DJIの最新ドローン「Air 3S」は、最新のLiDAR技術と大幅に向上したカメラ性能を備えた一台である。このドローンは、夜間飛行時の障害物検知能力を強化し、危険なシチュエーションでも安心して操縦可能となった。また、新たに搭載された1インチセンサーは、低照度環境でも高画質な映像を撮影できる。

加えて、ActiveTrack 360による自動追尾機能や強化されたバッテリー性能により、DJI Air 3Sは撮影者にとって理想的なツールとなっている。

LiDAR搭載で夜間飛行の安全性向上

DJI Air 3Sには新たにLiDARセンサーが搭載されており、特に夜間飛行時の障害物検知能力が大幅に向上している。LiDAR技術は、光の反射を利用して周囲の物体を精密に検知するため、暗い環境でもドローンが安全に飛行できるようになる。これにより、従来のカメラベースのシステムに比べて、木々や建物といった障害物をより確実に回避できるのが特徴だ。

特に夜間の飛行は、障害物が視覚的に捉えにくいため、従来のドローンでは事故のリスクが高かった。しかし、LiDARセンサーは前方にある障害物をリアルタイムで感知し、自動で回避するため、パイロットはより安心して夜間の撮影を行うことができる。これにより、都市の夜景や自然の夜間風景といった、今までリスクが高かったシーンの撮影も可能となっている。

注意点として、LiDARは前方向の検知に限られるため、後退や側方への移動時には依然として注意が必要だが、前方の障害物を確実に回避できる点は、特に帰還時などに非常に有効である。DJI Air 3SのLiDAR搭載は、夜間の安全性を飛躍的に向上させ、プロフェッショナルな映像制作においても革新をもたらしている。

1インチセンサーで鮮明な4K映像を実現

DJI Air 3Sのカメラには新たに1インチセンサーが搭載されており、従来モデルに比べて大幅に画質が向上している。このセンサーは、50メガピクセルの解像度と24mmの広角レンズを組み合わせ、非常に高精細な映像を実現する。また、F1.8の明るいレンズによって、低照度環境でもクリアな映像を撮影できる点が大きな特徴だ。

4K解像度での撮影は、最大120fpsまで対応しており、スローモーション撮影にも対応。特に動きの速い被写体を滑らかに記録することができ、スポーツやアクションシーンの撮影にも適している。また、DJI独自のD-LogMプロファイルを使用することで、最大14ストップのダイナミックレンジを確保し、明暗差の激しいシーンでも自然なグラデーションを再現することが可能だ。

さらに、カメラの高感度性能も向上しており、ISO12800まで対応しているため、夜間や薄暗い環境でも鮮明な映像が得られる。これにより、日中だけでなく、夜間の撮影においてもプロフェッショナルレベルのクオリティを維持できるのがAir 3Sの大きな強みである。

ActiveTrack 360で被写体を自動追尾

DJI Air 3Sには、ActiveTrack 360という高度な被写体追尾機能が搭載されている。この機能により、ドローンは自動で被写体を追尾しながら、最適なカメラアングルを維持することが可能である。追尾中にドローンが障害物に接近すると、センサーが即座に検知し、回避行動を取るため、安全性も確保されている。

ActiveTrack 360では、被写体を中心に360度回り込むようにして撮影できるため、映像のダイナミズムが格段に向上する。特に車や自転車など、速いスピードで移動する被写体を追尾する際に、その効果が顕著である。カメラの角度は、コントローラー上のホイールで調整可能で、リアルタイムで視点を変更しながら撮影を続けられる点が大きな魅力だ。

ただし、狭い場所や障害物が密集する場所では、センサーが小さな枝や葉を見逃すことがあり、その場合はプロペラに干渉するリスクもある。そのため、特に森林のような密集した環境ではプロペラガードの使用が推奨される。とはいえ、ActiveTrack 360による追尾機能は、プロレベルの撮影を支援し、複雑なシーンでもスムーズで迫力のある映像を実現することが可能である。

優れたバッテリー性能とストレージ容量

DJI Air 3Sは、バッテリー性能が大幅に向上しており、1回の充電で最大45分の飛行が可能である。この時間は、実際の使用条件下でも約38分と、他のドローンと比較しても非常に長時間の飛行が可能となっている。特に長時間の撮影を行う映像制作者にとって、頻繁なバッテリー交換の手間が軽減される点は大きなメリットだ。

さらに、Air 3Sは内部ストレージ容量も強化されており、42GBの内蔵メモリを搭載している。この容量は、従来のAir 3の8GBと比較しても大幅に増加しており、長時間の高解像度映像を記録する際に非常に役立つ。また、万が一、SDカードを忘れた場合や、SDカードの容量が不足した場合でも、安心して撮影を続けることができる。

加えて、バッテリーハブを使用することで、複数のバッテリー間での充電残量を効率的に移動させる「パワーアキュムレーション機能」も搭載されている。これにより、最も充電の残っているバッテリーを最大限に活用し、撮影時間をさらに延長することができる。DJI Air 3Sは、バッテリーとストレージの両面で、プロフェッショナルな撮影を支える高い利便性を提供している。