iPhone 16シリーズの発売と堅調な販売により、Appleは2024年も世界最大のスマートフォンメーカーの座を守った。年間出荷台数はSamsungをわずか300万台上回り、2年連続で1位となった。
特にiPhone 15が最も出荷されたモデルとなり、2024年の全スマートフォン出荷量の3%を占めた。このデータはApple Intelligenceの影響ではなく、iPhoneのブランド力と安定した需要によるものである。
市場全体ではXiaomiが成長し、Transsionが初の世界4位にランクイン。2024年のスマートフォン出荷台数は前年比7%増の12億2,000万台となり、市場は回復基調を示している。
Appleが首位を維持できた理由—iPhone 16シリーズとエコシステムの強み
Appleが2024年もスマートフォン市場でトップを維持した要因として、iPhone 16シリーズの販売だけでなく、Appleの強固なエコシステムが挙げられる。iPhone 16シリーズは、A18 Proチップの搭載やカメラの強化などが注目されたが、それ以上にAppleのハードウェアとソフトウェアの連携がユーザーの支持を集めた。
Appleの製品は、iPhone単体の性能だけでなく、Mac、iPad、Apple Watch、AirPodsといった周辺機器との連携がスムーズであることが大きな特徴だ。特に、AirDropやHandoff、iCloudによるデータ共有の容易さは他社にはない魅力となっている。また、Apple製品のリセールバリューが高い点も、買い替えサイクルを促進し、出荷台数の安定につながったと考えられる。
さらに、AppleのiOSアップデートの長期間の提供も重要な要素だ。多くのAndroidメーカーは2〜3年のOSアップデートに留まるが、Appleは5年以上のサポートを提供することで、長期間にわたる安定したユーザー体験を実現している。このため、新しいiPhoneを購入する際にも、ソフトウェア面での安心感が高い。
このように、Appleが2024年もトップを維持できた背景には、iPhone 16シリーズの販売だけでなく、Apple独自のエコシステムの強みがあるといえる。他社がこの分野でどこまで対抗できるかが、今後の市場競争の鍵となるだろう。
Samsungのシェア低下—ハイエンド市場での課題と新たな戦略
一方で、Samsungは2024年第4四半期に出荷台数が前年同期比2,520万台減少し、市場シェアが17%から16%に縮小した。特にハイエンド市場では、Galaxy Sシリーズの販売がAppleのProモデルに押される形となった。
Samsungは、フラッグシップモデルであるGalaxy S24シリーズにAI機能を大きく打ち出したが、Apple Intelligenceの発表と比較され、インパクトの面で劣勢となった可能性がある。さらに、Samsungのスマートフォン事業は折りたたみ端末にも注力しているが、これが市場全体のシェアを大きく押し上げる要因にはなっていない。
一方、ミッドレンジ市場ではGalaxy Aシリーズが一定の人気を維持しているものの、中国メーカーのXiaomiやTranssionが低価格帯での競争力を高めており、Samsungの市場シェアに影響を与えている。特に、新興市場ではTranssionの成長が著しく、Samsungがかつて強かった地域でシェアを奪われつつある。
こうした状況を受け、Samsungは新たな戦略としてAI技術のさらなる強化や、Galaxy専用のソフトウェア最適化を進めると見られる。また、今後の折りたたみスマートフォン市場の拡大に期待がかかるが、現時点ではハイエンド市場の競争力強化が最優先課題となっている。
スマートフォン市場全体の成長と今後の展望—回復基調の兆しは本物か
2024年のスマートフォン市場全体の出荷台数は12億2,000万台となり、前年比7%増と回復傾向を見せた。ここ2年間は世界的な経済状況や半導体不足の影響で低迷していたが、2024年には成長基調へと転じた。
市場回復の要因としては、新興市場での需要拡大と、AI技術を搭載した新型スマートフォンの登場が挙げられる。特にXiaomiは前年比15%増の1億6,860万台を出荷し、シェア拡大に成功した。Transsionも低価格帯市場での強みを活かし、世界4位へと浮上したことから、スマートフォンの普及が進んでいる地域での需要が高まっていることが分かる。
しかし、今後の成長が続くかどうかは依然として不透明だ。特に、ハイエンド市場では買い替えサイクルの長期化が進んでおり、メーカー各社はAI機能や新しいデザインの採用など、明確な差別化を求められている。加えて、世界的な経済動向やインフレの影響が消費行動にどのように反映されるかも重要なポイントとなる。
2025年に向けて、Apple、Samsung、Xiaomiなどの主要メーカーがどのような戦略を打ち出すのか、そして折りたたみスマートフォンやAI機能の進化が市場にどのような影響を与えるのかが注目される。市場回復の流れが一時的なものなのか、それとも本格的な成長軌道に乗るのか、今後の動向が鍵となるだろう。
Source:PhoneArena