2024年2月に開始されたWindows 11の新機能「Instant Games」が、11月14日をもって終了することが明らかになった。この機能は、Microsoft Storeからゲームをダウンロードせずに直接プレイできる仕組みとして注目を集めたが、広範な展開の遅れや限定的な利用範囲が課題となり、利用者の数は伸び悩んでいた。

終了の発表と同時に、ArcadeカテゴリもMicrosoft Storeから削除される。Instant GamesはFlashゲームのような軽量なカジュアルゲームを提供し、暇つぶしに最適とされたが、特定のユーザー層にのみ訴求した結果、大規模な普及には至らなかった。

この機能の終了は、Microsoft Storeがモバイルアプリ市場のような勢いを持たない現状を映し出しているとも言えるだろう。

Instant Gamesの誕生と短命に終わった背景

Instant Gamesは、Windows 11向けにマイクロソフトが投入した実験的機能であった。この機能は、Microsoft Store内でゲームをダウンロードせずに直接プレイ可能という斬新なアイデアで、2024年2月に正式リリースされた。しかし、この画期的な試みは同年11月14日に終了を迎えることとなった。

背景には、機能発表からリリースまでの遅れと、展開範囲が狭かったことが挙げられる。特に、Arcadeカテゴリに限られた提供範囲や、カジュアルゲーム中心の構成が、より広範なゲーマー層を引き込むには至らなかった。Microsoft Storeの利用者数自体がGoogle PlayやApp Storeに比べ限定的であったことも普及を妨げた要因だ。

このような短命に終わった試みは、マイクロソフトの挑戦が必ずしも市場のニーズに合致しないことを示していると言える。一方で、企業の柔軟な撤退判断は、資源を新たな領域に集中させるための戦略的な選択と見るべきだろう。

Flashゲームの再来として評価されたInstant Games

Instant Gamesは、かつてのFlashゲームを彷彿とさせる体験を提供することを目的としていた。シンプルで直感的な操作感は、軽く楽しみたいユーザーに一定の支持を得た。Windows Latestによれば、最大で69種類のアーケードゲームが無料で提供され、Angry Birds風のゲームなどが人気を集めたという。

この機能は、専用のハードウェアや高度な操作を必要とせず、誰でも気軽にアクセスできる利便性が売りだった。特に、Microsoft Store内で簡単にゲームを選んでプレイできる点は、カジュアルゲームの魅力を最大限に引き出したといえる。

しかし、他のプラットフォームで提供される高品質なカジュアルゲームとの競争に勝つことはできなかった。Flashゲーム時代に比べ、現代のユーザーはより高い品質とバラエティを求める傾向があり、それに応えるにはMicrosoft Storeのエコシステムが不十分であった可能性が高い。

Microsoft Storeの課題と今後の展望

Instant Gamesの終了が示すのは、Microsoft Store自体が持つ根本的な課題である。Windowsデバイスを利用するユーザーにとって、Microsoft Storeは必須のプラットフォームではない。多くのユーザーはアプリやゲームを外部サイトや別のプラットフォームで取得する傾向が強く、ストア自体の利用頻度が低いという現実がある。

Google PlayやApp Storeのように、魅力的なコンテンツが継続的に追加される環境を作り上げることができなければ、Microsoft Storeは今後も同様の挑戦を繰り返す可能性がある。Instant Gamesの終了は一つの区切りであるが、これは新たな試みに踏み出すための教訓ともなり得るだろう。

今後、マイクロソフトがどのような形でユーザー体験の向上に取り組むのかが注目される。クラウドゲーミングやAI技術の導入など、より革新的なアプローチが求められる局面に差し掛かっている。