「最新スマホに買い替えたら、古いアプリが動かない」「AI機能がやたら速くなった気がする」――2026年、そんな声が一気に増えています。

その裏で起きているのが、ARMv9.2という新しいCPU設計への大転換です。Snapdragon 8 Elite Gen 5やDimensity 9400+、Tensor G5などの最新チップは、このARMv9.2を共通基盤としており、スマホの“頭脳”そのものが別物になりつつあります。

特に注目すべきは、AI処理をCPUで高速化する「SME2」、メモリ攻撃を防ぐ「MTE」、そして32bitアプリの完全終了です。実際にLLMの推論速度が3〜4倍に伸びたという報告や、Androidの重大な脆弱性の約7割がメモリ関連とされるデータもあり、性能と安全性の両面で大きな進化が進んでいます。

一方で、日本では銀行アプリや長寿ゲームが動かなくなる“2026年問題”も現実になりました。

この記事では、難しい専門用語をかみ砕きながら、ARMv9.2が私たちのスマホ体験をどう変えるのか、そして今どんな点に注意すべきかをわかりやすく解説します。

2026年はスマホの分水嶺:ARMv9.2がもたらす構造的な変化

2026年は、スマホの進化が「速くなった」という一言では語れない転換点になっています。

QualcommのSnapdragon 8 Elite Gen 5やMediaTek Dimensity 9400+、Google Tensor G5といった最新SoCが共通して採用するARMv9.2は、性能の伸び方そのものを変えてしまいました。

クロックやコア数の競争から、AIとセキュリティを前提にした構造そのものの刷新へ。これが2026年の本質です。

従来世代 ARMv9.2世代
CPUは汎用処理が中心 CPU自体がAI行列演算を高速処理(SME2)
32bit互換を維持 32bit実行環境をハードウェアレベルで廃止
メモリ保護は主にソフトウェア依存 ハードウェアで不正アクセスを検知(MTE)

特に大きいのが、SME2(Scalable Matrix Extension 2)の搭載です。Armの開発者向け資料によれば、SME2は2次元の行列データをCPUが直接処理できる拡張機能です。

これにより、これまでNPU任せだったAI推論の一部をCPUが高速にこなせるようになりました。

CPUが“計算係”から“AIエンジン”へ役割を広げたことは、スマホの設計思想そのものの変化を意味します。

実際、Snapdragon 8 Elite Gen 5ではGeekbench 6のシングルコアで4,000点超というスコアが報告されています。単なる数値向上ではなく、AI処理を前提にしたIPCの改善が背景にあります。

一方で、ARMv9.2世代のハイエンドコアはAArch32、つまり32bit実行環境を物理的に削除しました。

互換性を犠牲にしてでも、効率と将来性を優先する。ここに「分水嶺」と呼ばれる理由があります。

さらにMTE(Memory Tagging Extension)によって、メモリ破壊をハードウェアで検知できるようになりました。Googleによれば、Androidの深刻な脆弱性の約7割はメモリ安全性に関連しています。

ARMv9.2では、この弱点を構造から潰しにいっています。

速さだけでなく、安全性までもアーキテクチャで底上げする世代に入ったのです。

これまでの進化が「延長線上」だったとすれば、ARMv9.2は「設計思想の切り替え」に近い変化です。

2026年のスマホは、単なるスペックアップではなく、AIとセキュリティを前提に再定義された新しいコンピューティング基盤へと踏み出しました。

だからこそ、2026年はスマホの分水嶺だと言えるのです。

ARMv9.2とは何か?AIファースト設計とAArch64専用化の意味

ARMv9.2とは何か?AIファースト設計とAArch64専用化の意味 のイメージ

ARMv9.2とは、最新スマートフォンの頭脳であるCPUの「設計思想」そのものを大きく変えたアーキテクチャです。2021年に発表されたARMv9の進化版ですが、その真価が本格的に体感できるようになったのは2025年後半から2026年にかけてです。

最大の特徴は、AIファースト設計へと完全に舵を切ったこと、そしてAArch64(64bit)専用化という思い切った決断にあります。

Arm公式ドキュメントによれば、ARMv9.2は単なる命令追加ではなく、AI処理とセキュリティを前提に再設計された世代だと位置づけられています。

観点 従来世代(ARMv8中心) ARMv9.2
設計思想 汎用性能重視 AIとセキュリティ前提
AI処理 NPU依存が中心 CPU自体が高度な行列演算対応
実行環境 32bit/64bit併存 64bit専用(AArch64のみ)

