AMDが開発中の新型APU「Ryzen AI MAX 395+」が、流出したGeekbenchのベンチマークでRyzen 9 7950Xに匹敵する性能を示し注目を集めている。このチップはZen 5アーキテクチャを採用し、16コア32スレッド構成を持つ。ASUSの次世代ノートPC「ROG Flow Z13」に搭載されると噂され、来月のCESで正式発表が期待されている。

シングルコア性能では2928ポイント、マルチコア性能では19484ポイントを記録し、前世代のRyzen 9 7945HXを22%上回るマルチコア性能を達成。統合GPU「Radeon 8060S」の搭載により、競合製品に対抗する可能性がある。AMDは、これを新たなエンスージアスト向けノートPC市場の鍵と位置付け、来月の発表で詳細を明かすとみられる。

AMD Strix Haloの技術的特徴とRyzen AI MAX 395+の可能性

Ryzen AI MAX 395+は、Zen 5アーキテクチャを基盤にした革新的な16コア32スレッドのAPUである。ベースクロック3GHz、ブーストクロック5.1GHzを誇り、64MBのL3キャッシュと16MBのL2キャッシュを搭載。これにより、GeekbenchベンチマークでRyzen 9 7950Xと肩を並べるスコアを記録した。この性能は、デスクトップ向けプロセッサと同等の処理能力をノートPCで実現する点で重要である。

また、統合GPUとして搭載されるRadeon 8060Sは、最大40基のCU(コンピュートユニット)を備え、従来の製品を大幅に超えるグラフィック性能を持つとされている。

RDNA 3.5アーキテクチャとLPDDR5X-8000メモリのサポートにより、グラフィック処理とデータ転送速度が飛躍的に向上。これらの仕様は、AMDがエンスージアスト向けノートPC市場で新たな地位を確立するための重要な要素といえる。

一方で、Strix HaloはDragon Rangeシリーズの後継製品として、ワークステーション用途にも応用可能な柔軟性を提供する。AMDのこうしたアプローチは、ハイエンド市場だけでなく、多用途ユーザーへのアピールにもつながる可能性がある。


ROG Flow Z13の採用とCESでの発表が示す戦略

Ryzen AI MAX 395+が搭載されると噂されるASUSのROG Flow Z13は、既存のゲーミングノートPCの常識を覆す存在である。このモデルはポータブルながらも高性能を維持する「モバイルゲーミング」の未来を象徴する製品と位置づけられている。流出したベンチマークスコアからも、このチップがゲーマーやクリエイターにとって新たな選択肢となることは明らかである。

特に注目すべきは、来月のCESでの公式発表が予定されている点である。このイベントは、AMDにとってStrix Haloシリーズを世界に向けて発信する絶好の場となるだろう。CESは、最新技術の競演が繰り広げられる国際的なプラットフォームであり、ここでの発表は市場に対する影響力を一層高めるとみられる。

さらに、ASUSの新モデル採用は、AMDと主要PCメーカーとの協力が強化されていることを示唆している。このパートナーシップは、競合するIntelやAppleへの挑戦をより力強いものとし、モバイルプロセッサ市場でのAMDの優位性を裏付けるものとなる。


AMD Strix Haloの未来と競合製品への挑戦

Ryzen AI MAX 395+は、現時点で直接的な競合がないと言われているが、これはその設計思想の独自性に起因している。この製品は、デスクトップ級の性能と高度な統合GPUを一体化し、特にAppleのMシリーズをターゲットにしているとされる。一方、IntelのArrow Lakeとは性質が異なるため、異なる市場ニーズに応える製品といえる。

興味深い点として、Strix Haloは価格設定次第でNVIDIAのRTX 5060を搭載するノートPCにも対抗できるとされる。この戦略が成功すれば、AMDはモバイルGPU市場でのシェア拡大も期待できる。さらに、来月のCESでの発表が市場の期待通り進めば、Strix Haloは業界に新たなスタンダードを生む可能性を秘めている。

独自の見解として、AMDがこの製品をワークステーション用途に拡張する可能性を示唆する動きにも注目したい。これは、単なるエンスージアスト向け製品に留まらず、幅広いユーザー層に対応できる汎用性を持つことを意味する。AMDの次なる挑戦は、こうした多層的な市場戦略の成否にかかっているだろう。