ブータブルUSB作成ツールのVentoyがバージョン1.1.03へとアップデートされた。この新バージョンでは、大規模な変更はないものの、Windows 11の最新バージョン24H2インストール時に発生する0x80070001エラーが修正されている。この問題は、インストールの進行中にパーティション選択画面で発生し、多くのユーザーが影響を受けていた。

さらに、SLES/OpenSUSEのgrub2モードでのインストール後の起動問題やpfSense 2.7.xのブート問題など、いくつかの不具合が修正された。ただし、アップデートにより一部のウイルス対策ソフトがVentoyを誤検出する可能性がある点には注意が必要だ。

Windows 11のクリーンインストールや、公式にサポートされていないPCへのインストールを検討しているユーザーにとって、今回の修正は重要な意味を持つ。

Ventoy 1.1.03の修正内容と影響するユーザー層

Ventoy 1.1.03のアップデートでは、Windows 11のインストール時に発生していた0x80070001エラーが修正された。このエラーは、Windows 11 24H2のセットアップ中、インストール先のパーティションを選択するタイミングで表示され、多くのユーザーのインストールを妨げていた。

Ventoyの開発チームは、バージョン1.1.03でこの問題に対処し、スムーズなインストールを可能にしている。影響を受けるユーザー層として、まず考えられるのはWindows 11のクリーンインストールを試みるユーザーだ。

特に、公式のメディア作成ツールではなくVentoyを使用しているユーザーは、USBメディアから複数のOSをブートできるメリットを活かしつつ、トラブルなく最新OSを導入したいと考えているだろう。また、企業や開発者が利用するテスト環境でも影響がある。

複数のOSを手軽にブートできるVentoyは、システム管理者やIT技術者にとって重要なツールであり、インストールの安定性向上は作業効率にも関わる。特に、新しいWindowsバージョンがリリースされるたびにテストを行う環境では、エラー修正の恩恵が大きい。

VentoyがサポートするOSとブートオプションの進化

VentoyはWindows 11だけでなく、LinuxディストリビューションやBSD系OSのブートにも対応している。今回のアップデートでは、SLESやOpenSUSEのgrub2モードに関する修正が行われ、さらにpfSense 2.7.xや最新のTinyCore Linuxに関するブートの問題も改善された。これにより、特定の環境でVentoyが正常に機能しないといった問題が解消されている。

特に、Linux環境を多用するユーザーにとって、Ventoyの安定性向上は大きな意味を持つ。複数のISOイメージをUSBメモリに保存し、個別にブート可能なこのツールは、各種ディストリビューションを試す上で非常に便利だからだ。また、pfSenseのようなネットワークセキュリティ向けのOSがスムーズに起動できることは、IT管理者にとって有益である。

Ventoyの開発チームは、定期的に新しいバージョンをリリースし、OSの互換性やブートオプションを強化し続けている。今回のバージョン1.1.03の修正点を見る限り、特定のOS環境における不具合への対応を重視していることが分かる。この流れを考えると、今後も新しいOSやブート方式に対応するアップデートが期待されるだろう。

ウイルス対策ソフトによる誤検出とVentoyの信頼性

Ventoy 1.1.03では、実行ファイルが更新されたことにより、一部のウイルス対策ソフトが誤検出を起こす可能性がある。特に、VentoyのようなブータブルUSB作成ツールは、システムの深い部分に関わるため、セキュリティソフトによって疑わしい動作と見なされることがある。

しかし、Ventoyはオープンソースプロジェクトであり、多くの技術者によってコードが検証されている。そのため、不正な動作を含む可能性は低く、開発元の公式サイトやGitHubリポジトリからダウンロードしたファイルであれば、問題なく利用できると考えられる。誤検出の影響を受けた場合は、ウイルス対策ソフトの例外リストに登録することで回避可能だ。

ただし、Ventoyのようなツールを使用する際には、自己責任での運用が求められる。特に、未知のISOファイルをダウンロードしてUSBメディアに書き込む場合は、悪意のある改変が行われていないか注意が必要だ。信頼できるソースからISOを入手し、安全にブート環境を構築することが重要である。

Source:Neowin