まずAIファースト設計についてです。これまでのモバイルSoCは「CPUは汎用処理、NPUはAI」という役割分担が基本でした。しかしARMv9.2では、CPUそのものが高度な行列演算を効率よくこなせる前提で設計されています。

Armの技術解説によれば、SME2などの拡張によりCPU単体でもAI推論を高速に処理できるようになりました。これは、チャットAIや画像生成のような処理を、クラウドに頼らず端末内で完結しやすくなることを意味します。

スマホが「アプリを動かす端末」から「AIをその場で考えさせる端末」へ変わる転換点が、ARMv9.2なのです。

もう一つの大きな変化がAArch64専用化です。AArch64とは64bit実行環境のことで、ARMv9.2世代のハイエンドCPUでは32bit命令を解釈する回路自体が削除されました。

これはソフトウェアの都合ではなく、ハードウェアレベルの決断です。32bitデコーダを残すことは、3nm世代の微細プロセスでは「無駄なシリコン面積」と見なされました。性能と電力効率を最大化するために、あえて互換性を切り捨てたのです。

WikipediaのAArch64解説にもある通り、64bit化はレジスタ数拡張やメモリアクセス効率向上など多くの利点があります。ARMv9.2では、それを“推奨”ではなく“前提条件”にした点が決定的に違います。

ARMv9.2は「AIを最初から想定したCPU設計」と「64bit以外を物理的に排除する決断」によって、モバイルの基準そのものを塗り替えた世代です。

ライトユーザーにとっては難しく感じるかもしれませんが、本質はシンプルです。より賢く、より安全で、より効率的なスマホにするために、設計段階から未来基準へと一気にジャンプした。それがARMv9.2の意味なのです。

SME2とは?CPUがAIを高速処理する仕組みと実際の性能向上

SME2は「Scalable Matrix Extension 2」の略で、ARMv9.2で新たに強化されたCPU向けの行列演算拡張機能です。これまでAI処理は主にNPUやGPUの役割でしたが、SME2の登場によってCPU自身が本格的なAIエンジンとして動けるようになりました。

Armの開発者向け資料によれば、SME2は従来のSVE2が得意とする1次元ベクトル処理をさらに発展させ、2次元の「行列」をハードウェアレベルで直接扱えるよう設計されています。これは生成AIの計算パターンと極めて相性が良い仕組みです。

SME2により、CPUがAIの中核である「行列積和演算」を一気にまとめて処理できるようになりました。

中核となるのが「ZA」と呼ばれるタイル型レジスタです。これは行列の計算結果を一時的に保持する専用領域で、複数のデータを同時に処理できます。SME2ではマルチベクトル命令が追加され、演算器の稼働率を最大限まで引き上げる設計になっています。

さらに重要なのが、INT8やINT4といった低精度データへの最適化です。近年の大規模言語モデルは量子化によって軽量化されており、SME2はLUT命令などを使ってこの形式を効率よく展開できます。結果としてメモリ使用量を抑えながら推論速度を維持できるのです。

比較項目 従来CPU(NEON中心) SME2対応CPU
行列処理 分割して逐次実行 タイル単位で並列実行
LLM推論速度 標準速度 約3〜4倍に向上
低精度演算対応 限定的 INT8/INT4を効率処理

実際の性能面では、llama.cppを用いた検証でSME2有効時にプロンプト処理やトークン生成が約3〜4倍高速化したと報告されています。これはチャットAIの応答が体感レベルで速くなることを意味します。

また、Snapdragon 8 Elite Gen 5はGeekbench 6でシングルコア4,000点超、マルチコア11,000点超を記録しています。前世代比でシングル約30%、マルチ約20%向上しており、SME2によるIPC改善が寄与していると分析されています。

注目すべきは、主要AIフレームワークがすでにSME2を正式サポートしている点です。PyTorchやTensorFlow Liteはバックエンド対応を進めており、開発者は特別な最適化をしなくても高速化の恩恵を受けられます。

SME2はCPUを「汎用処理装置」から「AIネイティブな演算装置」へ進化させる技術です。ライトユーザーにとっても、写真の自動補正や音声アシスタントの応答、オフラインAI翻訳などがより速く、より自然になるという形で、その恩恵を実感できるようになっています。

Snapdragon 8 Elite Gen 5・Dimensity 9400+・Tensor G5の実力比較

Snapdragon 8 Elite Gen 5・Dimensity 9400+・Tensor G5の実力比較 のイメージ

2026年のハイエンドスマホを語るうえで欠かせないのが、Snapdragon 8 Elite Gen 5、Dimensity 9400+、Tensor G5の3強です。いずれもARMv9.2世代に属し、AIとセキュリティを前提に設計されていますが、その個性ははっきり分かれています。

