Appleは、Apple Watch Series 10において再び大きな進化を遂げた。このモデルは、サイズ、デザイン、そして機能面でのアップグレードが施され、特にSeries 7からの大幅な改善が注目される。より薄型で軽量なボディ、大型で明るいディスプレイ、そして新しいヘルス機能を備えたSeries 10は、どのような点でSeries 7から進化を遂げたのか、その詳細を比較してみる。

デザインとサイズの進化

Apple Watch Series 10は、前モデルのSeries 7と比較して大幅なデザイン変更が施されている。特にサイズに関しては、Series 7の41mmおよび45mmに対して、Series 10では42mmと46mmのやや大きめのケースが採用された。これにより、ディスプレイの視認性がさらに向上し、視覚的なインパクトも強まっている。また、デバイス自体がより薄型に設計されており、軽量化も実現している点が特徴だ。この薄さは、内部構造の再設計によって可能になったもので、腕にフィットする感覚が改善され、より快適な装着感を提供する。

材質に関しても大きな変更があり、Series 10ではアルミニウムとチタンの二種類が用意されている。アルミニウムケースは艶やかなジェットブラックや従来のマットシルバー、ローズゴールドなどの仕上げが選べ、チタンケースにはスレート、ゴールド、ナチュラルといった高級感のある色がラインナップされている。特筆すべきは、シリーズ7で用意されていたステンレススチールケースが、Series 10では廃止されている点であり、これによりデザインの方向性が一新されたと言える。新たなケースの選択肢とともに、デジタルクラウンやサイドボタンは従来通りの配置でありながらも、全体的な洗練度は格段に向上している。

ディスプレイの明るさと視認性の向上

Series 10のディスプレイは、Appleの第三世代LTPO OLED技術を採用し、視認性が飛躍的に向上している。最大輝度が2,000ニトに達し、Series 7の1,000ニトに比べて2倍の明るさを誇る。これにより、直射日光の下でも画面が鮮明に見えるようになり、アウトドアでの使用にも適している。さらに、最小輝度が1ニトに抑えられ、暗い場所でも目に優しい表示が可能になっている点も見逃せない。

また、Series 10の画面はエッジからエッジまで広がる広角OLED技術を搭載しており、角度のある視点から見ても画面が明るく鮮明に映るという特長がある。これにより、横からの視認性も大幅に改善されており、腕を少し動かしただけでも内容が確認しやすくなっている。Series 7も常時オンのRetinaディスプレイを搭載していたが、明るさや視認性の面でSeries 10は一歩先を行っていると言える。また、サイズに関しては、Series 7が41mmと45mmのバリエーションで提供されていたのに対し、Series 10は42mmと46mmと、さらなる大画面化が図られている。

ヘルス機能の拡充:より高度な健康管理

Apple Watch Series 10では、ヘルス機能も進化を遂げている。Series 7と同様に、心拍数のモニタリングやECG(心電図)アプリを搭載しているが、新たに追加された機能がいくつかある。特に、睡眠時の手首の温度を測定する機能が新たに導入され、これにより個々の体調や女性の生理周期の変化をより正確に把握できるようになった。また、このデータを基にした過去の排卵予測機能も備わっており、女性のヘルスケアにおいて特に有用だ。

さらに、Appleは「Training Load」機能をSeries 10に搭載し、これにより運動負荷をモニタリングできるようになった。この機能は、トレーニングの強度が体にどのような影響を与えるかを視覚的に示し、過度な運動による疲労を防ぐのに役立つ。また、日々の心拍数や呼吸数、睡眠時間のデータを提供する「Vitals」アプリも健在であり、日常の健康状態を把握するためのツールとして非常に優れている。Series 7も基本的なフィットネス追跡機能を持っているが、Series 10の拡充されたヘルス機能は、特に健康管理を重視するユーザーにとって大きな魅力となっている。

パフォーマンスとバッテリーの違い

Series 10は新しいS10 SiPプロセッサを搭載しており、Series 7のS7 SiPに比べて処理速度が向上している。この新プロセッサは64ビットのデュアルコア構成に加え、より高度な消費電力の最適化が行われているため、アプリの起動時間が短縮され、動作がよりスムーズになっている。また、Series 10は「ダブルタップ」機能にも対応しており、指先の簡単な操作で様々なアクションを実行できるという直感的なユーザーエクスペリエンスが追加されている。

一方で、バッテリー性能は依然として弱点の一つである。Series 10のバッテリー持続時間は18時間であり、これはSeries 7と同等である。しかし、低電力モードを使用することで最大36時間の使用が可能となっており、充電回数を減らすことができる点は評価に値する。加えて、充電速度が改善されており、Series 7では80%の充電に45分を要したのに対し、Series 10では30分に短縮されている。バッテリー自体の持続時間には大きな変化はないものの、充電速度の向上は日常的な使用において利便性を向上させている。