サムスンは、次世代プロセッサExynos 2600の開発と生産に全力を注いでいる。現行のExynos 2500は歩留まりの問題からGalaxy S25シリーズには採用されず、Snapdragon 8 Elite for Galaxyが搭載されることになったが、サムスンはこの状況を覆すべく、2nmプロセスを用いたExynos 2600の製造最適化に取り組んでいる。

Exynos 2500の失敗とサムスンの課題

サムスンはExynos 2500をGalaxy S25シリーズに搭載する計画だったが、製造上の問題によって断念せざるを得なかった。特に3nmプロセスの歩留まりが低すぎたことが大きな要因とされており、結果としてGalaxy S25の全モデルがSnapdragon 8 Elite for Galaxyを採用する形となった。これにより、サムスンの自社製チップ戦略は大きな打撃を受けることとなった。

一方で、Exynos 2500が完全に姿を消すわけではない。今年夏に発売予定のGalaxy Z Flip 7で採用されると報じられており、ここでのパフォーマンス次第では今後のExynosシリーズの評価を左右する可能性もある。とはいえ、現在の市場におけるSnapdragonの支配力を覆すのは容易ではなく、サムスンは半導体製造技術の信頼性向上を急ぐ必要がある。

この状況を打破するため、サムスンは次世代のExynos 2600に大きな期待を寄せている。2nmプロセスへの移行により、性能の向上と省電力化が見込まれるが、現時点では歩留まりが30%にとどまっているという。Galaxy S26シリーズに搭載されるかどうかは、年末までに生産状況が改善されるかどうかにかかっている。

2nmプロセスの難関とExynos 2600の未来

Exynos 2600は、サムスンファウンドリーの第一世代2nmプロセス(SF2)で製造される予定だ。2nmプロセスは半導体業界における最新技術の一つであり、シリコンの集積度を高めつつ消費電力を抑えることが可能になる。しかし、その製造プロセスは極めて複雑であり、サムスンがこの技術を安定して量産できるかどうかが大きな課題となる。

特に、歩留まりの低さが最大の問題として浮上している。チップ製造では、シリコンウェーハ上に数百個のチップが作られるが、そのすべてが動作するわけではなく、不良品が多くなるとコストが跳ね上がる。通常、安定した量産の目標とされる歩留まりは60~70%だが、現在のサムスンファウンドリーの2nm製造歩留まりは30%にとどまっている。この数値が大幅に向上しなければ、Galaxy S26シリーズへの搭載は現実的ではなくなる。

それでもサムスンは、5月の量産開始を目指し、特別タスクフォースを編成して問題解決に取り組んでいるとされる。Exynos 2600が順調に生産されれば、Galaxy S26およびS26+への搭載が実現し、サムスンの自社チップ開発が再び軌道に乗る可能性がある。しかし、依然として米国、中国、カナダではSnapdragon 8 Elite 2 for Galaxyが採用される見込みであり、競争の厳しさは変わらない。

サムスンの半導体戦略におけるExynosの位置づけ

Exynosシリーズは、サムスンが半導体市場で独自の地位を築くための重要な要素となっている。Snapdragonに依存しないことでコスト削減を図る狙いがあるが、技術的なハードルは依然として高く、過去のExynosチップが抱えていた発熱問題や電力効率の課題を完全に克服する必要がある。

近年、サムスンのスマートフォンにおけるExynos採用率は低下傾向にあり、ユーザーの間でも「Snapdragonの方が信頼できる」という声が多くなっている。特に、過去のExynosチップはパフォーマンスの不安定さや発熱問題が指摘されることが多く、Galaxy SシリーズのフラッグシップモデルではSnapdragon搭載機の人気が高い。

そのため、Exynos 2600は単なる次世代チップというだけでなく、サムスンの半導体事業全体の未来を左右する存在となっている。歩留まりが改善され、性能面でもSnapdragonと十分に競争できる水準に達すれば、サムスンのモバイルチップ戦略は新たなフェーズに入ることになるだろう。現在、ファウンドリービジネスユニットでは「Exynos 2600の成功がすべてを決める」との危機感が漂っており、今回のプロジェクトの成否が今後のExynosチップの存続にも影響を与えると考えられている。

Source:PhoneArena