任天堂のWiiが、ゲーミングPCとして生まれ変わった。この驚きの改造は「Tech By Matt」が公開したYouTube動画で紹介され、Wiiのケースをそのまま使いながら、AMD Ryzen 7 7735HSとRadeon 680Mを搭載するミニPCに仕上げた。
Wiiのオリジナルデザインを維持しつつも、ゲームパフォーマンスは現代のゲーミングデバイスと並ぶほどで、PS3やWii U、さらには一部のAAAタイトルも安定したフレームレートでプレイ可能。Switchエミュレーションも対応しており、「Valorant」や「Borderlands 3」のような人気作も無理なく動かせる仕様に。
WiiのGameCubeポートも復活させ、3Dプリントで細部まで工夫を凝らしたこのカスタムPCは、懐かしさと最新技術を融合させた、まさに「スリーパーPC」と呼ぶにふさわしい仕上がりとなっている。
Wiiケースの再利用が示すレトロデザインと最新技術の融合
Wiiのケースを活用した「スリーパーPC」は、懐かしいデザインと最新技術の巧妙な融合である。YouTubeチャンネル「Tech By Matt」によるこのプロジェクトでは、Nintendo Wiiの外観をそのまま保持しつつ内部を完全に刷新し、AMD Ryzen 7 7735HS APUとRadeon 680Mグラフィックスを搭載することで現代のゲームに対応する性能を持たせている。
このようにレトロなゲーム機をPCケースに転用する発想は、PC自作の世界で一定の人気があるが、Wiiのコンパクトなデザインとシンプルなラインが最新のハードウェアと美しくマッチしている点が、このプロジェクトの注目すべき点である。
また、Wiiに搭載されていたGameCubeコントローラポートも再利用されており、Wiiの本体らしさを強調。Wiiのデザインを保持したまま性能を向上させるこの試みは、古いハードウェアを活かしつつ新しい価値を与える点で他のスリーパーPCと一線を画している。
Nintendoの愛されるデザインを生かし、最新のテクノロジーを搭載したこのカスタムPCは、ゲーム機を愛する者にとってユニークな存在であり、感性と技術の絶妙なバランスを象徴している。
RDNA 2とZen 3+による高性能グラフィックスの実力
今回のスリーパーPCに搭載されたRadeon 680Mグラフィックスは、RDNA 2アーキテクチャの12基のコンピュートユニットを備え、AMDのZen 3+ CPUと組み合わせることで、PCゲームやエミュレーションにおいて優れたパフォーマンスを発揮する。
これはSteam Deckに採用されているカスタムVan Gogh APUと比較しても遜色のない性能であり、最新のAAAゲームでも40〜60 FPSで動作することが確認されている。特にPS3やWii Uのエミュレーションは安定しており、現行のミニPCにも匹敵するパワーを持つ。
Tom’s Hardwareによれば、Switchのエミュレーションも可能であるが、ゲームによっては1080pでフレームレートが40〜50 FPS程度に低下する場合があるという。最新のRadeon 780Mや890M iGPUを搭載したモデルには及ばないが、680Mは依然としてその性能において高い評価を受けている。
こうした高性能な構成は、コンパクトなWiiケースを最大限に活用する技術力の高さを示しており、見た目だけでなく性能面でも楽しめるPCへと進化を遂げている。
スリーパーPCの可能性とその未来への期待
スリーパーPCは、見た目と中身のギャップが生む楽しさと技術的な達成感が魅力だ。Wiiケースを用いたこのプロジェクトは、その中でも特に完成度が高く、ゲーム機の愛らしいデザインを保ちながら、現代のゲーム環境に通用する性能を持っている点で、多くの自作PCファンやゲーム機愛好者にとって興味深い事例である。
Tech By Mattがより最新のハードウェアを採用していれば、さらに高性能な「スリーパーWii PC」として進化する可能性もあっただろう。
この試みは、コンパクトなゲーム機ケースが高性能PCのケースとして使われることで、レトロデザインと最新技術の組み合わせの新たな可能性を示している。さらに、このようなスリーパーPCの成功例が増えることで、他のゲーム機でも同様のコンバージョンが進むかもしれない。
例えば、Nintendo 64やPlayStation 2のようなケースが今後再び注目を浴びることが期待される。スリーパーPCはゲームファンだけでなく、自作PCの新たなトレンドとしても注目すべき分野であるといえる。