Apple Watch Series 10とUltra 2に、血中酸素測定機能が復活する可能性が報じられた。この機能は、特許侵害問題により米国モデルでは長らく無効化されていたが、最近の動向で状況が変わりつつある。医療機器メーカーMasimoのCEOが交代したことにより、Appleとの交渉が進展する兆しが見えているという。
Apple Watch Series 10とUltra 2に欠けた機能
Apple Watch Series 10とUltra 2は、技術的進化とスタイリッシュなデザインで注目を集めているが、重要な機能のひとつである血中酸素測定が依然として搭載されていない。特に米国市場向けのモデルでは、長年にわたりこの機能が無効化されている。これは、Appleがかつて売りにしていた健康モニタリング機能の一部が欠けている状況を作り出しており、多くのユーザーにとっては大きな失望となっている。
この欠如は、健康志向の消費者やスポーツ愛好者にとって特に問題視されている。血中酸素測定は、トレーニングや日常生活での体調管理に欠かせない機能のひとつであり、多くのスマートウォッチが標準装備している機能でもある。競合製品と比較して、この重要な機能が無いことはAppleにとっても痛手となっている。
今後、この機能の復活が期待されているが、Apple Watch Series 10やUltra 2が真に「完全な」健康管理デバイスとなるためには、やはり血中酸素測定機能の搭載が不可欠である。
血中酸素測定機能が停止された理由とは
Apple Watchの血中酸素測定機能が米国で無効化された背景には、AppleとMasimoの特許を巡る法的な争いがある。Masimoは医療機器の製造を手掛ける企業であり、血中酸素測定技術に関して複数の特許を保有している。このため、Appleが自社のスマートウォッチに同様の技術を導入したことを巡り、特許侵害として訴訟を起こした。
この訴訟の結果、Appleは米国内で販売されるApple Watchにおいて血中酸素測定機能を無効化せざるを得なかった。この機能はApple Watch Series 6で初めて導入され、その後のモデルでも引き続き搭載されていたが、法的な問題が解決されるまで機能は封じられたままである。Appleとしては、ユーザーエクスペリエンスを最大化するために機能を復活させたいと考えているが、Masimoとの法的な問題が長らく進展していなかった。
この問題が長期化する中、ユーザーからは機能復活の要望が高まっており、健康機能を重視するAppleの方向性に影響を与えている。
Masimoの新CEO就任で交渉進展か
しかし、ここに来て事態が動き出した。Masimoの長年CEOを務めていたジョー・キアーニが退任し、新たなCEOが就任したことで、AppleとMasimoの関係にも変化の兆しが見え始めている。キアーニは以前からAppleに対して強い批判を繰り返しており、特に特許侵害に関しては厳しい姿勢を貫いていた。
そのため、キアーニの退任により、両社の法的争いが緩和される可能性があると見られている。実際、業界アナリストによれば、新しいリーダーシップの下でAppleとMasimoが交渉を再開し、和解に向けた動きが出てくる可能性が高いという。具体的には、AppleがMasimoに対してライセンス契約を結ぶ可能性や、両者が訴訟を取り下げる形で合意に至るシナリオが考えられている。
この交渉が成功すれば、血中酸素測定機能の復活が現実のものとなり、ユーザーにとっては大きな朗報となるだろう。
血中酸素測定機能復活の可能性と今後の展望
現時点では、血中酸素測定機能の復活が確実視されているわけではないが、MasimoのCEO交代が重要な一歩であることは間違いない。新たな経営陣が柔軟な対応を見せることで、AppleとMasimoの間で合意に至る可能性が高まっている。
もしこの交渉が成功すれば、Apple Watch Series 10やUltra 2は再び血中酸素測定機能を取り戻し、競合製品に対する大きなアドバンテージを得ることになるだろう。特に健康志向のユーザーにとっては、この機能の復活は購入を決断する大きな要因となりうる。
一方で、Appleがライセンス契約を結ばずに他の方法で技術的問題を解決する可能性も残されている。いずれにせよ、今後の動向は注目に値するものであり、Apple Watchの進化を見守る上で欠かせない要素となるだろう。