイントとなる。もしAppleが独自の耐久性試験を経て市場に投入するのであれば、折りたたみデバイスの新たな基準を築く可能性がある。

Appleの折りたたみ戦略はスマートフォン市場に影響を与えるか

Appleが折りたたみデバイス市場に本格参入すれば、スマートフォンの進化に大きな変化がもたらされる可能性がある。現在、折りたたみスマートフォン市場はSamsung、Google、OnePlusなどがリードしているが、Appleの参入によって一気に市場の流れが変わる可能性がある。特に、Appleのエコシステムとの親和性を考えると、単なるデザイン変更にとどまらず、MacやiPadとの連携強化も視野に入っているのではないかと考えられる。

発売時期は2026年秋と予測されており、初年度の出荷台数は800万~1000万台と見込まれている。この数字が示すように、Appleは折りたたみiPhoneを単なる試験的な製品ではなく、主力ラインナップの一つとして位置づけている可能性が高い。加えて、2027年には2000万台まで出荷を倍増させる計画があるという情報もあり、Appleが本気で折りたたみ市場を開拓しようとしていることがうかがえる。

市場全体を見ても、現在の折りたたみスマートフォンは一部の愛好者向けのデバイスにとどまっており、普及の障壁となっているのは価格や耐久性の問題だ。Appleがこれらの課題をクリアし、一般ユーザーに受け入れられるレベルの完成度を実現できれば、折りたたみスマートフォンが標準的なデバイスへと進化する可能性もある。もし、折りたたみiPhoneが成功すれば、他のメーカーも追随し、スマートフォンの形態そのものが変わる時代が訪れるかもしれない。

Source:Yanko Design