SoC CPU構成の特徴 強みの方向性
Snapdragon 8 Elite Gen 5 Oryon Gen 3(2+6構成) 総合力と高いピーク性能
Dimensity 9400+ All Big Core設計 マルチコアとAI演算特化
Tensor G5 カスタム+TPU重視 AI体験とセキュリティ

Snapdragon 8 Elite Gen 5は、Qualcommの資料や各種ベンチマーク報告によれば、Geekbench 6でシングルコア4,000点超、マルチコア11,000点超を記録しています。前世代比でシングル約30%向上とされ、日常操作のキビキビ感やゲームの安定性に直結します。迷ったらこれ、と言えるバランス型です。

一方、Dimensity 9400+はCortex-X925を含むAll Big Core構成を採用し、省電力コアを持たない攻めた設計です。MediaTekの公開情報では、AIや大規模言語モデル処理で高いスループットを狙った最適化が強調されています。重い処理を一気に終わらせる瞬発力が魅力で、動画生成AIや高負荷ゲームを多用する人に向いています。

Tensor G5は少し立ち位置が異なります。Android Authorityの分析によれば、TSMC 3nmプロセス採用で効率を改善しつつ、独自TPUとMTEの標準有効化で安全性を高めています。ベンチマーク至上主義ではなく、AI機能の自然な統合と堅牢性を重視しているのが特徴です。Pixelシリーズでのリアルタイム翻訳や音声処理の安定感は、その設計思想の表れです。

ライトユーザーの視点で整理すると、ゲームも写真もそつなくこなしたいならSnapdragon、AI活用や高負荷作業を楽しみたいならDimensity、セキュリティやGoogle純正AI体験を重視するならTensorという選び分けになります。同じARMv9.2世代でも、体験の方向性はここまで違います。

数値だけでなく、自分がスマホで何を一番楽しみたいのかを基準に選ぶことが、2026年世代ではいっそう重要になっています。

MTEとは?Android脆弱性の約7割を占めるメモリ問題への切り札

スマートフォンのセキュリティで、いま最も重要なキーワードのひとつがMTEです。正式名称はMemory Tagging Extension。ARMv9.2で本格採用された、ハードウェアレベルのメモリ保護機能です。

なぜそこまで注目されているのでしょうか。Googleの公表データによれば、Androidにおける深刻な脆弱性の約70%がメモリ安全性の問題に起因しています。つまり、多くの攻撃は「メモリの扱いミス」から始まっているのです。

Androidの重大な脆弱性の約7割はメモリ関連。MTEはそこをハードウェアで塞ぐ仕組みです。

代表的なのが、バッファオーバーフローやUse-After-Freeと呼ばれる不具合です。本来触ってはいけないメモリ領域にアクセスしてしまい、そこを足がかりに不正コードが実行されるケースが後を絶ちません。

MTEは、この問題を「タグ」という仕組みで防ぎます。メモリを16バイト単位の小さな区画に分け、それぞれに4ビットのタグを付与します。同時に、そのメモリを指すポインタ側にも同じタグを持たせます。

アクセス時にCPUが両者のタグを自動照合し、不一致なら即座に例外を発生させます。これにより、不正アクセスはその場でブロックされ、攻撃が成立する前にアプリが停止します。

項目 従来 MTE導入後
検出方法 主にソフトウェア検査 ハードウェアで自動検証
検出タイミング 発覚が遅れることも 不正アクセス時に即時検出
攻撃成功率 条件次第で成立 成立前に停止させやすい

ポイントは、これがソフトウェアではなくハードウェアで行われる点です。ARMの技術資料によれば、タグ照合はCPU内部で処理されるため、オーバーヘッドを抑えながら高い防御効果を発揮します。

実際に、Pixel 10シリーズのTensor G5ではMTEが出荷時から有効化され、同期モードで常時監視が行われています。Snapdragon 8 Elite Gen 5もMTEをサポートし、ハイエンドAndroidの標準機能になりつつあります。

ライトユーザーにとっては難しく感じるかもしれませんが、本質はシンプルです。アプリの内部で起きる“見えない事故”を、端末が自動で検知して止めてくれる仕組みだと考えるとわかりやすいでしょう。

