AMDの次世代16コアCPU「Ryzen 9 9950X3D」に関するリーク情報が登場し、3月11日に正式な情報が公開される可能性が浮上した。中国のリーカー「Golden Pig」がWeiboで投稿し、AMDが3月に投入予定の「Ryzen 9 9950X3D」と「Ryzen 9 9900X3D」のうち、少なくとも前者の情報解禁日が明らかになったと主張している。

AMDはCES 2025でこれらの新型プロセッサを発表し、3月の発売を示唆していたが、具体的な日程は未公開だった。今回のリークが正しければ、ハイエンドゲーミング向けの「Ryzen 9 9950X3D」は3月中に市場に登場することになる。「Ryzen 9 9900X3D」の詳細な日程については不明だが、同時期に発売される可能性がある。

価格については依然として未公開であり、正式な発表まで明らかにならない可能性が高い。しかし、前世代モデルの価格設定を考慮すると、「Ryzen 9 9950X3D」は700ドル以上の高価格帯になると予測される。AMDの最新X3Dシリーズがどのようなパフォーマンスを発揮するのか、3月の発表に注目が集まる。

Ryzen 9 9950X3Dの新設計がもたらす性能向上の鍵とは

AMDの「Ryzen 9 9950X3D」は、新たなZen 5アーキテクチャと3D V-Cache技術を採用し、大幅な性能向上が期待されている。従来のX3Dモデルでは、キャッシュを追加することでクロック速度が制限される課題があったが、今回のモデルではこの問題を改善する設計が施されている。

特に、3D V-Cacheの配置がCCD(Core Complex Die)の上部から下部へと変更され、熱管理の効率が向上したことが大きなポイントだ。これにより、クロック速度の低下を抑えつつキャッシュのメリットを最大限活かすことが可能になった。

加えて、従来のX3Dモデルと同様、片方のCCDのみが3D V-Cacheを搭載する方式が採用されている。これは、ゲーム向けの最適化を重視しつつ、全体的なコストと消費電力のバランスを取るための判断と考えられる。

一方、シングルコア性能の向上にも注目が集まる。リーク情報では「Ryzen 9 9950X3D」のシングルコア性能が前世代比で14%向上しているとされ、ゲームだけでなく、一般的なアプリケーションのレスポンス改善も期待される。特に、リアルタイム処理が求められるクリエイティブ用途やAI計算にも一定の恩恵がある可能性が高い。

Ryzen 9 9950X3Dと9900X3D、どちらを選ぶべきか

「Ryzen 9 9950X3D」と「Ryzen 9 9900X3D」は、どちらも最新の3D V-Cache技術を採用したハイエンドCPUだが、用途によって適したモデルが異なる。9950X3Dは16コア構成で144MBのキャッシュを搭載し、より高いマルチスレッド性能を発揮する。対して、9900X3Dは12コアながら140MBのキャッシュを備え、ゲームに特化した最適化が期待される。

この違いが影響するのは、主に用途とコストパフォーマンスだ。ゲームがメインの用途であれば、キャッシュ容量の多さとコア数のバランスが取れた9900X3Dが最適かもしれない。一方で、動画編集や3Dレンダリングなど、マルチスレッドを活かせる作業を行うなら、9950X3Dの16コア構成が有利に働く可能性が高い。

ただし、9900X3Dと9950X3Dの価格差がどれほどになるかが重要なポイントだ。前世代の「Ryzen 9 7950X3D」は700ドルで登場したことを考慮すると、今回のモデルも同程度、あるいはそれ以上の価格帯になる可能性がある。高価格帯であることを考慮すると、コストと性能のバランスを慎重に見極める必要があるだろう。

競合IntelのCore Ultra 9シリーズとの違いは何か

AMDのRyzen 9 9950X3Dは、Intelの「Core Ultra 9 285K」と直接競合するモデルとなる。AMDは、ゲーミング性能でIntel製品を20%上回ると主張しているが、これはキャッシュの増強による影響が大きい。特に、3D V-Cacheの恩恵を受けやすいゲームでは、IntelのL3キャッシュ容量を上回ることでフレームレートの安定性が向上すると考えられる。

一方で、Intelは最新の「Core Ultra」シリーズでスレッド管理を強化し、効率的なタスク分配を可能にする設計を採用している。特に、高クロック動作を得意とする「285K」は、ゲームよりもシングルスレッドの処理が重要な用途で強みを発揮する可能性がある。例えば、ゲーム以外の一般的な処理や、AIを活用したワークロードでは、Intelのアーキテクチャが優位に立つ場面もあるかもしれない。

最終的な選択肢は、どのような用途を重視するかに依存する。AMDの9950X3Dは、特にキャッシュを多用するゲーム向けの設計であるため、フレームレートの安定性を求めるゲーマーには魅力的な選択肢となるだろう。一方で、より広範なタスク処理やAIワークロードを重視する場合、IntelのCore Ultra 9シリーズにも注目する価値がありそうだ。

Source:Tom’s Hardware