2025年の最新フラッグシップチップセットとして登場した「Snapdragon 8 Elite」と「Dimensity 9400」。QualcommとMediaTekがそれぞれ開発したこれらのSoCは、次世代スマートフォンの中心的な性能を担う存在である。

Realme GT7 Proとvivo X200 Proに搭載されたこれらのチップは、シングルコア・マルチコア性能、GPU性能ともに異なる特徴を持ち、用途に応じた選択肢を提供する。Snapdragon 8 EliteはGeekbench 6で優位性を示し、特にCPU性能での強みが光る。一方で、Dimensity 9400はAnTuTuや3DMarkの複合ベンチマークにおいて高評価を得ており、総合的な実使用においてもその実力が確認される。

性能の違いを生み出す独自設計要素

Snapdragon 8 EliteとDimensity 9400は、それぞれ異なる設計要素により性能に個性が見られる。Qualcommが新たに開発した「Oryon」コアを搭載するSnapdragon 8 Eliteは、2x 4.20 GHz Oryon V2 Phoenix Lと6x 3.53 GHz Oryon V2 Phoenix Mの構成が特徴であり、クロック周波数が高く設定されている。

この結果、シングルおよびマルチコアの作業負荷において高い性能を発揮している。一方、MediaTekのDimensity 9400は1x 3.63 GHz Cortex-X925と3x 3.3 GHz Cortex-X4、4x 2.4 GHz Cortex-A720コアから成るオクタコアCPUであり、CPUアーキテクチャに多様性を持たせている。

さらにGPUにはImmortalis-G925を採用し、3DMarkなどのGPUベンチマークでSnapdragonを上回る結果が見られた。このような違いは、ユーザーがどのような用途でスマートフォンを使うかに応じた選択を可能にしている。

ベンチマークで見るパフォーマンス差

Snapdragon 8 EliteとDimensity 9400のパフォーマンス差は、ベンチマーク結果でも明確に表れている。Geekbench 6の結果では、Snapdragon 8 EliteがDimensity 9400に対し、マルチコア性能で10%、シングルスレッド性能で15%の優位を見せた。

Qualcommの設計が単純なスレッド処理での強さを持っていることがうかがえる。対照的に、AnTuTu 10での複合ワークロードではDimensity 9400がSnapdragonを6%上回る結果となり、複数の作業が重なる環境でのパフォーマンスが際立つことが示唆されている。

これにより、Snapdragon 8 Eliteが高負荷な単一タスクに強く、Dimensity 9400は複合的な処理に向いていると考えられる。結果として、各SoCはユーザーのニーズに応じたパフォーマンスを提供する強みを持つと言える。

実使用環境での選択肢と評価

ベンチマークテストだけでなく、実際の使用環境においても両チップセットの違いは顕著である。Snapdragon 8 Eliteの搭載機であるRealme GT7 Proは、スムーズなシングルスレッド処理と応答性が必要なアプリケーションに適している。

一方、vivo X200 Proに搭載されたDimensity 9400は、AnTuTuや3DMarkの結果から見られる通り、複合的なタスクや高負荷な3Dゲームなどでより良いパフォーマンスを発揮している。また、MediaTekのImmortalis GPUがAdreno GPUをわずかに上回ったことも、視覚処理性能の高さを示す要因といえる。

これらの違いにより、各チップセットが異なるニーズに応える形となっており、ユーザーにとっての選択肢が広がっている。両SoCの強みが明確であることで、使用環境に応じたデバイス選択が可能となり、性能面での妥協は必要ないと判断できる。