生成AIや決済アプリが日常に溶け込む時代だからこそ、土台となるメモリ安全性は極めて重要です。MTEは、性能競争とは別軸で進む「静かな革命」と言える存在です。

Pixel 10と最新Androidで進むMTE常時有効化のインパクト

Pixel 10と最新Androidで注目したいのが、MTE(Memory Tagging Extension)の「常時有効化」です。これまでMTEは対応していても限定的な利用にとどまるケースが多かったですが、2026年モデルでは前提条件そのものが変わりつつあります。

特にTensor G5を搭載するPixel 10シリーズでは、出荷時からMTEがSynchronous Modeで有効化されています。これはメモリ破壊を検知した瞬間にアプリを停止させる、最も厳格な設定です。

Googleによれば、Androidの重大な脆弱性の約70%がメモリ安全性に起因しています。つまりMTE常時有効化は、攻撃の入口そのものを物理的に塞ぐアプローチと言えます。

項目 従来の対策 MTE常時有効化
検知方法 ソフトウェア中心 ハードウェアで即時検証
不正アクセス 発見が遅れる場合あり 不一致時に即例外発生
攻撃成功率 ゼロにはできない 成立前に停止

MTEは16バイト単位でメモリに「タグ」を付け、ポインタ側のタグと一致するかをCPUが自動照合します。不一致が起きた瞬間に例外を出すため、バッファオーバーフローやUse-After-Freeといった古典的攻撃が成立しにくくなります。

従来はパフォーマンス低下が懸念されていましたが、Tensor G5ではシリコンレベルで最適化が進み、体感上の遅さはほぼ感じません。セキュリティと快適さを両立させた点が大きな進歩です。

「速い」だけでなく「壊れにくい」ことが、ハイエンドAndroidの新基準になりつつあります。

この流れはPixelだけにとどまりません。Snapdragon 8 Elite Gen 5もMTEをハードウェアサポートしており、Galaxy S26などのフラッグシップ機でも同等の保護が可能になりました。セキュリティ特化型OSであるGrapheneOSのコミュニティでも歓迎の声が上がっています。

さらにAndroid Enterprise Recommendedの要件でも、ハードウェアレベルの保護機能が重視される傾向が強まっています。企業や金融機関の端末選定でも、MTE対応が評価軸に入り始めています。

ライトユーザーにとっては専門用語に見えるかもしれませんが、意味はシンプルです。アプリが不正に暴走する前に止めてくれる仕組みが、常に裏側で働いているということです。

Pixel 10と最新Androidの組み合わせは、性能競争の次のステージに進みました。これからはベンチマークスコアだけでなく、見えない部分の安全性がスマホ選びの価値を左右する時代になっています。

32bitアプリ完全終了へ:なぜ最新スマホで古いアプリが動かないのか

最新スマホに機種変更したのに、昔から使っていたアプリが突然起動しない――。2026年以降、このトラブルが一気に増えています。その最大の理由が、32bitアプリ(AArch32)の完全終了です。

ARMの公式ドキュメントや開発者向け資料によれば、ARMv9.2世代のCPUコアでは32bit命令を実行する回路そのものが削除されています。つまり「動かない」のではなく、物理的に動かせない設計へと変わっているのです。

項目 従来(ARMv8世代) ARMv9.2世代
32bitアプリ実行 ハードウェアで対応 非対応(回路削除)
64bitアプリ実行 対応 対応(前提設計)
互換性 移行期間あり 完全終了

Googleは2019年からPlayストアで64bit対応を義務化し、段階的な移行を進めてきました。しかしARMv9.2を採用する最新SoC、たとえばSnapdragon 8 Elite Gen 5やDimensity 9400+では、32bitデコーダ自体が削られています。

これは単なる方針変更ではありません。3nm世代の微細プロセスでは、不要な回路を残すことは電力効率やチップ面積の面で大きな不利になります。メーカーにとって32bit互換は「コストに見合わないレガシー」と判断されたわけです。

最新スマホで古いアプリが動かないのは不具合ではなく、設計上の仕様という点が最大のポイントです。

実際、Snapdragon 8 Elite Gen 5搭載機では、32bitアプリはインストール時点で弾かれるか、起動直後にクラッシュします。これはOSの設定で回避できる問題ではありません。

特に影響が大きいのが、長年アップデートされていないゲームや業務用アプリです。Redditの開発者コミュニティでも、64bit化コストの問題からサポート終了を選ぶ例が報告されています。

一方で、64bit化には明確なメリットもあります。メモリをより広く扱え、セキュリティ機能との統合も進めやすくなります。ARMやAndroidのエコシステムは、性能と安全性を優先する方向へ完全に舵を切った形です。

