Gigabyteは、16コアRyzen 9000 X3Dシリーズプロセッサ向けに「X3Dターボモード」を発表し、ゲーミング性能の大幅な向上を約束している。この新機能は、特にゲーミング用途においてCPUのパフォーマンスを最大化する設計となっており、Ryzen 9000シリーズの16コアX3Dプロセッサで最大18%の性能向上が報告されている。
また、非X3Dモデルでも同等の向上が期待でき、Ryzen 7 9800X3Dプロセッサにおいても5%のパフォーマンス向上が見込まれる。X3Dターボモードは、AMDのAGESA 1.2.0.2aアップデートをベースにしたGigabyteの独自機能であり、特にマルチCCD構成のRyzen CPUにおいて、ゲーム中のレイテンシーを低減しフレームレートを向上させるために開発された。
このモードでは、16コア32スレッドのCPU構成を8コア8スレッドに変更し、CPU性能をゲームに最適化している。
「X3Dターボモード」がもたらすゲーミング性能の進化
Gigabyteが発表した「X3Dターボモード」は、最新の16コアRyzen 9000 X3D CPUをさらに強化するものである。この機能は、特にゲーミングにおいて重要視されるパフォーマンス向上を実現することを目的としている。
X3Dターボモードは、AMDのAGESA 1.2.0.2aアップデートによってサポートされ、これによりCPU内部のコア配分や帯域幅の調整が最適化される。これまでのCPUは全コアが作動する一方で、ターボモードではSMTと一部のCCDを無効にし、特定の8コアを高性能仕様で動作させることで、ゲームプレイ中のレイテンシーを削減し、フレームレートを向上させている。
特に、このモードはマルチCCDアーキテクチャのRyzenシリーズにおいて、複数CCDによる内部通信のレイテンシーが問題視されてきた課題を解決するものであるとされる。Gigabyteのテストデータによると、Ryzen 9000シリーズのX3Dプロセッサでは最大18%、Ryzen 7 9800X3Dでも5%のパフォーマンス向上が確認されており、同社の目指す「ゲーミング性能の革命」に向けた取り組みが具体的な成果を示し始めたといえる。
ターボモードの動作原理とAMD Ryzenの最適化
X3Dターボモードの仕組みは、従来のRyzenプロセッサが持つSMTとマルチCCD構成の一部を無効化し、特定のコアに全パワーを集中させることで、CPUの潜在能力を引き出すものである。具体的には、16コア32スレッドのRyzen 9000 X3Dプロセッサでは、1つのCCDが無効化されることで8コア16スレッド構成となり、さらにSMTも無効化して8コア8スレッドに変更される。
これにより、各スレッドが1つのコアに割り当てられ、全コアが同じCCD内で稼働するため、インターCCDのレイテンシーが排除される。この構造変化により、ゲームプレイ中のレスポンスが改善され、特にフレームレートが安定するとGigabyteは説明する。
AMDのAGESAアップデートとGigabyteのBIOSにより、このターボモードが効果を発揮し、エネルギー効率も含めたゲーム体験の全体的な向上が実現されると見られる。だが、他のワークロードでは全コアが活用される通常モードが適しているため、用途に応じて有効化を切り替える必要があるとされている。
Gigabyteの新たなBIOSアップデートがもたらす可能性
Gigabyteの最新BIOSは、X3Dターボモードを提供することでユーザーに新たな可能性を提示するものだ。これにより、最新のRyzen CPUを搭載したX870E、X870、600シリーズマザーボードでは、さらに高いパフォーマンスを発揮できる。
特に、AORUS AI SNATCHとの同期により、X3Dターボモードが自動調整されるため、ユーザーはゲームプレイをシームレスに楽しむことができる。Gigabyteは公式発表の中で、BIOSの更新が重要であると強調しており、X3Dターボモードを最大限に活用するには最新のファームウェアと組み合わせることが推奨される。
この技術が一般ユーザーにとって実際にどれだけのメリットをもたらすのかについては、今後のユーザーの評価が鍵となる。だが、少なくともプロゲーマーや高性能PCを求めるユーザーにとっては、より滑らかで遅延の少ないプレイ環境が提供される可能性が高いと言える。
GigabyteのX3Dターボモードは、ハードウェアとソフトウェアの連携による性能向上の新たな形を提示し、今後のゲーミング環境に影響を与える存在となるだろう。