Appleの最新OSアップデートでは、AI技術「Apple Intelligence」がデフォルトで有効化されるようになった。しかし、一部のユーザーにとっては、この機能が不要だったり、ストレージ消費が大きすぎると感じることもあるだろう。
最新のiOS 18.3.1、iPadOS 18.3.1、MacOS Sequoia 15.3.1では、アップデート後にApple Intelligenceが自動で有効化される。特に「続行」ボタンを押すだけで設定が変更されるケースも報告されており、手動でオフにしたはずの機能が再びオンになったという事例もある。
このAI機能を無効化することで、ストレージの節約やバッテリー持続時間の改善が期待できる。加えて、一部のユーザーは、AIによる文章要約や画像生成機能の精度が不十分であると感じており、オフにすることで操作性の向上を図りたいと考えているようだ。Apple Intelligenceの完全な無効化方法や、一部機能のみをオフにする手順について詳しく解説する。
Apple Intelligenceがもたらすストレージ負担とその対策
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Apple Intelligenceの導入により、ストレージの消費量が大きく増加している。特に「Image Playground」「Genmoji」「メッセージ要約」などのAI機能は、最大7GBものストレージを占有することがある。これは、特にストレージ容量が128GB以下のデバイスを使用しているユーザーにとって無視できない問題となる。
Apple Intelligenceのストレージ消費量は、設定アプリの「一般」→「iPhoneストレージ」→「iOS」から確認できるが、オフにした後でも即座に解放されるわけではない。iOSの自動管理機能によって、ストレージが逼迫した際にのみ容量が削減される仕様となっている。例えば、筆者のiPhoneではApple Intelligenceのデータが5.89GBから2.87GBに減少したが、これはストレージ不足の際にiOSが自動調整を行ったためであり、手動で即時解放する方法は提供されていない。
こうした状況を踏まえ、ストレージの負担を軽減するための対策が求められる。Apple Intelligenceを完全にオフにすることはひとつの手段だが、使用頻度の低い特定の機能のみを無効化することで、必要な機能を維持しつつストレージを節約することも可能である。例えば、「Genmoji」や「Image Playground」をオフにすることで、画像生成に関連するデータの蓄積を抑えることができる。
また、Apple Intelligenceのデータは、アプリのキャッシュと異なり、不要なファイルを手動で削除する手段が提供されていないため、ストレージ管理においてユーザーの選択肢が限られている。こうした仕様のため、ストレージに余裕がないユーザーは、不要な機能を個別に無効化するか、定期的にストレージの使用状況を確認し、圧迫される前に最適化を行う必要がある。
AI機能の精度と実用性 Apple Intelligenceは本当に必要なのか?
Apple Intelligenceは、文章要約や通知整理、画像生成など多岐にわたる機能を提供しているが、その精度や実用性に疑問を持つユーザーも多い。例えば、通知の要約機能は重要な情報を見落とすことがあり、手作業で確認する手間が増えるケースがある。また、AIが生成する文章や絵文字が、必ずしも意図に沿ったものになるとは限らない。
SellCellの調査によると、Appleユーザーの73%がApple Intelligenceの価値をほとんど感じていないと回答しており、CNETの調査でも25%のスマートフォン所有者がAIに全く興味がないと述べている。この結果は、Apple Intelligenceの実用性に対する期待と現実のギャップを示している。特に、テキストの要約やリライト機能は、人間の意図を正確に反映することが難しく、むしろ誤解を招く可能性がある。
一方で、画像認識や写真整理といった機能に関しては、一定の利便性を感じるユーザーもいる。例えば、「写真アプリのClean Upツール」は、不要なオブジェクトを消去する機能を備えており、Apple Intelligenceをオフにしても使用できることが確認されている。これは、AI機能の中でも一部のツールが独立して動作する設計になっていることを示しており、ユーザーの判断によって適宜活用すべき機能といえる。
Apple Intelligenceを導入することで得られるメリットと、それによって生じるデメリットのバランスを考慮すると、すべてのユーザーにとって必須の機能ではなく、むしろ不要と感じる人が一定数いるのも納得できる。AIの進化が続く中で、今後のアップデートによる改善が期待されるが、現時点では使い勝手や精度の面で課題を抱えているのが実情だろう。
Apple Intelligenceのオン・オフで変わるSiriの使い勝手
Apple Intelligenceの有効化・無効化は、Siriの機能にも影響を与える。特に、Apple Intelligenceをオフにすると、SiriのChatGPT拡張機能が利用できなくなる点は注目すべきポイントだ。これは、Apple Intelligenceがオフの状態では、複雑なリクエスト処理を外部のAI(ChatGPT)に委託する機能が動作しなくなるためである。
この変更により、Siriの応答精度が低下する可能性がある。例えば、Apple Intelligenceが有効な状態では、Siriが文脈を考慮した返答を行うことができるが、オフにすると従来のSiriと同様に簡単な定型応答のみになる。特に、iOS 18以降で導入された「連続会話機能」は、Apple Intelligenceが有効な場合にのみ利用できるため、無効化すると会話の流れが途切れやすくなる。
一方で、Siriの基本機能(タイマー設定、リマインダー、天気予報の確認など)は、Apple Intelligenceをオフにしても影響を受けない。このため、Siriを主に基本的な操作に使っているユーザーにとっては、Apple Intelligenceの有無はほとんど関係がないともいえる。
Apple Intelligenceのオン・オフを切り替えることで、Siriの応答がどのように変化するかを確認し、自分にとって最適な設定を見極めることが重要だ。特に、ChatGPT拡張機能を活用したい場合はApple Intelligenceをオンにする必要があるが、それ以外の用途ではオフにすることで不要なAI処理を減らし、デバイスの負担を軽減できる。
今後のiOSアップデートによって、SiriのAI機能がどのように改善されるかは不明だが、現在の仕様では「Apple Intelligenceが必須」といえる場面は限られている。AIの進化を見守りつつ、必要な機能を選択して使うことが、最適な利用方法といえるだろう。
Source:CNET