NVIDIAの次世代ミッドレンジGPU、GeForce RTX 5070とRTX 5060の発売が当初の予定よりも数週間遅れる見込みだ。これらのモデルはチップのパフォーマンス調整とバグ修正が必要とされており、デバッグ作業が完了していないことが遅延の主な要因とされる。

また、台湾で発生した地震によるウェハー供給の影響も指摘されており、発売時の在庫不足が懸念されている。すでに発売されたRTX 5090やRTX 5080も市場での供給が安定しておらず、今回のRTX 5070やRTX 5060も価格高騰が予想される。競合のAMDにとってはチャンスとなる一方、NVIDIAにとっては市場での立ち位置を再調整する必要がありそうだ。

RTX 5070とRTX 5060の発売遅延、その背景にある技術的課題とは

NVIDIAの次世代ミッドレンジGPU、GeForce RTX 5070とRTX 5060の発売が遅れる理由のひとつに、チップのパフォーマンス調整が挙げられる。現時点で具体的な技術的問題の詳細は明らかになっていないが、バグ修正と最適化作業が完了していないため、予定通りのリリースが困難になっているとみられる。

特に、RTX 5070は当初3月5日発売予定だったが、最新の情報では3月後半にずれ込む可能性が高い。また、RTX 5060も同様の問題を抱えており、最大4週間の遅延が見込まれている。通常、発売前のGPUは広範囲なベンチマークテストを経て最適化が施されるが、今回はそのプロセスがスムーズに進んでいないと考えられる。

加えて、GPUの設計変更や製造上のトラブルが重なった可能性も否定できない。NVIDIAとしては、問題を抱えたまま市場投入するリスクを回避し、品質を確保する意図があるのかもしれない。これらの遅延は、ユーザーの期待を大きく損なう要因となる。

特にRTX 50シリーズは次世代アーキテクチャによる性能向上が期待されているだけに、発売が先送りされることで購入を検討していたユーザーの判断に影響を与えるだろう。一方で、性能の最適化が不完全な状態で発売されるよりも、しっかりと仕上がった製品が投入されるほうが結果的にはメリットが大きいとも考えられる。

供給問題と価格高騰の懸念、RTX 50シリーズは「紙上の発売」になるのか

RTX 50シリーズのミッドレンジモデルの発売が遅れるだけでなく、供給面でも問題が発生する可能性が指摘されている。その一因として、台湾で発生した地震によるウェハー供給の影響が挙げられる。GPUの製造には高品質なシリコンウェハーが不可欠であり、供給の遅れは製造スケジュールに直結する。

特に、NVIDIAの最新GPUはTSMCの先進的な製造プロセスを利用しているため、サプライチェーンの影響を大きく受けることになる。こうした状況から、RTX 5070やRTX 5060の発売直後には在庫が極めて少なくなる可能性がある。過去のRTX 40シリーズでも、発売初期は供給不足により価格が高騰し、希望小売価格(MSRP)での購入が困難な状況が続いた。

今回のRTX 50シリーズでも、同様の展開となる可能性は高い。すでにRTX 5090やRTX 5080も公式のMSRPでは入手困難となっており、今回の遅延によってさらに需給バランスが崩れることが懸念される。これにより、発売が実質的に「紙上の発売(paper launch)」となる可能性もある。

つまり、製品は発表されるものの、実際に市場で流通する数が限られ、多くのユーザーが入手できない状況になるというものだ。特にミッドレンジGPUは、多くのゲーマーやクリエイターにとってコストパフォーマンスの高い選択肢となるだけに、この影響は大きいだろう。価格の高騰が長引けば、現行のRTX 40シリーズを購入するほうが合理的な選択肢となる可能性もある。

NVIDIAの遅れはAMDにとっての追い風となるか

RTX 5070やRTX 5060の発売遅延は、競争相手であるAMDにとって有利に働く可能性がある。AMDのRDNA 3アーキテクチャを採用した最新のRadeon RX 7000シリーズは、すでに市場に投入されており、価格も徐々に安定してきている。NVIDIAの新製品が遅れ、高額になると予想される中で、AMDの製品がより魅力的な選択肢となる可能性が高まる。

また、ミッドレンジ市場においてはコストパフォーマンスが重要視されるため、RTX 50シリーズの供給不足が長引けば、AMDのGPUを選択するユーザーが増える可能性がある。特に、現在のRadeon RX 7800 XTやRX 7700 XTなどは競争力のある価格設定がされており、ゲーム性能でも一定の評価を得ている。

とはいえ、NVIDIAは依然として圧倒的な市場シェアを誇っており、RTXシリーズのブランド力も強い。そのため、発売が遅れたとしても、最終的に十分な供給が確保されれば、NVIDIAのシェアが大きく崩れることはないだろう。しかし、今回のような遅延と供給問題が続けば、AMDがその隙を突くチャンスとなる可能性は十分にある。

Source:Wccftech