つまり2026年は、移行期間の終わりです。「古いアプリもそのまま使える」という時代は終了し、アプリ側が進化しなければ利用できない世界になりました。機種変更前には、愛用アプリが64bit対応済みかどうかを確認することが、これからのスマホ選びの新常識になります。

日本で顕在化する“2026年問題”:銀行・決済・ゲームの現状

2026年、日本のスマホユーザーの間で静かに、しかし確実に広がっているのがいわゆる「2026年問題」です。背景にあるのは、ARMv9.2世代のCPUで32bitアプリ(AArch32)がハードウェアレベルで完全に実行できなくなったという事実です。

これまではOSやストア側の方針変更でしたが、今回は違います。Cortex-X925やCortex-A725などの最新コアでは、32bit命令を解釈する回路そのものが搭載されていません。つまり理論上ではなく、物理的に動かないのです。

その影響が特に顕在化しているのが、銀行・決済・ゲームという生活直結アプリの分野です。

分野 起きていること ユーザー影響
銀行アプリ 64bit前提・OS要件厳格化 旧端末や旧版でログイン不可
決済アプリ 最新OS・生体認証強化 機能制限・動作不安定
ゲーム 32bit版サポート終了 起動不可・サービス終了

金融分野では、海外報道によれば2026年2月以降にAndroid 10未満のサポートを終了する銀行も登場しています。セキュリティ強化が理由ですが、結果としてアップデートできない古い端末=利用不可という事態が起きています。

決済アプリも同様です。生体認証や不正検知AIの高度化に伴い、64bit環境が前提になりつつあります。FIDOなどの標準に沿った認証強化が進む中、古い環境では新機能が使えないケースも出ています。

そして最も衝撃が大きいのがゲームです。2026年1月には一部タイトルが32bit Androidのサポート終了を告知しました。長期運営タイトルの中には、64bit化の開発コストを理由にサービス終了を選ぶ例もあります。

最新スマホに機種変更したのに、昔から遊んでいたゲームが起動しない――これが今、実際に起きています。

日本市場は長期運営タイトルや業務アプリが多く、いわば“レガシー資産”が豊富でした。しかしARMv9.2世代ではそれが一気に整理される局面に入っています。

これは単なるスペック向上の話ではありません。ハードウェアの進化が、アプリの生存条件を変えてしまったという構造変化です。2026年問題とは、技術革新が日常生活に直接ぶつかった瞬間だと言えます。

これからスマホを買う人がチェックすべきポイントと対策

最新スマホへの買い替えを検討しているなら、これまで以上に「中身」を意識することが大切です。2026年のモデルは見た目が似ていても、CPUアーキテクチャの違いによって使えるアプリや安全性が大きく変わります。

特に注目したいのは、64bit専用設計(AArch64)かどうか、そしてMTE対応かどうかです。ARM公式ドキュメントによれば、ARMv9.2世代では32bit実行環境が物理的に排除されており、従来の常識が通用しなくなっています。

32bitアプリは最新ハイエンド機では動かない可能性が高い、という前提で機種選びをすることが重要です。

購入前に確認すべきポイントを整理します。

チェック項目 なぜ重要か 確認方法
64bit専用CPUか 32bitアプリが動作しない SoC名を公式サイトで確認
MTE対応 メモリ破壊攻撃をハードウェアで防止 メーカー発表・レビュー記事
OSサポート年数 銀行・決済アプリの要件強化に影響 メーカーのアップデート方針

Googleの公表資料では、Androidの深刻な脆弱性の約70%がメモリ安全性に起因するとされています。MTE対応機種なら、こうしたバグをハードウェアレベルで検知できるため、ネットバンキングや決済アプリを多用する人には大きな安心材料になります。

一方で、長年使っているゲームや業務アプリがある場合は注意が必要です。2026年以降のフラッグシップ機では、32bitアプリはインストール不可、あるいは起動直後にクラッシュする事例が報告されています。買い替え前に、利用中アプリが64bit対応済みかストア情報で確認してください。

また、AI機能を重視するならSME2対応SoCも見逃せません。実測では、対応CPUはLLM推論速度が非対応環境の約3〜4倍に向上したと報告されています。音声アシスタントや生成AIをよく使う人ほど体感差が出やすい部分です。

価格やカメラ性能だけでなく、「64bit専用か」「MTE対応か」「主要アプリが動くか」という3点を事前に確認することで、買い替え後のトラブルを大きく減らせます。スペック表の見方を少し意識するだけで、数年後の安心感がまったく変わってきます。

参考文献