AMDの新型サーバー用プロセッサEPYC 9965が登場し、ベンチマークで複数の世界記録を打ち立てた。192コアを搭載したこのプロセッサは、技術計算やHPCなど幅広いワークロードにおいて圧倒的な性能を発揮している。だが、Intelの最新XeonシリーズやArmの台頭により、AMDが依然として市場を独占できるかは注目されるところである。

EPYC 9965のベンチマーク結果:性能と効率で世界記録を樹立

AMDの最新サーバー用プロセッサ、EPYC 9965は、ベンチマークテストにおいて圧倒的な性能を示し、複数の世界記録を樹立した。192コアの高密度プロセッサであり、従来のEPYCシリーズと比較しても大幅な性能向上を実現している。特に、技術計算やHPC(高性能コンピューティング)分野においては、競合他社を大きく引き離す結果を出している。

レビューサイトのPhoronixによれば、EPYC 9965はほとんどのワークロードにおいて競争相手を凌駕し、パフォーマンスと電力効率の両面で優位に立っている。また、Storage Reviewの評価でも、このプロセッサは大規模データ解析やAI推論、3Dレンダリングなど多岐にわたる用途で高い応答性と効率を発揮することが指摘されている。

EPYC 9965は、PCIe 5.0やDDR5メモリーのサポートといった最新技術も搭載しており、データセンターの次世代インフラストラクチャーにおいても重要な役割を果たすとされている。これらの要素が合わさり、AMDはサーバー市場において依然として強力な地位を保っている。

Xeon 6900Pとの直接対決:AMDは依然としてトップか?

Intelの新型サーバー用プロセッサ、Xeon 6900Pシリーズは、128コアの高性能を誇り、AMDのEPYC 9004シリーズに対抗する形で市場に登場した。レビューによれば、Intelは新技術を駆使し、AMDに対する巻き返しを図っている。しかし、AMDの最新モデルであるEPYC 9965との比較では、依然としてAMDが有利な状況にある。

Phoronixによるベンチマーク結果では、デュアル構成のEPYC 9755(128コア)は、IntelのXeon 6980Pを40%上回るパフォーマンスを発揮した。この結果は、特にサーバー用途やクラウドワークロードにおいて顕著であり、EPYC 9965に至ってはシングル構成でもIntelのデュアル構成に匹敵する性能を示している。

とはいえ、Intelも競争力を増しており、特にAIや高度なデータ処理を必要とするノード向けでは、Xeonの選択肢も強力なものとなっている。市場全体では、AMDが依然としてリードしているものの、Intelの復権が進んでいることは明らかである。

Armの挑戦とデータセンターの未来

AMDとIntelの熾烈な競争の中で、データセンター市場における新たな勢力としてArmアーキテクチャも急速に台頭している。特に、Armベースのプロセッサは低消費電力と高効率を武器に、クラウドコンピューティングや仮想化環境において存在感を強めている。

Armのプロセッサは、これまでモバイルデバイスやエッジコンピューティングの分野で優位性を発揮してきたが、最近ではデータセンター向けのサーバープロセッサとしても評価が高まっている。例えば、Ampere社のArmベースプロセッサは、多くのクラウドプロバイダーに採用され、スケーラビリティやエネルギー効率において他のアーキテクチャに匹敵する性能を発揮している。

AMDやIntelにとっても、Armの台頭は無視できない脅威となっている。データセンターの未来を見据えた時、各社はより省電力で効率的なプロセッサの開発に力を入れざるを得ない。Armの存在感は今後さらに強まる可能性があり、市場の競争は一層激化すると予測される。

AMDの次世代アーキテクチャZen 5とその進化

AMDは次世代アーキテクチャ「Zen 5」を搭載したEPYC 9005シリーズで、さらなる性能向上を図っている。このアーキテクチャは、Zen 4から大幅に改良されたものであり、特にコア数の増加とTDP(熱設計電力)の向上が特徴である。EPYC 9965はその最上位モデルとして192コアを誇り、高スループットを必要とするワークロードに最適化されている。

Zen 5の大きな進化は、プロセス技術の改良と新しいマイクロアーキテクチャの導入によるものである。特に、サーバー用途では仮想化やクラウドワークロードに強いパフォーマンスを発揮し、データセンターでの利用が期待されている。また、12チャネルDDR5メモリやPCIe 5.0のサポートにより、高速データ転送が可能であり、大規模なAI処理やデータ解析にも対応できる。

このように、Zen 5アーキテクチャはAMDのサーバー市場における競争力をさらに強化するものであり、次世代のクラウドインフラやAI技術を支える基盤として注目されている。IntelやArmとの競争が激化する中で、AMDが市場のリーダーシップを維持できるかが今後の焦点となる。