Appleは、Vision ProヘッドセットにApple IntelligenceのAI機能を追加する計画を進めている。特定のハードウェア要件を必要とせず、ソフトウェアのアップデートのみで、ライティングツールやGenmoji、Image Playgroundなどの新機能を利用できるようになる見込みだ。これにより、iPhoneやMac向けに提供されていたAI機能がVision Proにも拡張され、デバイスの利便性が向上する。

また、空間コンテンツの新しいアプリも導入される予定であり、Apple公式認可のコンテンツが提供される場として注目されている。アップデート時期は未定だが、iOS 18.5のリリースと同時になる可能性があると報じられており、さらなる進化が期待される。

Vision ProがAI機能に対応する背景と意図

Appleはこれまで、Vision Proの開発において先進的なハードウェア設計を強調してきた。しかし、今回のApple Intelligenceの導入は、ソフトウェア面での進化を加速させる大きな転換点となる。もともとVision Proは高性能なM2チップとR1チップを搭載しており、リアルタイム処理に長けた設計がなされていた。

しかし、Apple Intelligenceが発表された際、Vision Proは対象デバイスに含まれておらず、その理由は明かされていなかった。今回、AppleがAI機能をソフトウェアアップデートのみで追加することは、Vision Proがハードウェア的に十分な性能を備えていたことを示している。

特定のチップを必要とせず、すでに搭載されているM2チップだけでAI機能を動作させるという方針は、Appleが今後の製品でもソフトウェアの最適化による機能追加を重視していることを示唆している。

また、Vision Proの価格は非常に高額であり、多くのユーザーが購入を躊躇しているのが現状だ。今回のAI機能追加は、デバイスの魅力を再定義し、より多くのユーザーに利用を促す狙いもあると考えられる。特に、Genmojiやライティングツールといった新機能の追加は、Vision Proの使用用途を拡張し、クリエイティブな作業や日常の生産性向上にも貢献する可能性がある。

Apple IntelligenceによるVision Proの新たな活用方法

Apple Intelligenceの導入により、Vision Proは単なる空間コンピューティングデバイスから、AIを活用した次世代のインターフェースへと進化する。特に、ライティングツールやGenmojiといった機能は、従来のディスプレイデバイスでは得られない新しい体験を提供する可能性がある。

ライティングツールは、AIが文章作成を支援する機能であり、VR空間内でのメモ作成やドキュメント作成を効率化することが期待される。従来、Vision Proは映画鑑賞や3Dコンテンツの視聴に特化したデバイスという印象が強かったが、Apple Intelligenceによって仕事や学習にも活用できるデバイスへと変わるかもしれない。

また、Genmojiはユーザーが独自の絵文字を生成できる機能であり、空間コミュニケーションの新たな形を生み出す可能性がある。Vision Proの特性を活かし、3D空間内で独自のアイコンやアバターを作成し、リアルタイムで共有することができれば、これまでにない直感的なコミュニケーション手段が確立されるかもしれない。

さらに、新たに導入予定の空間コンテンツ向けアプリは、Appleが公式に認可したコンテンツを集約するプラットフォームとなる見込みだ。これにより、ユーザーは安心して高品質なコンテンツを楽しめるようになり、Vision Proのエコシステムがより充実することが期待される。

AI機能の提供時期とAppleの今後の展開

Appleは、Vision Pro向けのApple Intelligenceをいつリリースするのかについて正式な発表をしていない。しかし、現在の情報によれば、4月に予定されているiOS 18.4の発表と同時、あるいはiOS 18.5のリリースとともに提供される可能性がある。

特に、AppleはSiriのAI機能強化を遅らせる意向を示しており、iOS 18.5の登場時に新しい音声アシスタント機能を含めると報じられている。この動きと並行して、Vision Pro向けのAI機能も同時に展開されることが予想される。

Apple Intelligenceの導入は、Vision Proの価値を向上させるだけでなく、今後のApple製品全体におけるAI戦略の方向性を示す重要なステップとなる。今後もソフトウェアアップデートによる機能追加が継続されることで、Vision Proがより多様な用途に対応できるデバイスへと進化することが期待される。

Source：Wccftech