PCパーツ評価サイトのUserBenchmarkが、最新のレビューでAMDのRyzen 7 9800X3Dを批判し、IntelのCore i5-13600Kをゲーム用CPUとして推奨している。このレビューでは、AMDの製品が実際の性能ではなく、攻撃的なマーケティングによって人気を得ていると主張しているが、これに対してTom’s Hardwareのテストは異なる見解を示している。

Tom’s Hardwareによれば、Ryzen 7 9800X3DはIntelのi9-14900Kを33%も上回る性能を持つとされ、ユーザー間で大きな議論を巻き起こしている。UserBenchmarkの評価基準にはかねてより疑問の声が上がっており、過去にはクロック速度のみで性能を判断し、性能に見合わないCPUを高評価したことが批判された経緯がある。

今回のレビューでも、ゲーミング性能や生産性ワークロードにおけるRyzenの強みを軽視しているとの指摘が相次いでいる。

UserBenchmarkの評価基準に対する長年の疑問

UserBenchmarkは過去から一貫して「クロック速度」を重視する評価基準を採用しており、その結果として市場の評価と異なるランク付けを行うことが多い。例えば、以前の評価でCore i3-8100をIntelのハイエンドCPU i9-9980XEよりも高く評価した際には、多くの批判を集めた。

この評価基準はシングルスレッドの動作を重視し、マルチスレッド性能や実際の使用環境でのパフォーマンスに対する考慮が欠けていると指摘される。そのため、ユーザーからは「極端なベンチマーク評価」であるとの批判が根強い。

今回のRyzen 7 9800X3Dに対する評価でも、ゲーム性能やマルチスレッド性能に優れるAMD製品がIntelのi5-13600Kに劣るとされたが、Tom’s Hardwareや他のレビューサイトでは異なる結論が出されている。これは評価基準の違いによるものであり、UserBenchmarkのアプローチが必ずしも全てのユーザーにとって有益ではない可能性がある。

特に、AMDの3D V-Cache技術の利点やRyzenシリーズの高性能化を軽視する見方は、ゲーミングや生産性の用途でAMDを選ぶユーザーにとって実情にそぐわない評価といえるだろう。

AMDに対する「Aggressive Marketing」批判の背景

UserBenchmarkは、AMDが「実世界の性能よりも積極的なマーケティングによって需要を喚起している」と主張している。この見解は、一部の業界関係者やユーザーの間でも賛否が分かれるところである。

AMDがここ数年、革新的なアーキテクチャや技術的な進展を続けており、Ryzenシリーズは一時的にIntelを凌駕するゲームやクリエイティブ分野での性能を発揮してきたことから、この評価は的を射たものではないとする意見も多い。

また、3D V-Cacheなどの新技術は、特にゲーミング用途においてRyzen 7 9800X3Dに大きなアドバンテージをもたらしている。Tom’s Hardwareのテストによると、9800X3DはIntelの最速CPUであるi9-14900Kを約33%上回るパフォーマンスを示しており、実際のゲーム環境での優位性が証明されている。

しかし、UserBenchmarkはマーケティングの影響が強いと判断しているため、このような評価が出ていると考えられる。ただし、消費者が製品を選ぶ際には、ベンチマーク結果だけでなく、実際のレビューや他の意見にも目を向ける必要がある。

ゲーミング性能における価格対価の考察

UserBenchmarkは「ゲーム用CPUに200ドル以上を費やすのは無意味である」との見解を示しているが、この主張は一部のユーザーにとっては納得しがたい。現在、ハイエンドゲーミングには高いフレームレートや安定した動作が求められ、それに応じた高性能CPUの需要が増している。

例えば、AMDのRyzen 7 9800X3Dのような製品は、フレームレートの向上だけでなく、複数の処理を同時にこなすことが可能なため、快適なゲーム環境を提供する。

また、AMDが提供するX3Dデザインにより、クロックスピードの削減を克服し、ゲーム性能に特化した構造を持つ。UserBenchmarkはこれらの特性を考慮せずに、「安価なCPUで十分」という見解に偏っているが、ゲームやプロダクティビティに重点を置くユーザーにとって、CPU選びのポイントは性能と価格のバランスにある。

特に、長期的な視点で見れば、ハイエンドCPUへの投資は快適さや生産性に直結する可能性が高く、単純な価格のみで判断するのは必ずしも正しい選択とはいえない。