AMDの新しいモバイル向けプロセッサ、Ryzen Z2 Extremeの性能情報がリークにより明らかになった。Ryzen Z2 Extremeは、Zen 5およびZen 5cコアを採用し、8コア構成で最大5 GHz以上のブーストクロックを目指している。
これにより、前世代モデルであるRyzen Z1 Extremeと比較してシングルコア性能で約6%、マルチコア性能で約5%の向上が期待されている。今回のリークでは、Ryzen AI 7 Pro 370が同様の構成でGeekbenchテストにおいて高いスコアを記録し、Z2 Extremeの性能が近い水準であることが示唆された。
しかし、Ryzen Z2 Extremeの統合GPUにはRadeon 890M iGPUが搭載されない可能性が指摘されており、これがどのように影響するか注目されるところである。AMDはCES 2025での発表が予測されており、次世代ハンドヘルドゲーム機市場でどのようなインパクトを与えるかが期待される。
次世代Zen 5とZen 5c構成が生み出す新たなパフォーマンスの可能性
Ryzen Z2 Extremeは、最新のZen 5およびZen 5cコアの組み合わせによって構成されている点が大きな特徴である。この構成は、パフォーマンスコアと高効率コアの融合により、システム全体の最適化を図る意図が明確だ。
特に、モバイルデバイスであるハンドヘルドゲーム機での採用が想定されるため、従来のZen 4に比べて省電力性とパフォーマンスのバランスが取られている。ノートパソコン市場でのテストでも良好なスコアを記録しており、AMDが掲げる次世代ゲーム体験の実現に向けた性能が期待される。
ただし、現時点では実際のデバイスにおける性能が未知数であり、各種テスト環境でのスコアがそのまま再現される保証はない。また、AMDがこのプロセッサに対してどのようなチップセットを組み合わせ、グラフィック性能をどう補完していくかは未確定である。
こうした点から、AMDのモバイル向けチップ戦略が市場にどのようなインパクトを与えるかを見極めるには、CES 2025での正式発表が待たれるだろう。
Radeon 890M iGPU非搭載によるグラフィック性能への影響とその背景
今回のRyzen Z2 Extremeには、従来のハイエンドiGPUであるRadeon 890Mの搭載が見送られる可能性が指摘されている。この背景には、GPUの省電力化と発熱対策が一因として挙げられるが、ハンドヘルドデバイスの用途に特化したチップ設計が影響しているとも考えられる。
特に、モバイル用途での性能向上を狙うAMDの戦略は、GPUの高度な性能に依存しすぎないアプローチに転換されているようだ。AMDは、特にモバイル分野で長時間稼働が可能な低消費電力システムを重視しているため、CPUとメモリの効率化に注力する方針にあると見られる。
このため、Radeon 890Mが非搭載となってもZen 5とZen 5cによるマルチコア性能やバッテリー寿命の向上でカバーできるとの見解もある。しかし、グラフィック性能がどこまで実用的な水準で保たれるかは、実際の動作テストの結果が公開されるまでは不透明であり、特にグラフィックを重視するゲーマーにとっては慎重な判断が必要だろう。
Geekbenchスコアが示唆するRyzen Z2 Extremeの実力と今後の課題
今回のリーク情報で明らかになったRyzen Z2 Extremeの性能は、Geekbenchスコアを通してその概要が掴める形となった。Ryzen AI 7 Pro 370が記録したシングルコア2,700ポイントおよびマルチコア12,000ポイントのスコアは、Ryzen Z1 Extremeと比較しても高水準にある。
このスコアがそのままZ2 Extremeに適用されれば、旧世代と比較して5%以上の性能向上が期待され、ハンドヘルドゲーム機における一段と快適なゲームプレイ環境が提供されるだろう。しかし、NotebookCheck.netが伝える通り、この理論値が実際のゲーム体験に直結するかどうかは未知数である。
ハードウェアが持つ理論性能を実際に発揮できるかは、最適化と冷却システムの能力に依存するためだ。加えて、Ryzen Z2 Extremeに求められるのは、単なるスコア向上にとどまらず、発熱を抑えつつ安定したパフォーマンスを提供する点にある。
したがって、CES 2025での発表後、実際のユーザー体験が公開されることで、Ryzen Z2 Extremeの真価が明らかになるだろう。