Intelの最新ノート向けプロセッサ「Core Ultra 9 285H」が、Geekbenchでのテスト結果として登場した。このCPUは、Pコア6つとEコア10の構成で16コアを備え、ブーストクロックは最大5.4 GHzとされているが、性能抑制(スロットリング)により、予想通りのブーストには到達していないという。

このテストは64GBのDDR5-6400 RAMを搭載したDell製ノートで行われ、シングルコアスコア2665、マルチコアスコア15330を記録。これは、前世代のMeteor LakeベースのCore Ultra 9 185Hに対し、わずかな性能向上にとどまる結果である。

さらに、競合のRyzen AI 9 HX 370や同社のLunar LakeベースのCore Ultra 9 288Vにもシングルコア性能で劣っており、特に高負荷でのスロットリングが目立つため、Intelにとって課題が残る状況である。

Arrow Lake-Hシリーズのアーキテクチャ変更と性能への影響

IntelのCore Ultra 9 285Hは、最新のArrow Lake-HシリーズとしてLion CoveとSkymontといった異なるコアアーキテクチャを搭載する予定であったが、Geekbenchリストからは従来予想されていた構成とは異なる可能性が浮上している。

Arrow Lake-Hシリーズにおける複数のコアアーキテクチャの採用は、効率と性能の両立を目指した戦略である。今回のテスト機ではDell製ノートが使われ、64GBのDDR5-6400 RAMとの組み合わせでその性能が測定されたが、性能抑制(スロットリング)が発生したため、5.4 GHzの最大ブーストに達しなかった。

これはArrow Lake-Hが目指す設計上の理想と、現実の間に乖離があることを示している可能性が高い。IntelがCES 2025で正式発表するまでの間、最終調整が期待されるが、複数のコアアーキテクチャがどのように最適化されるかは見どころである。

この調整次第で、他の競合チップと比較した際にどれほどのアドバンテージを発揮できるかが決まるだろう。特にAMDのRyzenシリーズや次世代のIntel製品との差別化に向け、アーキテクチャの変更が性能にどのように反映されるかが今後の注目点である。

Geekbenchスコアの結果と他モデルとの比較

Core Ultra 9 285HのGeekbenchスコアは、シングルコア2665、マルチコア15330という数値であった。これは、同シリーズのMeteor LakeベースのCore Ultra 9 185Hのスコア(シングル2506、マルチ13972)に対し、わずかに上回る程度にとどまる。

さらに、Ryzen AI 9 HX 370がシングルコア2857、マルチコア15221というスコアを記録しており、Core Ultra 9 285Hはシングルコア性能でこれに遅れをとった。また、IntelのLunar LakeベースのCore Ultra 9 288Vもシングルコアで上回っており、性能面での優位性を見せつけている。

こうしたテスト結果は、性能競争の激化を反映しており、Intelが従来よりも効率とパフォーマンスの両面で改良を進める必要性を浮き彫りにするものといえる。Arrow Lake-Hシリーズがリリースまでにこの性能ギャップを埋めることができれば、シェア拡大の一助となる可能性もあるが、現時点では微増の結果にとどまるため、さらなる改善が求められる状況である。

スロットリング発生の原因と将来の課題

今回のテストでは、最大ブーストクロックである5.4 GHzに到達しなかったことが明らかとなり、Core Ultra 9 285Hにおいてスロットリングが発生していることが示唆されている。スロットリングは主に熱管理や電力供給が原因となるケースが多く、高負荷時のパフォーマンスに課題を抱える結果となった。

NotebookCheckによる分析では、これがArrow Lake-Hの電力効率向上を目指した設計方針の副作用である可能性も指摘されている。今後、Intelがこのスロットリング問題にどう対処していくかが焦点となる。次世代製品では電力効率の向上が一層求められており、バッテリー寿命と性能を両立するための冷却や電力管理の技術が不可欠となる。

Intelにとっては、スロットリングを回避しつつ競合製品と渡り合える性能を発揮することが重要であり、この課題の解決が消費者にとっても大きな魅力となるだろう。