Shuttleが発表した新型ベアボーンPC「XPC slim XH610G2」は、わずか4.7リットルというコンパクトな筐体ながら、IntelのLGA1700ソケットとH610チップセットを採用し、第12世代から第14世代のIntel CPUに対応している点が特徴である。
また、PCIe 5.0 x16スロットを含むデュアルスロット拡張も可能であり、最大65WのCPUおよび75WのGPU TDPに制限されるものの、別途アクセサリで225Wまで拡張可能であるため、プロフェッショナル用途における性能重視のカスタマイズも視野に入る。
同モデルは、ベアボーンキットとしてユーザーが自ら必要なコンポーネントを追加する形式だが、最大でNvidia RTX 3070やAMD RX 7600 XTクラスのGPUを搭載可能とする柔軟性を持つ一方で、eGPUには対応しておらず、外部GPUの選択肢が求められるゲームユーザーには制約がある。
そのため、拡張性と小型フォームファクタを求める企業向けや特定のプロフェッショナル用途において、特に適したモデルといえるだろう。
省スペースPCの可能性を広げるShuttle XH610G2の高い拡張性
Shuttle XH610G2は、4.7リットルという極小フォームファクタでありながら、優れた拡張性を誇る点が際立っている。IntelのLGA1700ソケットを採用し、第12世代から最新の第14世代CPUに対応していることからも、最新のコンピューティング性能が求められる業務環境やクリエイティブ用途にとって理想的といえる。
また、PCIe 5.0 x16スロットとPCIe 3.0 x1スロットのデュアル構成により、デュアルスロットGPUなどのパフォーマンス向上を可能とし、コンパクトなデスクトップとしての利用の幅が広がっている。加えて、Shuttle XH610G2は、システムが必要とする180Wの外部電源に加え、オプションで電力供給をさらに増強できる仕組みを備えており、Nvidia RTX 3070やAMD RX 7600 XTなどのGPUに対応する性能を確保している。
このように省スペースであるにもかかわらず、パフォーマンスに妥協のない設計は、Tom’s Hardwareが評価する通り、今後の小型PCの新たな可能性を示唆している。特に企業用途では、業務効率向上とスペース削減の両立が期待されるため、Shuttle XH610G2は注目すべき製品といえよう。
eGPU未対応がもたらすゲーマー向け市場への影響
一方で、Shuttle XH610G2にはeGPU対応の機能がない点がゲーマー層への訴求力に影響を与えている。近年、外部GPUを接続して小型PCで高性能なゲーム体験を実現するニーズが増しているが、XH610G2はeGPUには対応しておらず、ゲーマー層にとっての利用シーンが制限される形となる。
内蔵GPUを最大225Wまで増強するためのオプションもあるが、専用の外部GPUよりも柔軟性には欠けるため、競合製品との差別化が難しい面もある。Shuttleはこのモデルを企業向けに設計しており、eGPUを必要としないビジネスアプリケーションや軽負荷なグラフィック処理を想定している可能性が高い。
しかし、ゲーマーがXH610G2を手軽に高性能PCとして活用することは難しく、Shuttleのターゲット層が明確に分かれる結果となっていると考えられる。今後、より汎用性のあるモデルの登場が、ゲーミングPC市場に与える影響が期待される。
M.2や2.5インチドライブの多彩なストレージ構成とその利便性
Shuttle XH610G2には、M.2 SSDスロットが2基(1基はNVMe対応、もう1基はSATA帯域)に加え、2.5インチSSDやHDDを1台搭載できる点が特徴的である。特にNVMe対応のM.2スロットを搭載していることで、システムの起動やデータの読み書き速度を大幅に向上させることが可能である。
さらに、HDDに比べて低消費電力かつ高速なSATA SSDの活用を推奨することも、パフォーマンスとコストのバランスを保ちながら快適な使用感を提供するための工夫といえる。このような構成により、Shuttle XH610G2はストレージ容量と速度の両面で多様な選択肢をユーザーに提供しており、カスタマイズの自由度が高いのが魅力である。
オフィスや家庭での省スペースPCとして、信頼性と拡張性を重視した設計が施されている点は、特にプロフェッショナルユーザーにとって大きな利便性をもたらすだろう。