Samsungの最新フラッグシップスマートフォン「Galaxy S25 Ultra」が、修理専門グループiFixitから「過去10年間で最も修理しやすいSamsungデバイス」との評価を受けた。バッテリーの取り外しが容易になったことや、内部構造の簡素化が大きな要因とされている。しかし、実際の修理のしやすさにはまだ課題が残されている。
iFixitによる分解調査では、Galaxy S25 Ultraは従来モデルと比べ、バッテリー交換が格段に容易になったことが明らかになった。PhoneRepairGuruもこれに同意しており、新たなバッテリー取り外し機構が採用されたことを評価している。一方で、JerryRigEverythingは、S Penが前モデルのS24 Ultraとは異なり、Bluetooth機能を失った点を指摘しており、これをデメリットと捉える声もある。
さらに、ディスプレイの修理難易度は依然として高い。6.9インチの120Hz OLEDディスプレイはCorning Gorilla Armor 2で保護されており、iFixitは「すでに壊れている場合を除き、交換を推奨しない」としている。ディスプレイを取り外さない限り、内部のベイパーチャンバーへのアクセスができない構造になっており、修理の自由度は限定的だ。
その結果、iFixitの最終スコアは10点満点中5点にとどまった。これはSamsungの部品提供の制限や、修理に関するソフトウェア上の制約が影響していると考えられる。近年、修理しやすいデバイスへの要求が高まる中で、S25 Ultraの進化は歓迎されるものの、根本的な課題は依然として残されている。
Galaxy S25 Ultraの修理容易性が向上した理由とは
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iFixitが「過去10年間で最も修理しやすいSamsungデバイス」と評価したGalaxy S25 Ultraは、これまでのSamsung製スマートフォンと比べて、内部構造に明確な変化が見られる。特に、バッテリーの取り外しが格段に容易になったことは、これまでのSamsung製デバイスとは異なる重要なポイントである。
従来のGalaxyシリーズでは、バッテリーの取り外しには接着剤を剥がす作業が必要であり、交換作業にリスクが伴っていた。しかし、S25 Ultraでは新たなバッテリー取り外し機構が導入され、容易に交換できるようになった。この改善はiFixitやPhoneRepairGuruといった修理専門家からも高く評価されており、Samsungがバッテリー交換の簡易化に本格的に取り組んだことがうかがえる。
また、内部レイアウトも変更され、主要なコンポーネントがよりアクセスしやすくなっている。特に、マザーボードやカメラモジュールの配置が見直され、修理時の分解作業がシンプルになった点は見逃せない。一方で、ディスプレイの交換は依然として難易度が高く、これはS25 Ultraの内部構造の制約によるものと考えられる。
これらの改善が、Samsungの修理方針の転換を意味するのか、それとも部分的な対応にとどまるのかは今後のモデル次第である。しかし、バッテリー交換の容易化は多くのユーザーにとって歓迎すべき変更であり、今後のデバイス設計にも影響を与える可能性がある。
ディスプレイ交換の難しさがもたらす新たな課題
S25 Ultraのディスプレイは、6.9インチの120Hz OLEDパネルを採用し、Corning Gorilla Armor 2による保護が施されている。しかし、この強化ガラスの採用は、修理という観点からは新たな課題を生んでいる。iFixitは、「すでに破損している場合を除き、ディスプレイの交換は推奨しない」とコメントしており、その理由として交換プロセスの難しさを挙げている。
従来のGalaxyシリーズでも、ディスプレイの交換には専門的な技術が必要だったが、S25 Ultraではさらにハードルが上がっている。ディスプレイを取り外すことが、ベイパーチャンバーへの唯一のアクセス手段となっているため、冷却機構に問題が発生した場合でも、ディスプレイの取り外しが不可避となる。この構造が修理の自由度を大きく制限しているのは明らかだ。
また、Samsungは公式な修理ルート以外では部品の提供を制限しており、サードパーティによるディスプレイ交換の難易度をさらに高めている。これにより、修理コストが上昇し、ユーザーにとってディスプレイの破損がより大きな問題となる可能性がある。さらに、Samsungのディスプレイには独自の技術が多く採用されているため、互換品を用いた修理も難しいのが現状だ。
このような状況から、S25 Ultraのディスプレイは耐久性が向上した一方で、破損時の対応は一層困難になっているといえる。高品質なディスプレイを搭載するスマートフォンが増える中で、修理しやすさと耐久性のバランスをどう取るかは、今後の課題となるだろう。
iFixitスコアが示すSamsungの「修理しやすさ」とのギャップ
iFixitがS25 Ultraに与えたスコアは10点満点中5点であり、これは「過去10年間で最も修理しやすいSamsungデバイス」との評価とは矛盾するように見える。このスコアの背景には、Samsungの修理ポリシーが大きく関係している。
修理のしやすさが向上した要因として、バッテリー交換の簡易化や内部設計の改善がある一方で、部品供給の制限が依然として大きな問題となっている。Samsungは、正規修理ルートを利用しないユーザーに対し、純正部品の提供を厳しく制限しており、一部の修理はメーカー以外では困難な状況となっている。このようなポリシーが、iFixitのスコアを押し下げた要因の一つである。
さらに、ソフトウェア面での制限も影響している。近年のSamsungデバイスでは、修理後に正規のパーツが使用されているかをチェックする機能が強化されており、未認証のパーツでは一部の機能が制限されることもある。これにより、修理市場の多様性が失われ、ユーザーの選択肢が狭まる結果となっている。
このような状況を踏まえると、S25 Ultraの修理しやすさはハードウェア面では向上しているものの、実際の修理体験としては必ずしも改善されていないといえる。今後、Samsungが修理の自由度をどのように考えるのか、業界の動向とともに注視する必要がある。
Source:NotebookCheck